トルコリラ円見通し 円高による大幅下落一服だが8月2日からの急落幅解消には遠い(24/8/13)

トルコリラ円の8月12日は概ね4.42円から4.38円の取引レンジ、13日早朝の終値は4.38円で先週末終値と同じだった。

トルコリラ円見通し 円高による大幅下落一服だが8月2日からの急落幅解消には遠い(24/8/13)

円高による大幅下落一服だが8月2日からの急落幅解消には遠い

〇トルコ円、ドル円が148円台へ到達したところで4.42へ上昇、ドル円が147円割り込むと4.38へ失速
〇対ドル、8/12は概ね33.59から33.31の取引レンジ、先週末終値から0.11リラのドル安リラ高
〇年末にかけてのリラ安基調継続感は変わらず、直近の経済指標も冴えない数字が続く
〇対イスラエル強硬姿勢が地政学的リスク高め、先行き不透明感によるリスク回避の動きがプレッシャーに
〇8/9夜安値4.36上回るうちは上昇余地あり、4.42超えからは4.45試し、4.45以上は反落注意
〇4.36割れからは4.30前後への下落を想定、4.30以下は反発注意

【概況】

トルコリラ円の8月9日は概ね4.40円から4.35円の取引レンジ、10日早朝の終値は4.38円で前日終値の4.39円から0.01円の円高リラ安だった。週間では8月2日終値4.41円から0.03円の円高リラ安、月間では7月31日終値4.53円から9日時点で0.15円の円高リラ安。
8月12日は概ね4.42円から4.38円の取引レンジ、13日早朝の終値は4.38円で先週末終値と同じだった。

ドル円が7月3日高値161.94円を起点として8月5日安値141.69円へ大幅下落したためにトルコリラ円も7月3日安値4.99円から8月5日に4.24円を付けて史上最安値を更新した。7月31日の日銀追加利上げ、8月1日早朝のFOMCによる9月利下げ検討姿勢、8月2日の米雇用統計をきっかけとした8月5日にかけての世界連鎖株安が円高の背景であり、ドル/トルコリラも株安によるリスク回避的な売りに圧されて8月2日から6日にかけての急落で史上最安値を更新したためにトルコリラ円は円高とリラ安の両面から売られた。

世界連鎖株安と円高及び対ドルでのリラ安がひとまず落ち着いたことでトルコリラ円はドル円の反発を見ながら7日午後に4.41円まで戻し、12日は夜にドル円が148円台へ一時到達したところで4.42円へ上昇したが、その後はドル円が147円を割り込んだために4.38円近辺へ失速している。

ドル円の下落幅は7月3日高値から20円を超えて2022年10月21日から2023年1月16日にかけての下落時に匹敵する規模となったが、その時は市場介入と黒田前総裁任期満了へ向けた日銀の金融政策転換姿勢による円高に加えて「逆CPIショック」と呼ばれた米国のインフレ鈍化と長期債利回り低下がドル安を招いた。
現状も市場介入と日銀利上げによる円高に加えて米国のインフレ鈍化による9月利下げ見通しがドル円の急落を招き、加えて世界連鎖株安の発生によるリスク回避衝動も重なった状況にあり、今週の米CPI次第では7月3日以降の円高が継続する可能性もあると警戒される。

【ドル/トルコリラは8月6日の高安レンジで揉み合い】

ドル/トルコリラの8月9日は概ね33.59リラから33.28リラの取引レンジ、10日早朝の終値は33.48リラで前日終値の33.50リラから0.02リラのドル安リラ高だった。8月12日は概ね33.59リラから33.31リラの取引レンジ、13日早朝の終値は33.37リラで先週末終値33.48リラから0.11リラのドル安リラ高だった。
7月23日高値32.57リラを起点とした下落に入り8月2日から6日へ3営業日続落して6日に取引時間中の最安値を33.77リラへ更新し、終値33.57リラで終値ベースでも3日連続の最安値更新としたが、その後は6日の高安レンジ内での揉み合いが続いている。リラ安が一服しているものの33.20リラ台を繰り返し売られて上値が重く、13日午前序盤には33.29リラへ上昇してから33.59リラへ下落するなど最安値更新への余裕が乏しい印象だ。

週間では8月2日終値33.17リラから0.31リラのドル高リラ安、月間では7月31日終値33.14リラから9日時点で0.34リラのドル高リラ安で6月から3か月連続で史上最安値更新している。
トルコ中銀による金融政策の正常化が続いており、インフレ抑制のための金融引き締めと外貨準備高増強姿勢が継続していること、大手格付け機関によるトルコの格付け引き上げなどがトルコへの投資妙味を引き上げてきたものの、@年末にかけてのリラ安基調継続感は変わらず、A直近の経済指標も冴えない数字が続いていること、Bエルドアン大統領による対イスラエル強硬姿勢が地政学的なリスクを高めていること、C8月2日から5日にかけての世界連鎖株安はひとまず落ち着いているものの先行き不透明感によるリスク回避的な動きがみられることがトルコリラへのプレッシャーとなっている。

イスタンブール100株価指数は7月23日から25日へ3日続落、1日置いて7月29日から31日へ3日続落、1日置いて8月2日から6日へ3日続落、7日と8日に連騰で戻したものの9日は前日比1.89%安となり12日も0.80%安と続落しており、7月18日高値をピークとした下落基調の範囲で8月5日に一段安した状況を続けている。

8月9日に発表されたトルコの6月鉱工業生産は前月比2.1%減となり5月の1.8%増から悪化し、前年同月比は4.7%減で5月の0.1%減から悪化した。前年同月比は2023年5月から今年3月までプラスを維持してきたが、4月に0.7%減となり5月にわずかなプラスへ戻したものの再びマイナス圏に転落しており低調な流れが続くことも懸念される。
8月12日に発表されたトルコの6月失業率は9.2%となり5月の8.5%から悪化して市場予想の8.2%への改善を裏切った。6月の小売売上高は前月比1.7%増で5月の0.2%減から持ち直して前年同月比も5月の6.2%増から8.6%増へ改善した。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月8日午前に4.32円までいったん下げてから4.41円まで戻したために9日午前時点では8日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして12日午後から14日午後にかけての間への上昇を想定した。
9日夜に4.36円まで下げてから12日夜高値4.42円まで戻したため、直近のサイクルボトムを9日夜安値へ改め、底割れ回避のうちは13日の日中から14日夜にかけての間への上昇余地ありとするが、9日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして14日夜から16日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月12日夜への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いたが、その後の失速で遅行スパンは悪化しやすい位置に来ている。先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りを疑い遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月12日夜の上昇時に70ポイントへ迫ってから50ポイント割れへ失速しているのですでに下落期入りしている可能性があると注意し、55ポイント超えからは上昇再開とするが、40ポイント割れからは下落継続とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.36円を下値支持線、4.42円を上値抵抗線とする。
(2)4.36円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.42円超えからは4.45円試しとする。4.45円以上は反落注意とするが、4.40円以上での推移なら14日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.36円割れからは4.30円前後への下落を想定する。4.30円以下は反発注意とするが、4.36円以下での推移なら14日午前も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月13日
 16:00 6月 経常収支 (5月 -12.4億ドル、予想 -5億ドル)
8月15日
 20:30 週次 外貨準備高 8月9日時点 グロス (8月2日時点 924.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 8月9日時点 ネット (8月2日時点 514.5億ドル)
 23:30 7月 財政収支 (6月 -2752.8億リラ)
8月20日
 20:00 トルコ中銀 金融政策委員会 政策金利 (現行 50.0%、予想 50.0%)



注:ポイント要約は編集部

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