円全面高再開懸念は重しだが200日線突破を試す展開か
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、投機筋による円売りポジション解消に伴う円急伸が影響して、週初は年初来安値に迫る急落となった。
5日の東京株式市場では、日経平均が1987年10月20日のブラックマンデー翌日の下げ幅を上回る過去最大の下落幅を記録。投機筋による円売りポジション解消も加速し、円は主要通貨に対して全面高の展開となり、ランドは1月3日の年初来安値7.5851円に迫る場面も見られた。
ただ、売り一巡後は、6日の日経平均が過去最大の上昇幅となったことや、米景気減速懸念の後退、円高一服などが影響してランドも反発。短期筋中心の荒い値動きとなったが、8日の6月製造業生産高が前月より改善したことも意識されて、いったんは押し目狙いの買いが優勢となった。
ランド・円(東京時間:8月5日―8月9日)※Investing.comの日足を参照
始値:8.0169円
高値:8.0771円
安値:7.6020円
終値:7.9994円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
8月8日
20時00分、6月製造業生産高(前月比)、前回:−3.6%、結果:−0.5%
8月13日
18時30分、第2四半期失業率、前回:32.9%
8月14日
未定:7月SACCI景況感指数、前回:107.8
20時00分、6月小売売上高、前回:0.8%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、米景気減速懸念の後退や円全面高の一服などを材料とした反発継続を期待したいところだが、需給面など懸念材料も多いことから、引き続き短期筋中心の荒い値動きとなりそうだ。
CFTCが公表した8月6日時点の投機筋の円売りポジションは、ネットで1.1万枚の円売りと2023年1月31日時点の2.0万枚を下回る水準まで減少した。7月2日時点の18.4万枚(2007年以来の円売りポジション)から僅か1カ月と少しで17.1万枚も減少。金額換算では2.2兆円ほどの傾きがアンワインド(巻き戻し)となったことで、この円全面高は発生した。
ネットではなく円売りポジションそのものがまだ7.7万枚残っているので、この円売りポジションの解消はまだ終わっていないとの見方もできる。円買いポジションも6.6万枚とじりじりと増加していることから、円全面高が再加速する可能性がある点はランドの戻りを鈍くするだろう。
ただ、今週予定されている第2四半期失業率や6月小売売上高など経済指標で改善が確認された際は、ランド買いが強まると考える。外部環境など需給面で厳しい状況だが、国内経済の回復が確認できれば、押し目を買う動きも多少は強まるだろう。
テクニカルでは、5日に長い下影(下ヒゲ)を残した後、反発基調を強めている。日足の一目均衡表では、転換線を上回っていることから、7日の高値8.07円を上回れば、次のターゲットは8.13円水準にある200日移動平均線となろう。円全面高の再開の可能性など需給面に降らされやすい状況だが、反発継続の地合いに期待したい。
南アフリカランド円日足
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