トルコリラ円見通し 円安による押し上げ続かず一段安状態での持ち合い続く(24/8/14)

トルコリラ円の8月13日は概ね4.41円から4.36円の取引レンジ、14日早朝の終値は4.38円で前日終値と同値だった。

トルコリラ円見通し 円安による押し上げ続かず一段安状態での持ち合い続く(24/8/14)

円安による押し上げ続かず一段安状態での持ち合い続く

〇トルコリラ円、米7月PPIの鈍化でユーロやポンドが急伸するドル安となり、8/14早朝4.36へ下落
〇今夜の米CPI次第で円高再燃する場合、トルコリラ円も下落再開となりかねないと注意
〇対ドル、8/13は概ね33.59から33.26の取引レンジ、8/6の高安レンジで揉み合い続く
〇イスタンブール株価指数、8/13は前日比0.94%高と上昇、下落一服感出るも一段安状態のまま
〇6月トルコ経常収支4.1億ドルの黒字、季節的・一時的な黒字なら次の赤字拡大期入りでリラ売り材料に
〇4.36上回るうちは上昇余地ありとし、4.40超えからは4.42試し、4.42円手前は反落注意
〇4.36割れからは4.33前後への下落想定、ドル円が急落する場合4.30試しへ下値目途引き下げ

【概況】

トルコリラ円の8月13日は概ね4.41円から4.36円の取引レンジ、14日早朝の終値は4.38円で前日終値と同値だった。
日銀の利上げと米国の9月利下げ開始見込みに加えて8月2日の米雇用統計悪化をきっかけとした世界連鎖株安が発生したことによりドル円が8月5日安値141.69円へ大幅下落したため、トルコリラ円も7月3日安値4.99円から8月5日安値4.24円へ大幅下落となり史上最安値を更新したが、世界連鎖株安が落ち着いたことと当面の円買いドル売りイベント通過でドル円が持ち直したため、トルコリラ円も12日夜にドル円が148円台を付けたところで4.42円へ高値を伸ばした。

8月13日は米7月PPIが予想以上に鈍化したことで米10年債利回りが3営業日連続低下してユーロやポンドが急伸するドル安となる中でドル円が147円を割り込んだためにトルコリラ円も14日早朝に4.36円へ下落した。
8月5日以降はドル円と共にトルコリラ円は徐々に底上げをしながら8月12日夜まで高値を切り上げてきたのだが、14日早朝への下落で13日午前安値を割り込んだために底上げ基調が崩れている。
8月5日への大幅下落は落ち着いたとはいえ、8月6日以降は4.40円以上を繰り返し売られており、8月5日の下落幅は解消したものの8月2日からの下落幅解消には距離を残しているため一段安状態での下げ渋り持ち合いの様相と思われる。今夜の米CPI次第で円高が再燃する場合はトルコリラ円も下落再開となりかねないと注意したい。

【ドル/トルコリラは8月6日の高安レンジで揉み合い続く】

ドル/トルコリラの8月13日は概ね33.59リラから33.26リラの取引レンジ、14日早朝の終値は33.53リラで前日終値の33.37リラから0.16リラのドル高リラ安だった。
8月2日から6日へ3営業日続落して6日に取引時間中の最安値を33.77リラへ更新し、終値33.57リラで終値ベースでも3日連続の最安値更新としたが、その後は6日の高安レンジ内での揉み合いを続けており、13日も33.26リラへ一時上昇してから下落に転じており、終値ベースでは8月6日終値に次ぐ最安値近辺とした。14日午前序盤は33.54リラから33.47リラのレンジで推移して持ち合いを継続しているものの5月後半からのドル高リラ安トレンド上にあり最安値更新へ余裕が乏しい。

イスタンブール100株価指数は7月23日から25日へ3日続落、1日置いて7月29日から31日へ3日続落、1日置いて8月2日から6日へ3日続落、7日と8日に連騰で戻したものの9日は前日比1.89%安となり12日も0.80%安と続落しており、7月18日高値をピークとした下落基調の範囲で8月5日に一段安した状況を続けている。

8月2日から5日にかけての世界連鎖株安が落ち着いて米国主要株価指数が上昇していることでトルコのイスタンブール株価指数も下落一服感が出ており、13日は前日比0.94%高と上昇した。しかし一時は8月5日安値を割り込んでおり、7月18日高値を起点とした下落基調の範囲にあり8月5日に急落した値幅の解消には至らず一段安状態のままとなっている。
欧米主要株価指数が上昇の勢いを増せばリスク選好感が増して新興国投資意欲も改善すると思われるが、今のところは改善に至らず株高によるリラへの押し上げ期待は薄い印象だ。

8月13日に発表された6月のトルコ経常収支は4.1億ドルの黒字だった。昨年10月から今年5月まで経常赤字が続いてきたが昨年9月以来の黒字となった。しかし昨年は8月と9月に経常黒字とした後に赤字続きとなっており、季節的で一時的な黒字に留まれば、次の赤字拡大期入りからリラ売り材料となりかねないと注意したい。

8月12日にトルコと韓国は通貨スワップ協定を3年間延長することで合意した。このスワップ協定により、韓国ウォン/トルコリラの為替レートを反映して両中央銀行間で最大560億トルコリラ(凡そ16億7000万ドル)または2兆3000億ウォンの現地通貨の交換が可能になるとされた。
通過スワップ協定は両国間の関係を良好とするとともにトルコの外貨体力を高めるものとして海外投資家の信用回復に寄与すると思われる。

大手格付け機関のフィッチ・レーティングスが8月12日にトルコの大都市自治体であるイスタンブールとブルサ、アンタルヤの外貨建て及びリラ建て長期債格付けをB+に据え置いた上で見通しを従来の「安定的」から「ポジティブ」に引き上げたこともリラには若干のプラス要因と思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月8日午前安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして12日午後から14日午後にかけての間への上昇を想定していたが、9日夜に4.36円まで下げてから12日夜高値4.42円まで戻したために13日午前時点では直近のサイクルボトムを9日夜安値へ改め、底割れ回避のうちは13日の日中から14日夜にかけての間への上昇余地ありとした。
14日早朝への反落で9日夜安値に迫ったためすでに12日夜高値でサイクルトップを付けた可能性があると注意し、底割れからは弱気サイクル入りとして14日夜から16日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月14日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。その後の反発で先行スパン突破へ挑戦しているため、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開として遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、9日夜安値割れからは下落期入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月12日夜に70ポイントへ迫ってから50ポイントを割り込み、13日夜の上昇時は60ポイント強にとどまり14日早朝には30ポイント台へ低下しているため12日夜高値を起点として下落期入りしている可能性がある。55ポイント超えからは上昇再開とするが、次の40ポイント割れからは下落再開とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.36円を下値支持線、4.40円を上値抵抗線とする。
(2)4.36円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.40円超えからは4.42円試しとする。4.42円手前は反落注意とするが、4.38円以上での推移なら15日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.36円割れからは4.33円前後への下落を想定する。4.33円以下は反発注意とするが、4.36円以下での推移なら15日も安値試しを続けやすいとし、ドル円が急落する場合は4.30円試しへ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

8月15日
 20:30 週次 外貨準備高 8月9日時点 グロス (8月2日時点 924.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 8月9日時点 ネット (8月2日時点 514.5億ドル)
 23:30 7月 財政収支 (6月 -2752.8億リラ)
8月20日
 20:00 トルコ中銀 金融政策委員会 政策金利 (現行 50.0%、予想 50.0%)




注:ポイント要約は編集部

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