ドル円 底堅い流れが続くものの横ばい(週報5月第4週)

先週のドル円は比較的静かな値動きではあったものの、底堅い動きが続きました。

ドル円 底堅い流れが続くものの横ばい(週報5月第4週)

底堅い流れが続くものの横ばい

〇先週のドル円、底堅い動きが続く、米金利の高止まりに一時157円台に
〇G7にて神田財務官が明確に「安定的に相場が推移している限り介入は必要ない」と発言
〇156−157円台では介入はなく、クロス円でも円売りが出やすいことを考えると、底堅い流れ継続か
〇今週は月曜がLDN、NYとも休場、本格的な始動は火曜からか
〇FRB関係者の発言、欧州CPI速報値、米個人消費支出あたりが大きな材料
〇タカ派発言、強い数字の場合、米金利上昇による円安の動きにつながるか
〇今週は155.50レベルをサポートに、157.50レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通し

先週のドル円は比較的静かな値動きではあったものの、緩やかな円安であれば介入は出ないと介入警戒感が薄れてきたこと、またFRB関係者によるタカ派な発言が続いたこともあってドル円は底堅い動きが続きました。週末のG7を控えて鈴木財務相が円安への理解を求める可能性とイエレン財務長官による介入牽制の再確認との思惑も働きましたが、米金利の高止まりに引っ張られてドル円は一時介入前の157円台に乗せる動きとなりました。

G7では中国の過剰生産とロシアの凍結資産がメインテーマとなり、為替についても「過度の変動が経済に悪影響を与え得る」ということで落ち着きましたが、これまで同様という印象でした。神田財務官が明確に「安定的に相場が推移している限り介入は必要ない」、「介入がまれであることが望ましいのは言うまでもない」、「過度な変動が投機などで発生して経済に悪影響を与える場合には、適切な措置を取る必用がある」と発言しました。

このことから、前回高値圏の160円まで緩やかな動きでの円安であれば介入が出てくる可能性は低いものの、仮に前回高値を超え1990年高値160.35レベルを上抜けするような動きが出てくる場合には、さらなる円安により経済に与える影響を考えた介入が出てくる可能性は高いというところではないでしょうか。現在の156円台から157円台では介入は出ないでしょうし、ユーロ円をはじめとするクロス円でも円売りが出やすい流れにあることを考えると、ドル円は底堅い流れを続けると見てよさそうです。

今週は月曜がLDN、NYとも休場となるため本格的な始動は火曜からとなりますが、月曜は植田総裁とレーンECB理事の発言に念の為注意です。その後は、FRB関係者の発言と欧州のCPI速報値、米国個人消費支出あたりが大きな材料となってきますが、現状のドル円は米金利の動向の影響が大きいため、タカ派な発言、強い数字となると米金利上昇による円安の動きにつながってくると見られます。

今週もドル円週足チャートから見て行きます。メインチャートのラインが日米10年債利回り差、中段はこの金利差とドル円との相関、下段はシカゴ投機筋の円売りポジションを示しています。

底堅い流れが続くものの横ばい

日米金利差は円金利も上昇していることから直近では変化は見られません。それにもかかわらず円安に動いますが、投機筋のポジションが改めて円売りに動き始めていることも関係していると見られます。金融政策ウィーク(6月6日のECB理事会から)にはまだ日数もありますので、それまで金利差と円相場の乖離が続くのか、戻す方向に動くのか、見守りたいところです。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

4月29日の介入前高値と5月3日雇用統計後安値の61.8%戻しが156.99(赤のターゲット)、雇用統計後安値を起点とした上昇N波動からフィボナッチ・エクスパンションを求めると78.6%エクスパンションが157.43となっています。前者はすでに到達していますので、後者の157円台半ばが次のターゲットとなります。

いっぽうで下値は雇用統計後安値と16日安値を結んだサポートラインが現在155円水準、今週末には155円台半ばへと上がってきます。155円台半ばはサポートとなってくる水準と見てよいでしょう。156円台半ばを中心に上下1円程度の値幅を考え、今週は155.50レベルをサポートに、157.50レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

底堅い流れが続くものの横ばい 2枚目の画像

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

5月27日(月)
**:** LDN、NY市場休場
09:05 植田日銀総裁講演 ☆
11:05 内田日銀副総裁講演 ☆
17:00 ドイツ5月企業景況感
20:00 レーンECB理事講演 ☆

5月28日(火)
10:30 豪州4月小売売上高
13:55 クリーブランド連銀総裁講演 ☆
22:00 米国3月住宅価格、ケースシラー住宅価格 ☆
22:15 オランダ中銀総裁講演
22:55 (ミネアポリス連銀総裁講演)
23:00 米国5月消費者信頼感 ☆

5月29日(水)
10:00 豪州5月企業信頼感
10:30 豪州4月CPI ☆
15:00 ドイツ6月消費者信頼感
15:45 フランス5月消費者信頼感
16:00 フランス中銀総裁講演 ☆
21:00 ドイツ5月CPI速報値 ☆
23:00 リッチモンド連銀製造業景況指数
26:45 NY連銀総裁講演 ☆
27:00 ベージュブック ☆

5月30日(木)
10:30 豪州4月住宅建設許可
18:00 ユーロ圏5月消費者信頼感
18:00 ユーロ圏4月失業率
21:30 米国1〜3月期GDP改定値 ☆
21:30 米国4月卸売在庫
21:30 米国新規失業保険申請数
23:00 米国4月住宅販売保留件数
24:00 週間原油在庫統計
29:00 (ダラス連銀総裁講演)

5月31日(金)
08:30 本邦5月東京区部CPI ☆
08:30 本邦4月失業率・有効求人倍率
10:30 中国5月製造業PMI
15:00 ドイツ4月小売売上高、輸入物価
15:45 フランス5月CPI速報値 ☆、4月PPI
15:45 フランス1〜3月期GDP改定値
18:00 ユーロ圏5月CPI速報値 ☆
19:00 本邦5月介入実績公表 ☆
21:30 米国4月個人所得・個人消費支出 ☆

6月1日(土)
 **:** OPECプラス

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

5月20日(月)
ドル円はNY市場までは前週金曜のレンジの中、155円台後半でのもみあいが続きました。NY市場では複数のFRB関係者がインフレ高止まりを理由に早期緩和に否定的な見方を示したことで長期金利が4.45%台へと上昇、それとともにドル円も156円台前半へと上昇して高値圏での引けとなりました。

5月21日(火)
ドル円は前日からの流れを継続し東京昼過ぎには156.55レベルの高値をつけました。しかし米金利が終日じりじりと水準を下げたこともあり、NY前場には155.84レベルまで水準を下げました。しかしFRB関係者のタカ派発言が続いたこともあって引けは156円台へと戻しました。

5月22日(水)
ドル円は米金利が上昇する動きとともにNY市場までじり高、NY市場では米金利は低下に転じたものの底堅い動きが続きました。後場に入りFOMC議事要旨が公表されましたが、ややタカ派な内容であったことから引けにかけては156円台後半へと一段高の動きとなりました。

5月23日(木)
ドル円は前日の底堅い流れを継続し仲値すぎには156.91レベルの高値をつけました。その後NY市場までは156円台後半でのもみあいが続きました。NY市場前場に発表された経済指標が強かったことを受け、一時157.20レベルと介入前以来の157円台に乗せましたが、ダウが大幅安の動きとともに156円台後半へ押して引けました。

5月24日(金)
ドル円は米国、英国の3連休を控えて動意薄、終日のレンジもわずか33銭と最近のドル円にしてもかなり狭い値幅でのもみあいに終始しました。

ディスクレーマー

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