ドル円見通し 米PPI鈍化で146円台へ下落、今夜の米CPI次第で円高再燃も(24/8/14)

ドル円は13日夜の米7月PPIが予想以下に鈍化したことによる米長期債利回り低下とドル売りで14日早朝に146.59へ下落し、その後も147円以下で推移している。

ドル円見通し 米PPI鈍化で146円台へ下落、今夜の米CPI次第で円高再燃も(24/8/14)

米PPI鈍化で146円台へ下落、今夜の米CPI次第で円高再燃も

〇ドル円、米7月PPIの予想下回る鈍化で8/14早朝146.59へ下落、底上げ基調崩れる
〇本日夜、米7月CPI発表、予想下回る鈍化見せればFRBの9月利下げに加え年内追加利下げ期待高まる
〇米長期債利回り、米PPI鈍化により総じて低下、10年債利回りは3日連続低下
〇NYダウ、利下げ期待の高まりで8/5安値以降の高値更新し4万ドルに迫る、ナスダックは4連騰
〇147円台前半までは戻り売り有利、146円割れからは145円前後への下落を想定
〇米CPI等きっかけに下げ足速まる場合は144円台中盤へ下値目途を引き下げ
〇147.70超えからは8/12夜高値148.21試し、高値更新からは149円、150円を順次試して行く上昇想定

【概況】

ドル円は日米金融政策決定会合を通過しての円高と米雇用統計悪化による世界連鎖株安で8月5日に141.69円まで大幅下落したところから持ち直しに入り、徐々に安値を切り上げながら12日夜には148.21円へ高値を伸ばしてきたが、13日夜の米7月PPIが予想以下に鈍化したことによる米長期債利回り低下とドル売りで14日早朝に146.59円へ下落し、その後も147円以下で推移している。
8月8日午前安値145.43円から9日深夜安値146.27円、13日午前安値146.91円と徐々に底上げをしてきたが、14日早朝への下落で13日午前安値を割り込んだために底上げ基調が崩れている。
米10年債利回りが3営業日連続で低下しており、今夜の米7月CPIが予想を下回る鈍化を示す場合は8月5日からの戻り一巡により円高優勢の流れがぶり返しかねないところと思われる。

【米7月PPIは全体とコアで予想を下回る鈍化に】

8月13日に米労働省が発表した7月PPI(生産者物価指数)は全体の前月比が0.1%となり6月の0.2%から鈍化して市場予想の0.2%を下回り、前年同月比も2.2%となり6月の2.7%から大幅に鈍化して市場予想の2.3%を下回った。エネルギー・食品等を除くコア指数の前月比は0.0%で6月の0.3%から鈍化して市場予想の0.2%を下回り、前年同月比も2.4%となり6月の3.0%から大幅に鈍化して市場予想の2.7%を下回った。
コアPPIの前年同月比は昨年12月に1.7%まで低下した後に再加速して6月の3.0%まで上昇が続いていたが、7月に大きく鈍化したことでインフレ再燃への警戒感が後退した印象だ。

8月14日夜に7月の米CPIが発表されるが、全体の前年同月比は6月の3.0%と変わらず、コア指数の前年同月比は6月の3.3%から3.2%へ若干の鈍化が見込まれているが、予想を下回る鈍化を見せればFRBの9月利下げに加えて年内追加利下げ期待も高まると思われる。
米アトランタ連銀のボスティック総裁は13日に「インフレ率を目標とする2%に戻せると確信を深めている」としつつ利下げを急ぐリスクに言及しながら「利下げ判断には一段の確認が必要」と慎重姿勢を示したが、自身の予想通りなら年内に利下げされるとの見通しを示した。

【米10年債利回りは3日連続低下、米株価指数は上昇】

8月13日の米長期債利回りは米PPI鈍化により総じて低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.07%低下の3.84%となり8月9日から3営業日連続低下した。
7月25日から8月5日までの8日連続低下で5日に3.67%をつけて4月25日の年初来ピークである4.74%以降の最低とし、株安が落ち着いたことで6日から8日までの3連騰で4.02%まで戻したが、13日への低下で戻り幅の凡そ半値を解消している。
30年債利回りも前日比0.04%低下の4.16%となり3日連続で低下し、政策金利動向に敏感な2年債利回りも前日比0.08%低下の3.94%となり12日の前日比0.04%低下から続落した。

一方でNYダウは利下げ期待の高まりで前日比408.63ドル高と上昇して8月5日安値以降の高値を更新して4万ドルに迫り、ナスダック総合指数は前日比407ポイント高で8月8日から4連騰として17000台を回復して8月2日から5日にかけての急落幅を解消した。
米国株高が日本株高に波及すればドル円にとっては押し上げ要因となるが、米長期債利回りの連続低下なら日米金利差縮小感で円高反応が勝ると思われる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は8月5日午後安値141.69円から12日夜高値148.21円まで戻してきたが、13日は147円割れからいったん147.94円まで戻したものの米PPI鈍化をきっかけに13日午前安値を割り込んでいるため、12日夜高値を目先のピークとして下落期入りしていると思われる。8月9日深夜安値を基準として目先の安値形成期を14日夜から16日深夜にかけての間と想定し、米CPI発表後に反騰入りする場合は新たな上昇期入りを想定するが、米CPI後に下落する場合は週末にかけて下落基調が続きやすくなると考える。

60分足の一目均衡表では8月14日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月12日夜に70ポイントへ到達し、13日夜の上昇時は70ポイントに届かずに14日未明には30ポイントに迫った。14日午前序盤も40ポイント台にとどまっているのでまだ一段安余地ありとし、下げ足が速まる場合は20ポイント前後を試すとみるが、50ポイント超えからは反騰期入りの可能性ありとみて60ポイント前後への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、146.00円を下値支持線、147.70円を上値抵抗線とする。
(2)147円台前半までは戻り売り有利とし、146円割れからは145円前後への下落を想定する。145円前後は買われやすいとみるが、米CPI等をきっかけに下げ足が速まる場合は144円台中盤へ下値目途を引き下げて15日も続落しやすいとみる。
(3)147.70円超えからは12日夜高値148.21円試しとし、高値更新からは8月5日安値を起点とした上昇の継続として149円、150円を順次試して行く上昇を想定する。

【当面の予定】

8/14(水)
11:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 5.50%、予想 5.50%)、12時から総裁会見
15:00 (英) 7月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (6月 0.1%、予想 -0.1%)
15:00 (英) 7月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (6月 2.0%、予想 2.3%)
15:00 (英) 7月 コアCPI 前年同月比 (6月 3.5%、予想 3.4%)
15:00 (英) 7月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (6月 2.9%、予想 3.6%)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP改定値 前期比 (速報 0.3%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 0.6%,予想 0.6%)
18:00 (欧) 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 -0.6%、予想 0.5%)
18:00 (欧) 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 -2.9%、予想 -3.0%)

21:30 (米) 7月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (6月 -0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 7月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (6月 3.0%、予想 3.0%)
21:30 (米) 7月 コアCPI・食品エネルギー除く 前月比 (6月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 7月 コアCPI・食品エネルギー除く 前年同月比 (6月 3.3%、予想 3.2%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計

8/15(木)
休場 インド、イタリア、韓国
08:50 (日) 4-6月期 GDP速報値 前期比 (1-3月 -0.5%、予想 0.6%)
08:50 (日) 4-6月期 GDP速報値 年率換算 (1-3月 -1.8%、予想 2.3%)
10:30 (豪) 7月 新規雇用者数 (6月 50.2万人、予想 20.0万人)
10:30 (豪) 7月 失業率 (6月 4.1%、予想 4.1%)
11:00 (中) 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 2.0%、予想 2.6%)
11:00 (中) 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 5.3%、予想 5.2%)
13:30 (日) 6月 鉱工業生産確報値 前月比 (速報 -3.6%)
13:30 (日) 6月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 -7.3%)
13:30 (日) 6月 設備稼働率 前月比 (5月 4.1%)

15:00 (英) 4-6月期 GDP速報値 前期比 (1-3月 0.7%、予想 0.6%)
15:00 (英) 4-6月期 GDP速報値 前年同期比 (1-3月 0.3%、予想 0.9%)
15:00 (英) 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 0.2%、予想 0.1%)
15:00 (英) 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 0.4%、予想 -2.2%)
15:00 (英) 6月 貿易収支・物品 (5月  -179.17億ポンド、予想 -160.00億ポンド)
15:00 (英) 6月 貿易収支 (5月 -48.94億ポンド、予想 -37.00億ポンド)
21:30 (米) 7月 小売売上高 前月比 (6月 0.0%、予想 0.4%)
21:30 (米) 7月 小売売上高・除自動車 前月比 (6月 0.4%、予想 0.1%)
21:30 (米) 8月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (7月 -6.6、予想 -6.0)
21:30 (米) 8月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (7月 13.9、予想 5.5)

21:30 (米) 7月 輸入物価指数 前月比 (6月 0.0%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 7月 輸出物価指数 前月比 (6月 -0.5%、予想 0.0%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.3万件、予想 23.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 187.5万人、予想 187.0万人)
22:10 (米) ムサレム・セントルイス連銀総裁、講演
22:15 (米) 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 0.6%、予想 -0.2%)
22:15 (米) 7月 設備稼働率 (6月 78.8%、予想 78.5%)
23:00 (米) 8月 NAHB住宅市場指数 (7月 42、予想 42)
23:00 (米) 6月 企業在庫 前月比 (5月 0.5%、予想 0.3%)
26:10 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演



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