ドル円見通し 米国株高でリスク選好感回復、大幅下落後のリバウンド継続を試す(24/8/9)

8日午前安値145.43円から米国市場時間に147.54円まで戻し、その後も147.50円近辺を維持して確りしていたが、9日午前には147.80円へ上昇して7日午後高値に迫っている。

ドル円見通し 米国株高でリスク選好感回復、大幅下落後のリバウンド継続を試す(24/8/9)

ドル円見通し 米国株高でリスク選好感回復、大幅下落後のリバウンド継続を試す

〇ドル円、株買い・債券売り・利回り上昇を背景に、8/8午前安値145.43から米国市場時間147.54へ戻す
〇その後も147.50近辺を維持して確りしていたが、8/9午前に147.80へ上昇、8/7午後高値147.88に迫る
〇昨日発表の米新規失業保険申請件数は2週ぶりの改善、米国株高に寄与
〇米長期債利回りは新規失業保険申請件数の減少を見て総じて上昇、米株価指数は大幅高
〇146.50以上での推移中は上昇余地ありとし、148円超えからは149円台への上昇を想定する
〇146.50割れからは、8/8午前安値145.43試しとする

【概況】

ドル円は7月31日の日銀による追加利上げと8月1日早朝の米FOMCにおける9月利下げ検討姿勢で7月30日高値155.21円から8月1日午前安値148.50円へ下落し、8月2日夜の米7月雇用統計が予想以上に悪かったことをきっかけとした世界連鎖株安と米長期債利回り大幅低下により8月5日午後安値141.69円まで下げ、7月30日高値からの下げ幅は13.52円に拡大した。
8月5日夜からは暴落的な下落一巡で買い戻しに入り、7日午前に日銀の内田副総裁が今後の追加利上げに否定的姿勢を示したことで7日午後に147.88円へ上昇して8月5日安値からの戻り幅は6.19円となったが、8月5日からの下落幅は解消したものの7月30日からの下げ幅に対しては半値戻しに届かなかった。

8月8日夜は米週間新規失業保険申請件数が予想以上に減少したため、8月2日の米7月雇用統計が弱かったことによる株安が過剰反応だったとして米主要株価指数が大幅高となり、米30年債入札が低調だったことで株買い・債券売り・利回り上昇となったため、8日午前安値145.43円から米国市場時間に147.54円まで戻し、その後も147.50円近辺を維持して確りしていたが、9日午前には147.80円へ上昇して7日午後高値に迫っている。
日米株高が再開するのを見ながら8月7日高値を超えて7月30日以降の下げ幅に対する半値戻しをクリアすれば7月3日高値161.94円からの円高一巡による上昇期に入る可能性もあると思われるが、来週の米7月CPI等のインフレ指標が鈍化傾向を顕著とすれば米長期債利回りが再び低下してドル円も戻り一巡による下落再開へ向かうことも警戒しておきたい。

【米新規失業保険申請件数は2週ぶり改善】

8月8日夜に米労働省が発表した新規失業保険申請件数は8月3日までの週間で23万3000件となり前週の25万件から1万7000件減少して2週ぶりの改善となり市場予想の24万件も下回った。前週比としては凡そ11か月振りの減少幅となったため、8月2日の米7月雇用統計が弱かったことによるリセッションへの不安と株安が過剰反応だったとして米国株高に寄与した。9月FOMCで0.50%の大幅利下げになるのではとの期待も発表前の7割から6割弱へ低下した。
1週遅れの失業保険受給者総数は7月27日までの週間で187万5000人となり前週から6000人増だった。

【米長期債利回りは連騰、米株価指数は大幅高】

8月8日の米長期債利回りは新規失業保険申請件数の減少を見て総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.04%上昇の3.99%となり、一時4.02%をつけて8月5日に付けた3.67%以降の最高として6日から3連騰とした。30年債利回りはこの日行われた250億ドルの入札が低調だったことも影響して一時4.31%まで上昇してから若干低下したものの前日比0.03%上昇の4.28%となった。政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.08%上昇の4.04%となり一時4.08%をつけて8月5日の急低下時に付けた3.65%以降の最高とした。

一方で8日の米国主要株価指数は総じて大幅上昇した。NYダウは前日比683.04ドル高、ナスダック総合指数は前日比464.21ポイント高、S&P500指数は前日比2.3%高で1日の上昇率としては2022年11月以来の高水準だった。
8月5日に日経平均が1987年10月のブラックマンデーを超える下げ幅で世界連鎖株安となり8月7日にかけては波乱含みの展開が続いてきたが、8日の米国株高によりひとまず金融市場全般の動揺が落ち着いた印象だ。しかしダウもナスダックも8月2日からの下落幅解消には至っておらず、このままリスクオン優勢の流れで楽観的な上昇を再開できるのかどうかまだ暫くは見極めが必要と思われる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は8月5日午後安値141.69円からの反騰が7日午後高値147.88円で一巡して8日午前安値145.43円まで下げたが、9日午前序盤には147.80円台へ切り返して7日午後高値に迫っているため、8日午前安値を起点として新たな上昇期に入ったのではないかと思われる。
8月7日午後高値超えからは12日午後から14日午後にかけての間への上昇を想定するが、週末週明けの波乱に注意して8日午前安値を割り込む場合は下落再開として13日午前から15日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月8日夜への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたため遅行スパン好転中の高値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月8日午前に40ポイント近辺へ低下してから8日夜に60ポイントを超え、その後も50ポイント以上を維持しているので70ポイント台への上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下げ再開を警戒して40ポイント試しとし、40ポイント割れからは下落継続とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、146.50円を下値支持線、148.00円を上値抵抗線とする。
(2)146.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、148円超えからは149円台への上昇を想定する。149円台到達では売られやすいとみるが勢い付く場合は150円に迫る可能性もあるとみる。
(3)146.50円割れからは8月8日午前安値145.43円試しとし、145.43円割れからは144円前後試しと来週前半への続落を想定する。

【当面の予定】

8/9(金)
休場 シンガポール、南ア
10:30 (中) 7月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (6月 -0.8%、予想 -0.9%)
10:30 (中) 7月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (6月 0.2%、予想 0.3%)
15:00 (独) 7月 CPI(消費者物価指数)改定値 前月比 (速報 0.3%、予想 0.3%)
15:00 (独) 7月 CPI(消費者物価指数)改定値 前年同月比 (6月 2.3%、予想 2.3%)


注:ポイント要約は編集部

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