『南ア総選挙の与党ANC劣勢報道を受けて約2年ぶり高値圏から急反落』
〇今週の南ア円、週央にかけ8.62まで上昇するも週後半にかけて8.30台に反落
〇南ア総選挙、与党アフリカ民族会議(ANC)が予想以上の劣勢、南ア主要株価指数大幅下落
〇日足が主要テクニカルポイントを下抜け、買いシグナルの消失も視野に入り地合急速に悪化
〇政局不透明感からの株安、南アランド売り警戒される
〇南アランド円相場の短期的な見通しをブル(強気)からベア(弱気)へと変更
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.15ー8.55
今週のレビュー(5/27−5/31)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.51円で寄り付いた後、週央にかけて、週間高値8.62円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)5/22に記録した直近高値8.66円(2022年6月以来の高値圏)を背にした戻り売り圧力や、(2)金・プラチナ価格の軟調推移(南アフリカの交易条件悪化懸念)、(3)南ア総選挙における与党アフリカ民族会議(ANC)の予想以上の劣勢報道(アパルトヘイト政策廃止以降、約30年に亘り政権を維持してきた与党アフリカ民族会議の過半数割れが濃厚→開票率51.92%時点でアフリカ民族会議が42.3%、最大野党の民主同盟が23.4%、民族の槍が10.8%、経済的解放の闘士が9.6%→最終的にアフリカ民族会議の得票率が40%台まで落ち込むとの見方が浮上→ポピュリスト2政党のいずれかと連立を余儀なくされるリスクが台頭→南アフリカの政治不安定化)、
(4)上記3を背景とした南アフリカの主要株価指数の大幅下落、(5)南ア中銀によるハト派的な声明文(南ア中銀は5/30に主要政策金利のレポ金利を6会合連続で据え置くことを決定→声明文で従来用いていた「インフレリスクは上方に傾いている」との文言削除)が重石となり、週末にかけて、週間安値8.30(5/6以来の安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/1午前0時30分現在)では、8.35円前後で推移しております。
来週の見通し(6/3−6/7)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は5/22に記録した約2年ぶり高値8.66円(2022年6月以来の高値圏)をトップに反落に転じると、南ア総選挙の与党惨敗報道を受けて、週末にかけて、一時8.30円まで急落しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線)を下抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」の消失も視野に入るなど、テクニカル的に見て、地合いの急速な悪化が警戒されます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、南ア総選挙における与党アフリカ民族会議の予想以上の劣勢が伝わる中(少数政党との連立に必要とされていた45%のボーダーラインにすら届かないとの見方が浮上→ポピュリスト政党との連立を強いられる公算大)、
当面は、「政局不透明感→南ア株下落→南アランド売り」の波及経路が警戒されます。長期に亘り続いてきた円キャリートレード(南アランドと日本円の金利差に着目した南アランド買い・円売り)の巻き戻しも、南アランド円相場の上値を重くする一因になると考えられるため、当方では南アランド円相場の短期的な見通しを、ブル(強気)からベア(弱気)へと変更いたします。尚、来週は、6/2に発表される南ア総選挙の暫定開票結果や、それに伴う連立候補先に関する各種ヘッドライン、6/3に予定されている南ア第2四半期BER信頼感指数、6/4の南ア第1四半期GDP、6/6南ア第1四半期経常収支などに注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.15ー8.55
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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