総選挙結果を睨んだ展開で8.5円前後での横ばい推移か
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、22日に発表された4月消費者物価指数(CPI)が、コア含め市場予想を下振れたことから、ランド買いが一服。8.6650円を高値に利益確定の流れが強まった。
4月のCPIが下振れほか、22日に公開された4月30日―5月1日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨がややタカ派な内容だったこともドル高・ランド安の流れを呼び込んだ。また、金価格の下落もあり、ランドは8.4808円まで下げたが、売り一巡後は8.5円台での推移となった。
総選挙を前に利益確定の売りが入ったとの観測だが、4月29日につけた上影(上ヒゲ)水準で下げ止まった。4月19日安値の7.9283円を起点としたサポートラインはなんとか機能していることから短期的なトレンドは崩れていないと考える。
ランド・円(東京時間:5月20日―5月24日)
※Investing.comの日足を参照
始値:8.5739円
高値:8.6650円
安値:8.4808円
終値:8.5067円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
5月22日
17時00分、4月CPI(前年比)、前回:5.3%、市場予想:5.3%、結果:5.2%
17時00分、4月CPI(前月比)、前回:0.8%、市場予想:0.4%、結果:0.3%
17時00分、4月CPIコア(前年比)、前回:4.9%、市場予想:4.7%、結果:4.6%
17時00分、4月CPIコア(前年比)、前回:0.7%、市場予想:0.3%、結果:0.2%
5月30日
15時00分、4月マネーサプライ、前回:6.85%
18時30分、4月PPI(前年比)、前回:4.6%、市場予想:5.0%
未定、SARB政策金利、前回:8.25%、市場予想:8.25%
5月31日
21時00分、4月貿易収支、前回:73億ランド、市場予想:93億ランド
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、29日の総選挙、30日の政策金利発表と政治及び金融政策の重要なイベントを見極める展開となる。政策金利に関しては、総選挙直後というスケジュールを考慮すると現状維持(8.25%の据え置き)の公算が大きいことからサプライズは乏しいだろう。一方、総選挙の結果が判明するのは数日かかるうえ、連立政権樹立といった話であれば、政局の方向性が見えるのは6月となる可能性もある。ランドは積極的には売買しにくい状況となろう。
既に何度かご説明している通り、1994年の民主化選挙以後、一貫して政権与党の座にいたアフリカ民族会議(ANC)は苦戦し、今回の総選挙では単独過半数割れが濃厚となっている。今時点ではこのどれかになるだろう。
@ANCが、白人を主な支持基盤とする「民主同盟(DA)」と連立を組む
AANCが左派政党の「経済開放の闘士(EFF)」と連立を組む
BANCが、ズマ前大統領が率いる「民族のやり(MK)」と連立を組む
CANCが連立を組めずに政治空白が発生する
いずれもANC次第といった状況だが、ランド売りにつながる最悪のシナリオは当然Cである。また、A、Bも連立を組む相手はポピュリズム色が強いことから、Cほどではないが、「欧米離れ」が意識されて結局ランド売りにつながると考える。
市場では、「総選挙によって、ANCはDAと連立政権を樹立(@のシナリオ)し、南アフリカ政治の方向性が刷新されて南アフリカ経済へのプラスにつながる」と見ていた投資家が多いようだが、先週は4月CPI下振れも手伝い、利益確定売りが先行した。総選挙による政局刷新への期待感は強いが、いったん売りが入ったことで、いい意味でランドは落ち着いたと言えよう。総選挙の結果、@のシナリオが明確となれば、改めてランド買いの流れは強まる可能性はある。
テクニカルでは、日足の一目均衡表の雲上限を大きく上放れるなど強いトレンドが見られる。4月29日の上影(上ヒゲ)をしっかり吸収したことから、トレンドは強い。長期的にも、22年6月以来となる8.66円台をつけたことから、22年高値8.8153円を意識した動きも期待できよう。テクニカル面は短期、長期ともに強いと考える。
総選挙後、ANCがどの政党と連立を組むのか判明するまでは時間がかかるだろう。総選挙の結果、ANCがどれだけの得票率となるかをまずは見極めたいが、連立政権樹立といった政局の方向性が固まるのは6月にずれ込むと考える。方向性が明確になるまで、ランドは8.5円前後でのもみ合いとなろう。
南アフリカランド円日足
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