トルコリラ円見通し 対ドルでリラが急落、ドル円の急落も重なりトルコリラ円は大幅下落(24/6/5)

トルコリラ円の6月4日は概ね4.87円から4.73円の取引レンジ、5日早朝の終値は4.75円で前日終値の4.85円から0.10円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 対ドルでリラが急落、ドル円の急落も重なりトルコリラ円は大幅下落(24/6/5)

対ドルでリラが急落、ドル円の急落も重なりトルコリラ円は大幅下落

〇トルコリラ円、円高とリラ安の両面から売られ6/5未明に4.73へ急落
〇5/3ドル円急落の際に4.69つけ5/27早朝の急伸で4.95まで二段上げ型で上昇した上昇幅の大半解消
〇対ドル、6/4終値32.57で日足終値ベースの最安値更新
〇最高裁、中銀総裁らの任期満了前の解任等を認めた大統領令無効に、政治情勢への先行き不透明感残る
〇最高裁判決不服としてエルドアン大統領の強権性が再燃する不安感拭えず、リラ売りへ
〇32リラ挟んだ持ち合い下放れ、6/5午前序盤32.65へと安値切り下げる
〇31リラ台後半で繰り返し売られてきたことによるリラ買い限界感から、リラ売り再開した可能性に注意
〇4.78下回るうちは一段安余地あり、4.73割れからは4.70前後への下落想定
〇4.78超えからは4.80試しとするが4.80前後は反落警戒、その後に4.75割り込むところから下げ再開

【概況】

トルコリラ円の6月4日は概ね4.87円から4.73円の取引レンジ、5日早朝の終値は4.75円で前日終値の4.85円から0.10円の円高リラ安だった。
日銀が長期金利抑制のための国債買い入れ額を減額するとの観測報道や米4月JOLTS求人件数が予想を大幅に下回る悪化となったことによる米長期債利回りの低下によりドル円は6月4日夜安値154.54円へ急落したが、ドル/トルコリラが前日までの32リラを挟んだ持ち合いから下放れ(ドルから見れば上放れ)して終値ベースの史上最安値を更新するリラ安となったため、トルコリラ円は円高とリラ安の両面から売られて6月5日未明に4.73円へ急落した。

ドル円は5月30日未明に157.70円を付けて5月3日夜安値151.85円以降の最高値とし、その後は157円を挟んでやや乱調に推移していたが、6月3日夜の米5月ISM製造業景況指数の悪化で5月30日夜安値156.37円を割り込んで一段安に入り、4日は日銀が来週の金融政策決定会合で国債大量買入れの減額に踏み込むとの観測記事や、4日夜の4月米JOLTS求人件数が大幅に減少したことで米長期債利回りが4営業日連続低下となったことから急落商状に陥った。

5月14日夜高値156.75円から5月16日午前安値153.60円までの下げ幅3.15円に対して5月30日未明高値から4日夜安値までの下げ幅は3.16円でほぼ同規模であり、5日午前は急落後の反動で155.40円台まで切り返しているのでひとまず急落商状は落ち着いたようだが、今週末の米雇用統計へ向けて米経済指標の内容が弱い場合は米長期債利回り低下とともにドル円が一段安へ進む可能性もあると警戒したい。
トルコリラ円は5月3日にかけてドル円が急落した際に4.69円を付けてから5月27日早朝の一時的な急伸で付けた高値4.95円まで二段上げ型で上昇してきたが、6月5日未明への急落でこれまでの上昇幅の大半を解消した。ドル/トルコリラが日足終値ベースで最安値を更新したこととドル円の下落継続への警戒感を踏まえれば、目先は急落後の反動に注意がいるものの戻り一巡後の下落で5月3日安値を割り込んで中勢レベルの下落期入りとなることも警戒される。

【ドル/トルコリラは32リラを挟んだ揉み合いから下放れ、終値で最安値更新】

ドル/トルコリラの6月4日は概ね32.63リラから32.03リラの取引レンジ、5日早朝の終値は32.57リラで前日終値の32.17リラから0.40リラのドル高リラ安となった。
5月31日終値を32.23リラとして4月30日終値32.40リラから0.17リラのドル安リラ高となり2023年9月から2024年4月まで8か月連続のドル高リラ安にブレーキがかかったのだが、5月14日高値31.89リラの後は高値更新へ進めずに終値ベースでは32リラ台を維持し続けて32リラを挟んだ持ち合い相場に入っていた。
6月4日は最高裁がエルドアン大統領による中銀総裁らに対する任期満了前の解任等を認めた大統領令を無効としたことや、トルコのフィダン外相が中ロなど新興国で構成する「BRICS」への加盟を望んでいると発言して、ロシア大統領府のペスコフ報道官はこれを歓迎すると述べたこと等がトルコの先行き不透明感をもたらしたことでリラが売られ、ドル/トルコリラは32.63リラへ下落して32リラを挟んだ持ち合いから下放れ(ドルから見れば上放れ)に入り、5日午前序盤も32.65リラへと安値を切り下げている。

6月3日発表のトルコ5月CPIで全体の前月比と前年比が予想を上回ったものの5月ないし6月にはインフレがピークを付けて年後半へ40%台ないし30%台へ低下するとの見方が優勢であり、海外投資家によるトルコ金融政策の正常化を評価した投資意欲の拡大で外貨準備高が増加していること等が4月後半からのトルコリラを支えていたのだが、トルコの政治情勢への先行き不透明感が拭えない状況にあるため、31リラ台後半で繰り返し売られてきたことによるリラ買いの限界感からリラ売りが再開したという可能性もあると注意したい。
取引時間中の史上最安値は4月12日の33.03リラだが、日足終値ベースでは4月24日終値32.54リラがこれまでの最安値であり6月4日終値32.57リラで最安値が更新されている。
金融大手の 米JPモルガンは5月31日にトルコ国債を買い推奨とする一方で、ドル/トルコリラの見通しについては2024年末に1ドル35.5リラ、2025年末に1ドル42リラとしてこれまでの見通しよりもリラ高へと修正したもののまだ暫くはリラ安基調が続くとしている。

取引時間中の史上最安値は4月12日の33.03リラだが、日足終値ベースでは4月24日終値32.54リラがこれまでの最安値であり、6月4日終値32.57リラで最安値が更新されている。
金融大手の 米JPモルガンは5月31日にトルコ国債を買い推奨とする一方で、ドル/トルコリラの見通しについては2024年末に1ドル35.5リラ、2025年末に1ドル42リラとしてこれまでの見通しよりもリラ高へと修正したもののまだ暫くはリラ安基調が続くとしている。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、5月30日夕安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、6月3日午前時点では4.86円割れを弱気転換注意として5月30日夕安値4.84円割れから弱気サイクル入りとしていたが、6月4日未明への下落で5月30日夕安値と同値まで下げたため、6月4日午前時点では6月3日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして6月4日午後から6日夕にかけての間への下落を想定した。
6月5日未明へ大幅下落した後はドル円の反発で戻しているもののドル高リラ安による圧迫感で勢いはまだ鈍いため一段安余地ありとするが、4.78円超えからは強気サイクル入りとして6日午後から10日午後にかけての間への上昇を想定する。ただし強気転換した後にこの間の安値を更新するところからは新たな弱気サイクル入りとして7日深夜から12日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月4日未明への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落してその後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、先行スパンからの転落が続く内は遅行スパンがその後に悪化するところから下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は6月4日夜に10ポイント台へ急落してから40ポイント台へ戻しているため、50ポイント超えからは60ポイント前後への上昇を想定するが、30ポイント割れからは下落継続として10ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.73円を下値支持線、4.78円を上値抵抗線とする。
(2)4.78円を下回るうちは一段安余地ありとし、4.73円割れからは4.70円前後への下落を想定する。4.70円以下は反騰注意とするが、4.75円を下回っての推移か直前安値から0.07円を超える反騰がみられないうちは6日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.78円超えからは4.80円試しとするが4.80円前後は反落警戒とし、その後に4.75円を割り込むところから下げ再開と考える。

【当面の主な予定】

6月6日
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 5月31日時点 (5月24日時点 827.7億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 5月31日時点 (5月24日時点 403.5億ドル)
6月7日
 23:30 5月 財務省現金残高増減 (4月 -2369.8億リラ)
6月10日
 16:00 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 -0.3%)
 16:00 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 4.3%)
 16:00 4月 失業率 (3月 8.6%)
 16:00 4月 経常収支 (3月 -45.44億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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