トルコリラWeekly 上値重い状況続くが、トルコ経済持ち直しへの期待感が強まるか可能性も(24/6/3)

先週のトルコリラは、目立った売買材料に乏しかったことから積極的な売買が手控えられ、4.8円から4.9円の狭いレンジ推移となった。

トルコリラWeekly 上値重い状況続くが、トルコ経済持ち直しへの期待感が強まるか可能性も(24/6/3)

上値重い状況続くが、トルコ経済持ち直しへの期待感が強まるか可能性も

【先週のトルコリラ】

先週のトルコリラは、目立った売買材料に乏しかったことから積極的な売買が手控えられ、4.8円から4.9円の狭いレンジ推移となった。

トルコ統計庁が、5月31日に発表した第1四半期GDPは前年同期比5.7%増と市場予想通りの結果となったことで、トルコリラへの影響は限定的となった。シムシェキ財務相は、「第2四半期の指標は経済の均衡化が続いていることを示している。今年はバランスの取れた成長が見込まれ、純外需が寄与するだろう」との声明を発表した。また、「9月時点のインフレ率が40%程度になる可能性がある」との発言もあったが、為替への反応は限定的となった。

トルコリラ・円(東京時間:5月27日―5月31日)※Investing.comの日足を参照
始値:4.8727円
高値:4.9144円
安値:4.8299円
終値:4.8799円 

【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間

5月27日
16時00分、5月設備稼働率、前回:76.7%、結果:76.3%
5月30日
16時00分、4月貿易収支、前回:−73.5億ドル、市場予想:−98.5億ドル、結果:−98.6億ドル
5月31日
16時00分、第1四半期GDP(前年比)、前回:4.0%、市場予想:5.7%、結果:5.7%
6月3日
16時00分、5月生産者物価指数(前年比)、前回:55.66%
16時00分、5月製造業PMI、前回:49.3
16時00分、5月消費者物価指数(前年比)、前回:69.80%、市場予想:74.80%

※予定は変更することがございます。

【今週の見通し】

今週のトルコリラは、3日の経済指標の結果次第ではあるが、トルコ経済持ち直しの期待感が高まっていることから、そろそろ上に動く展開も近いと考える。

先週、エルドアン大統領は「インフレ率は5月をピークに今年下半期にはある程度低下するだろう」と発言していることで、シムシェキ財務相、カラハン・トルコ中銀総裁、エルドアン大統領の三人が同じ方向性を向いていることが確認できたことはポジティブに考える。

改めてここ5年のトルコ中銀総裁の歴史を整理したい。

チェティンカヤ氏(16年4月-19年7月)
就任時に7.5%だった政策金利は18年9月に24.0%まで上昇。トルコリラ売りを止めるために大幅な利上げを実施したのち更迭。

ウイサル氏(19年7月-20年11月)
就任時に24.0%だった政策金利は20年5月には8.25%へ引き下げ。その後、20年9月に10.25%へ引き上げた結果、同年11月に更迭。

アーバン氏(20年11月-21年3月20日)
就任早々から利上げを実施。21年3月に政策金利を19.0%としたことでエルドアン大統領の逆鱗に触れ、わずか5か月で更迭。

カブジュオール氏(21年3月-23年6月)
エルドアン大統領の意向を踏まえ21年9月から利下げを加速。23年5月CPIが前年比+40%ほどの高インフレのなか政策金利は8.5%まで引き下げられた。満期まで2年残し交代(更迭ではなさそうだが辞任でもない)。

エルカン氏(23年6月-24年2月)
米系銀行出身。23年6月の就任時に8.25%だった政策金利を24年1月には45.0%まで引き上げた。同年2月に一身上の都合で辞任。

カラハン氏(24年2月-)
副総裁だった同氏はエルカン前総裁の突然の辞任によって就任。インフレ収束に自信を示す。

ここ5年間のトルコ中銀総裁は、エルドアン大統領による更迭の歴史だった。この歴史を考えると、エルドアン大統領とカラハン総裁、そして、シムシェキ財務相が同じ方向を向いていることは、トルコ経済にとって喜ばしいことだろう。こうした変化を受けて、海外資金の中長期的な流入も期待できよう。

テクニカル面は、4月29日の上影(上ヒゲ)以外、目立った上値抵抗線は存在していないが、上値が重くなっている。3月13日の史上最安値4.5227円から下値をじりじりと切り上げており下値不安は乏しいが、4月29日の高値4.9256円をクリアすれば、5.0円台を意識した地合いも期待できるが、先週は日足ベースで上ヒゲが連発しており4.9円台の定着もままならない。下値切り上げのしっかりの地合いは続きそうだが、同時に上値も重い状況にあり、テクニカル面では手掛けにくい。

一方、6月3日に発表される5月CPIが市場予想通りで、同PPIが前月同様もしくは下回り、かつ、同製造業PMIが節目の50を上回っていれば、トルコ経済持ち直しへの期待感などはより強まるだろう。トルコリラは横ばい推移が長かった分、動くときは早いと想定。経済指標に対して、市場が素直に反応するか注目したい。

上値重い状況続くが、トルコ経済持ち直しへの期待感が強まるか可能性も

トルコリラ円日足

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