トルコリラ円見通し ドル円の反発と対ドルでのリラ安一服を見ながら戻りを試す(24/8/9)

トルコリラ円の8月8日は概ね4.41円から4.32円の取引レンジ、9日早朝の終値は4.39円で前日終値の4.38円から0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の反発と対ドルでのリラ安一服を見ながら戻りを試す(24/8/9)

トルコリラ円見通し ドル円の反発と対ドルでのリラ安一服を見ながら戻りを試す

〇トルコ円、8/8午前4.32まで下げたが、ドル円の反騰を見て夜に4.41へ戻し、高値更新を伺う
〇対ドル、8/8は概ね33.56から33.28の取引レンジ、リラ安に一服感がみられるが最安値近辺に留まる
〇トルコ中銀、四半期インフレ予想は前期から据え置き、引き締め姿勢継続
〇4.32を上回るうちは上昇余地ありとし、4.42超えからは4.45試しとする
〇4.32割れからは、4.30、4.27を順次試す下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の8月8日は概ね4.41円から4.32円の取引レンジ、9日早朝の終値は4.39円で前日終値の4.38円から0.01円の円安リラ高だった。
日銀の追加利上げと米国の9月利下げ開始見込み及び8月2日の米7月雇用統計が予想以上に弱かったことによる世界連鎖株安でドル円は8月5日安値141.69円へ下落して7月3日高値161.94円からの下げ幅が20円を超え、トルコリラ円も7月3日高値4.99円から8月5日に4.24円を付けて史上最安値を更新したが、世界連鎖株安がひとまず落ち着いたことで8月6日からはドル円の反発を見ながらトルコリラ円も戻りを試している。

ドル円は8月7日に日銀の内田総裁による追加利上げ否定姿勢で147.88円まで戻してから8日午前に145.43円へいったん下げたが、146円割れを繰り返し買われて8日夜の米新規失業保険申請件数が予想以上の減少だったことで147円台後半へ切り返して一段高を伺う位置に付けている。トルコリラ円も7日午後に4.41円へ上昇してから8日午前に4.32円まで反落したが、ドル円の反騰を見て8日夜に4.41円へ戻して高値更新を伺っている。
8月8日の米国株高を受けて9日のアジア市場も総じて上昇開始しており、ドル円もリスク選好感の回復や株買い・債券売りによる米長期債利回りの上昇により8月5日安値を起点とした反騰を継続しているため、トルコリラ円もドル円を追いかけながら高値切り上げを試したいところと思われる。

【対ドルでのリラ安は一服しているが最安値近辺での推移続く】

ドル/トルコリラの8月8日は概ね33.56リラから33.28リラの取引レンジ、9日早朝の終値は33.50リラで前日終値の33.43リラからは0.07リラのドル高リラ安だった。
7月23日高値32.57リラから下落に転じ、8月2日から6日へ3営業日連続の下落で6日に取引時間中の最安値を33.77リラへ更新し、終値33.57リラで終値ベースでも3日連続の最安値更新としたが7日は下落一服となり、8日は前日比マイナスだったが最安値更新を回避した。リラ安に一服感がみられるものの最安値近辺に留まっており、年末にかけて1ドル37リラ台へ下落が続くとの見方も継続している。
8月8日はNYダウが大幅上昇して金融市場全般の動揺が落ち着いて株高再開気配がみられたため、イスタンブール株価指数も8月2日から6日への大幅下落が一巡して7日の前日比1.45%高から8日も0.74%高と上昇しており、トルコリラに対するリスク回避的な売り圧力がやや後退した印象もある。

【トルコ中銀、四半期インフレ予想は前期から据え置き、引き締め姿勢継続】

8月8日にトルコ中銀は四半期毎のインフレ見通しを発表した。前回5月報告では2024年末の見通しを36%から38%へ上方修正して2025年末を14%で据え置いたが、今回発表は2024年末と2025年末のインフレ率をそれぞれ38%と14%で据え置き2026年末については9%に低下するとの見通しを示した。
カラハン中銀総裁は「物価安定が達成されるまで我々は金融引き締め政策の姿勢を断固維持する」、「引き締めを維持することで今年後半へインフレ率は着実に低下すると見込む」と表明した。ただ、インフレが鈍化したところで利下げをしても引き締め状態は変わらないとも述べており、インフレ鈍化がより顕著となれば若干の利下げとする可能性にも含みを持たせた。

トルコの7月CPI前年比は5月の75.45%をピークとして6月に71.6%へ鈍化したところから7月に61.78%へ大幅に鈍化した。市場予想では2025年末のインフレ率は42%程度と見込まれているが、中銀が利下げを急がない限りは着実にインフレ鈍化が進展すると思われる。
アクチャイ副総裁は7月26日に「あまりに早い緩和はインフレを再燃させ、デインフレ寸前の経済の痛みを長引かせる可能性があるため、現時点では利下げサイクルを検討すらしていない」と述べている。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月7日午後に6日夜高値を上抜き返したために8日午前時点では5日夜安値を起点とした強気サイクルの継続としたが、8月8日午前に4.32円までいったん下げてから4.41円まで戻しているため、8日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして12日午後から14日午後にかけての間への上昇を想定する。ただし、4.40円台序盤に抵抗感もあるため、8日午前安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして13日午前から15日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月8日夜の上昇で遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いたため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、8日午前安値割れからは先行スパンからの転落も重なるので下落期入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月8日午後に40ポイント近辺へ低下してから8日夜に60ポイントを超得たがその後は伸び悩んでいる。次の60ポイント超えからは70ポイント前後への上昇を想定するが、40ポイント割れからは下落期入りとみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.32円を下値支持線、4.42円を上値抵抗線とする。
(2)4.32円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.42円超えからは4.45円試しとする。4.45円以上は反落注意とするが、4.40円以上で週を終える場合は週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.32円割れからは4.30円、4.27円を順次試す下落を想定する。4.27円以下は反発注意とするが、4.32円以下で週を終える場合は来週前半も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月9日
 16:00 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 1.7%)
 16:00 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 -0.1%)
8月12日
 16:00 6月 失業率 (5月 8.4%)
 16:00 6月 小売売上高 前月比 (5月 -0.2%)
 16:00 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 5.8%)
8月13日
 16:00 6月 経常収支 (5月 -12.4億ドル)
8月15日
 20:30 週次 外貨準備高 8月9日時点 グロス (8月2日時点 924.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 8月9日時点 ネット (8月2日時点 514.5億ドル)
 23:30 7月 財政収支 (6月 -2752.8億リラ)
8月20日
 20:00 トルコ中銀 金融政策委員会 政策金利 (現行 50.0%)



注:ポイント要約は編集部

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