南アランド円週報:『約7カ月ぶり安値更新後に急反発。リスクオフの一服が南アランドを下支え』(8/10朝)

南アランドの対円相場(ZARJPY)は、7/11に記録した約6年ぶり高値8.98円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、約7カ月ぶり安値となる7.60円まで急落しました。

南アランド円週報:『約7カ月ぶり安値更新後に急反発。リスクオフの一服が南アランドを下支え』(8/10朝)

『約7カ月ぶり安値更新後に急反発。リスクオフの一服が南アランドを下支え』

〇今週の南ア円、週明け7.60まで急落
〇円キャリーの大規模な巻き戻し、株式市場の大暴落、中東情勢緊迫化等が背景
〇売り一巡後は、株価の持ち直し、ドル円の反発等に8.07まで一時反発、8.00前後で越週
〇南ア円、日足が主要テクニカルポイントを軒並み下抜け、売りシグナルも点灯、地合い弱い
〇ファンダメンタルズは南ア経済復調期待、政治安定化期待、円キャリー再開期待等がサポート
〇引き続き、南アランド円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.90ー8.25

今週のレビュー(8/5−8/9)

今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.01円で寄り付いた後、(1)日銀による追加利上げ観測に端を発した円キャリートレードの巻き戻し(ドル円急落→南アランド円連れ安)や、(2)株式市場の世界的な大暴落(リスク回避のエマージング通貨売り)、(3)中東情勢緊迫化に端を発した地政学的リスクの高まりが重石となり、週明け早々に、週間安値7.60円(1/3以来、約7カ月ぶり安値圏)まで急落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)急ピッチな下落に対する反動買いや、(5)株式市場の持ち直し(過度なリスク回避ムード後退)、(6)南ア7月スタンダード銀行PMI(結果49.3、前回49.2)の前月比改善、(7)円キャリートレードの再開期待(内田日銀副総裁が市場で高まる追加利上げ観測を牽制した他、米7月ISM非製造業景況指数が力強い結果を示したことで日米金利差縮小観測が後退→ドル円急反発→南アランド円連れ高)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値8.07円まで反発しました。週末にかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/10午前5時00分現在)では、8.00円前後で推移しております。尚、週後半に発表された南ア6月製造業生産(結果▲5.2%、予想▲0.9%)は市場予想を大幅に下回る結果となりましたが、市場の反応は限られました。

来週の見通し(8/12−8/16)

南アランドの対円相場(ZARJPY)は、7/11に記録した約6年ぶり高値8.98円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、約7カ月ぶり安値となる7.60円まで急落しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイントを軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「21日線と90日線のデッドクロス」「一目均衡表三役逆転」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)南アフリカ経済の復調期待や、(2)南アフリカ政治の安定化期待(国民統一政府の政治基盤安定化に伴う外国人投資家による資金流入再開期待)、(3)円キャリートレードの再開期待(内田日銀副総裁が追加利上げ観測の火消しを行ったことで、円キャリートレード解消の流れが一服)、(4)南アフリカのインフレ鈍化とそれに伴う実質金利の上昇期待など、南アランド円相場の持ち直しを連想させる材料が揃っています。

来週予定されている南アフリカの主要経済指標(南ア第2四半期失業率、南ア7月SACCI景況感指数)や、南アフリカと経済的な結びつきの強い中国の主要経済指標(中国7月鉱工業生産、中国7月小売売上高、中国7月固定資産投資)が良好な結果を示せば、南アランド円相場がもう一段持ち直すシナリオも想定されるため、当方では引き続き、南アランド円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(8.13円近辺に位置する200日移動平均線を上抜けできれば、8/5に記録した安値7.60円をクライマックスセリングと見なして、反発基調がもう一段強まる可能性あり)。

来週の予想レンジ(ZARJPY):7.90ー8.25

注:ポイント要約は編集部

『約7カ月ぶり安値更新後に急反発。リスクオフの一服が南アランドを下支え』

南アランド円日足

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