ドル円 ドル安基調のなか、足もとは調整局面か(週報8月第2週)

先週のドル/円相場は「行って来い」。一時141円台、年明け以来の安値圏までドルが下落したものの、その後は急速に買い戻されている。

ドル円 ドル安基調のなか、足もとは調整局面か(週報8月第2週)

ドル安基調のなか、足もとは調整局面か

〇先週のドル円、前週安値を下回ると142円割れまで一気にドル安進行、141.68を示現
〇日経平均株価の大幅安が嫌気される
〇その後、日銀副総裁の火消し発言もあり、ドル買い戻し優勢で148円近くまで逆行高
〇引きつづき日米株価の動向が市場の波乱要因となる可能性も
〇今週は米7月消費者物価、小売売上高、要人発言に注意
〇ドル高・円安、先週超えられなかった148円が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向、145円の攻防にまずは注目、割り込んでも大崩れは予想しにくい
〇ドル円予想レンジ:143.50-148.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は「行って来い」。一時141円台、年明け以来の安値圏までドルが下落したものの、その後は急速に買い戻されている。

前週末は、米民主党全国委員会のハリソン委員長が、オンライン投票でハリス副大統領の党候補指名が確定したと発表し思惑を呼ぶ。また、北朝鮮で大規模洪水の被害が拡大しているとされることも物議を醸していたようだ。
そうした状況下、ドル/円は146.60-70円レベルで寄り付いたのち、前週安値146.41円を下回っただけにとどまらず、142円割れまで一気にドル安が進行した。週間安値の141.68円を示現。日経平均株価の大幅安が嫌気されていたという。しかし、早い段階でドルは安値を付けたこともあり、その後はドルの買い戻しが優勢となり、戻りを試す展開に。あっという間に全戻しを達成したばかりか、さらに148円近くまでの逆行高。そのレベルでは上値も重く超えられなかったが、それでも週末NYは週明けオープンに近い146.60円台で取引を終え越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「株価動向」と「日本当局の対応」について。
前者は、週明け早々日経平均株価は660円安で寄り付き。しかし、20分足らずであっという間に2000円安に。また、その後も株安は止まらず、結局5日の終値は前週末比4451円安。ブラックマンデーを上回る史上最大の下げ幅を記録となった。一方、その翌日は一転しての株価大幅高。寄り付きから618円高と堅調スタートしたのち、終値は大幅反発の3217円高。前日下げ幅の7割以上を取り戻す、過去最高の上げ幅を記録するなど連日激しいジェットコースター相場をたどっている。そののち週末にかけては、さすがに上記ほどの変動は鳴りを潜め、やや落ち着きを取り戻しつつあったが、まだまだ予断を許さない。今週も日米株価の動向が市場の波乱要因となりかねず注意を払いたいところだ。

それに対して後者は、7月31日に実施された予想外の「日銀利上げ」が、為替だけにとどまらず前述した日経平均などの株価や金利、暗号資産(仮想通貨)にも多大な影響を及ぼしたことは言うまでもない。そのため、一部では「植田(日銀総裁)ショック」などとも言われているわけだが、6日には日銀と財務省、金融庁による三者会合が開催され、終了後に出席した三村財務官から「経済金融市場の動向を緊張感持って見極めていくことで一致した」とのコメントが聞かれていた。さらに翌7日には、内田日銀副総裁が出席した金融経済懇談会で「金融資本市場が不安定な状況で利上げすることはない」などと発言し、強めの火消しに動いていた。その結果、週末に掛けては安心感を醸し、為替市場においては調整的なドル買戻しを後押ししていたようだ。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場の基本的なリスクはドル安方向だが、7月3日の161.96円を目先高値に20円も下落した5日安値の141.68円で取り敢えずは底入れした公算が大きい。つまり、短期的にはドルの底堅い値動きが予想されるだけなく、その戻りのメドをうかがう展開が見込まれているようだ。しかし、先週は結局148円に接近するも超えられず、同レベルが強い抵抗となっている。大まかに言って、142-148円といったレンジを今後形成する可能性も一部で取り沙汰されていた。

8月中に日米両中銀の政策決定会合はないものの、7月末に実施された金融政策が依然として尾を引いている。今週も引き続き発表される経済指標や要人発言に一喜一憂する展開か。たとえば、先週末9日にボストン連銀総裁が「データが予想通りとなった場合、近く緩和開始が適切になる」と発言した反面、週末にはFRBのボウマン理事が、対照的ともいえる「インフレの上振れリスクと労働市場の持続的強さが見られる」と述べていた。市場はまだまだ思惑がくすぶりそうだ。また、それとともに日米株価や米大統領選の行方、中東情勢もリスク要因として是非とも注意しておきたい。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場はドル安基調のなかの調整局面か。短期的なドル戻り歩調にあるとみられるものの、目先は148円レベルが非常に重い。まずは同レベルの攻防に注目ながら、抜けられなければ148円をトップにしたレンジ取引の様相を呈しそう。
しかし、仮に超えれば、高値161.96円を起点とした下げ幅のフィボナッチでは38.2%戻しの149.40-45円が次の上値メドとなる。大雑把に考えて150円程度までの戻りは否定できない。

そうしたなか今週は、7月の消費者物価や小売売上高といった重要な米経済指標の発表が予定されている。ここのところは発表される米指標が市場の波乱要因となることが少なくないだけに今週も要注意。また、15日に発表される日本や中国の経済指標を警戒する向きはあるようだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、143.50-148.50円。ドル高・円安については、前述したように先週超えられなかった148円が最初の抵抗。超えると薄っすらとだが150円も視界内に入ってくる。
対してドル安・円高方向は、ドルの安値も少しずつ切り上がっており、目先は底堅さもうかがえる。145円の攻防にまずは注目だが、割り込んでも大崩れは予想しにくい。

ドル安基調のなか、足もとは調整局面か

ドル円日足


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