トルコCPIへの反応は限定的、ドル円下落を追いかけ一時4.85円を割り込む
〇6/3夜の米経済指標の悪化をきっかけに6/4未明ドル円が急落、トルコリラ円も6/4未明4.84へ下落
〇その後はドル円の下げ渋りを見ながら、4.84を下値支持線として底固さを見せている
〇対ドル、6/3は概ね32.28から31.99の取引レンジ、1ドル32リラ近辺での揉み合い続く
〇昨日発表されたトルコ5月CPI、前月比と前年比は予想を上回る
〇4.84を上回るうちは、4.87超えから4.89試しとする
〇4.84割れからは、4.82前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の6月3日は概ね4.89円から4.84円の取引レンジ、4日早朝の終値は4.85円で先週末終値4.88円から0.03円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラが1ドル32リラ近辺で膠着状態を続ける中でトルコリラ円はドル円の騰落を追いかけており、ドル円が5月30日夜安値156.37円から6月3日午後高値157.47円へ上昇した局面で4.84円から4.89円へ上昇していたが、ドル円が下落に転じて3日夜の米ISM製造業景況指数が予想外に悪化したことをきっかけに4日未明に一時156円を割り込む急落となったため、トルコリラ円も4日未明に4.84円へ下落した。その後はドル円の下げ渋りを見ながら4日8時台には4.86円まで持ち直すなど4.84円を下値支持線として底固さを見せているものの、ドル円が一段安へ進む場合にはトルコリラ円も4.84円を割り込んで下向きの流れが続きやすくなるところだ。
ドル円は5月3日安値151.85円を起点として5月14日夜高値156.75円までを一段目の上昇とし、5月16日午前安値153.60円を起点として二段目の上昇に入り5月30日未明に157.70円まで高値を伸ばしてきたが、5月30日夜安値を割り込んだことにより5月30日未明高値を目先のピークとして下落期に入った印象だ。米10年債利回り等が3営業日連続で低下していることが影響しており、今夜のJOLTS求人件数や明日夜のADP民間雇用とISMサービス業景況指数等が低調なら下げ足が速まる可能性もあると思われる。
トルコリラ円は5月27日早朝の一時的急伸を除いて4.85円割れを買われつつ4.89円以上で売られる持ち合い相場となっており、ドル円が一段安するのを追いかける場合は持ち合い下放れに入り4.80円台序盤を試す流れへ進みやすくなると注意したい。
【ドル/トルコリラは32リラを挟んだ揉み合い続く】
ドル/トルコリラの6月3日は概ね32.28リラから31.99リラの取引レンジ、4日早朝の終値は32.17リラで先週末終値の32.23リラからは0.06リラのドル安リラ高だった。
6月3日はトルコの5月消費者物価指数の発表があり依然として高い水準を示したものの年後半への低下期待もあり市場の反応は鈍く、トルコ貿易省による5月貿易収支速報での貿易赤字が4月よりも減少したことで若干のドル安リラ高での推移となった。引き続き1ドル32リラ近辺での揉み合いで方向感を探る展開中だ。
6月3日にトルコ貿易省が発表した5月速報では貿易赤字が65.00億ドルとなり4月の99.0億ドルから減少し、輸出は241億ドルで4月の193億ドルから増加、輸入は306億ドルで4月の292億ドルから増加した。
イスタンブール5月製造業PMIは48.4となり4月の49.3から悪化した。
【トルコ5月CPI、前月比と前年比は予想を上回る】
6月3日にトルコ統計局が発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前月比3.37%となり4月の3.18%から伸びが加速して市場予想の3.0%を上回った。前年同月比は75.45%となり4月の69.8%から伸びが加速して市場予想の74.80%も上回った。エネルギーや食品等を除いたコア指数の前月比は3.8%で4月の3.6%を上回ったが、前年同月比は4月の75.8%から75.0%へ若干低下した。
5月の生産者物価指数(PPI)は前月比1.96%で4月の3.60%から鈍化したが前年同月比は4月の55.66%から57.68%へ伸びが加速した。
CPI前年比の項目別では教育が104.8%、生活用品が93.21%、ホテル・レストラン等が92.94%、アルコール・タバコ等が86.48%、運賃が79.10%。健康関連が77.67%と平均値を上回っている。
CPI全体の前年比と前月比がともに予想を上回ったことや、独立系調査団体(ENAグループ)が3日に発表した実勢の5月インフレ率が120.66%だったことを踏まえればトルコのインフレ高進の先行きはまだ見通せないともいえるが、シムシェキ財務相は「最悪の水準は終わった」、「6月からはインフレ率が持続的に下落して第3四半期(7〜9月)の終盤には年率50%を下回る」との楽観的見通しを示した。
金融大手の 米JPモルガンは5月31日にトルコ国債の投資判断を推奨の「オーバーウエート」に引き上げ、インフレはほぼピークに近く2025年末には25%へ低下するとの見通しを示した。またドル/トルコリラの見通しについても2024年末に1ドル35.5リラ、2025年末に1ドル42リラとしてこれまでの見通しよりもリラ高へと修正している。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、5月30日夕刻に4.84円まで下げてから4.87円まで戻したために31日午前時点では30日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして6月4日未明から6日早朝にかけての間への上昇を想定したが、3日午前時点では4.86円割れを弱気転換注意とし、5月30日夕安値4.84円割れからは弱気サイクル入りとした。
6月4日未明への下落で5月30日夕安値と同値まで下げたため、6月3日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして6月4日午後から6日夕にかけての間への下落を想定する。強気転換は6月3日午後高値4.89円超えからとする。
60分足の一目均衡表では6月4日未明への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、連続的な上昇で先行スパンを上抜き返すところからは反騰入りの可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は6月4日未明への下落で30ポイント近辺へ急落してから戻したものの50ポイントに届かずにいる。55ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイントを超えないか一時的に超えても維持できないうちは一段安余地ありとして20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.84円を下値支持線、4.89円を上値抵抗線とする。
(2)4.84円を上回るうちは4.87円超えから4.89円試しとするが、4.87円以上は反落警戒としてその後に4.84円を割り込むところから下落期入りと考える。
(3)4.84円割れからは4.82円前後への下落を想定する。4.82円以下は反騰注意とするが、4.84円以下での推移なら5日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。ドル円が急落する場合は4.80円試しへ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
6月6日
20:30 週次 外貨準備高 グロス 5月31日時点 (5月24日時点 827.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 ネット 5月31日時点 (5月24日時点 403.5億ドル)
6月7日
23:30 5月 財務省現金残高増減 (4月 -2369.8億リラ)
6月10日
16:00 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 -0.3%)
16:00 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 4.3%)
16:00 4月 失業率 (3月 8.6%)
16:00 4月 経常収支 (3月 -45.44億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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