南アフリカランドWeekly 総選挙実施で政局混乱、ランド売りは継続か(24/6/3)

先週のランドは、29日に実施された総選挙結果に対する警戒感が先行し、利益確定の流れが強まった。

南アフリカランドWeekly 総選挙実施で政局混乱、ランド売りは継続か(24/6/3)

総選挙実施で政局混乱、ランド売りは継続か

【先週の南アフリカ・ランド】

先週のランドは、29日に実施された総選挙結果に対する警戒感が先行し、利益確定の流れが強まった。

29日に実施された総選挙の結果はまだ確定していないが、開票率50%少し時点での与党アフリカ民族会議(ANC)の得票率が40%台前半まで落ち込むとの報道がネガティブ視されて、ランドは下げ一色の展開に。31日には、5月6日時点の水準である8.3052円まで下落した。

先週は重要な経済指標も発表された。30日の南アフリカ準備銀行(南ア中銀)による政策金利発表は、市場予想通りの8.25%の据え置きだったことで材料視はされなかったが、同30日の4月生産者物価指数(PPI)は前年比+5.1%と、市場予想(同+4.9%)を超え、前月の同+4.6%を大幅に上回る伸びとなったが、こちらも無反応となった。総選挙結果への警戒感が強まったことから、経済指標への関心は非常に低い状況にある。

ランド・円(東京時間:5月27日―5月31日)※Investing.comの日足を参照
始値:8.5181円
高値:8.6238円
安値:8.3052円
終値:8.3574円 

【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間

5月30日
18時30分、4月PPI(前年比)、前回:4.6%、市場予想:4.9%、結果:5.1%
22時00分、SARB政策金利、前回:8.25%、市場予想:8.25%、結果:8.25%

5月31日
15時00分、4月マネーサプライ、前回:6.85%、結果:5.75%
21時00分、4月貿易収支、前回:73億ランド、市場予想:93億ランド、結果:105億ランド

6月4日
18時30分、第1四半期実質GDP(前年比)、前回:1.2%、市場予想:0.8%

6月5日
17時00分、第2四半期BER企業信頼感指数、前回:30

6月6日
18時00分、第1四半期経常収支、前回:−1660億ランド

※予定は変更することがございます。

【今週の見通し】

今週のランドは、政局の混乱を懸念したランド売りが強まると想定する。

東京時間6月2日16時時点で、ANCの過半数割れは確実となった。1994年の第一回民主化選挙以降、ネルソン・マンデラ氏の政党が単独過半数の議席を失うのは初めてのこととなる。ラマポーザ大統領の続投を目指すANCが、今後、どの党と連立協議に入るかがポイントになる。

開票率99%時点でのANCの得票率は40%、親ビジネス路線の民主同盟(DA)が22%、ズマ前大統領が立ち上げた民族のやり(MK)が15%、急進左派の経済解放の闘士(EFF)が9%となった。南アフリカのシンクタンクが想定した5月27日時点の推計支持率は、ANCが42.2%、DAが21.6%、MKが12.4%、EFFが10.8%だったことから、ANCの票がDAに流れたような状況だ。

DAは白人の支持を基盤としているほか、MKやEFFは白人が所有する土地を無償で収用することを主張するなどポピュリズムの政党であることから、どの政党と連立を組むにも、政策・外交の不一致など諸問題が持ち上がる。EFFの得票率次第では、そもそも連立パートナーとならない可能性もある。

わずか5年で得票率が17%も落ち込んだ背景は、経済の低迷、電力問題、治安の悪化、汚職の横行などが要因と考えられる。総選挙実施までのランドは、「むしろ連立政権となることで、南アフリカ政治の方向性が刷新されて南アフリカ経済へのプラスにつながる」と楽観ムード一色で円安ランド高が進行していた。

総選挙実施を受けて、市場がようやく事実を冷静に捉え、警戒感を強めた様子だが、連立政権樹立までは数日もしくは数週間かかる可能性はあることから、ランド買いは手掛けにくい状況が続く。下記のように整理したが、そもそも、どの連立政権も先行き警戒感が強いことから、ランド売りの展開を意識しておきたいところだ。

@ANCが、白人を主な支持基盤とする「民主同盟(DA)」と連立を組む
→支持基盤の違いからANC、DA双方の支持者、議員が納得しない可能性あり
AANCが左派政党の「経済開放の闘士(EFF)」と連立を組む
→ポピュリズム政党との連立で反欧米色が強まる可能性あり
BANCが、ズマ前大統領が率いる「民族のやり(MK)」と連立を組む
→ポピュリズム政党との連立で反欧米色が強まる可能性あり
CANCが連立を組めずに政治空白が発生する

テクニカルでは、日足の一目均衡表の雲上限を上放れて推移しているが、下向きに変化した転換線を下回り、週末にかけて基準線も割り込んだ。50日移動平均線が位置する8.27円水準が下値支持線として意識されそうだが、政治の混乱は買いを手控えさせることから、一気に100日移動平均線が位置する8.07円水準まで下げる可能性もあろう。

短期的なテクニカル、まだランド売り、という局面に入ったわけではないが、これまでのような強気一辺倒の地合いではなくなっている。今週は重要な経済指標の発表も控えているが、政局の混乱が経済指標の結果を呑みこむ地合いは続くだろう。ランドは一段安に警戒。

総選挙実施で政局混乱、ランド売りは継続か

南アフリカランド円日足

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