ドル円の後を追う、ドル/トルコリラは32リラ近辺で膠着状態
〇トルコ円、5/30夕刻にドル円が反落したところで4.84へ下落
〇5/31は米指標発表を挟んだドル円乱高下を追いかけ、6/1早朝に高値4.89まで持ち直す
〇ドル円が158円台、159円台と高値を伸ばす場合、トルコ円も5/27早朝高値4.95超えとなるか
〇円高がぶり返す場合、トルコ円もいったん仕切り直しの下落期に入る可能性も
〇対ドル、5/31は概ね32.67から31.95の取引レンジ、6/1早朝の終値は32.23
〇ドル/トルコリラは32リラを挟んだ小動き続く、9か月振りに月間ではリラ高
〇5/31発表のトルコ1-3月期GDPは予想通りの+5.7%、年後半は景気減速するとの見方が優勢
〇本日発表の5月トルコCPI、前年比で4月から加速見込み
〇4.86を上回るうちは上昇余地ありとし、4.90超えからは4.92前後への上昇を想定
〇4.86割れを弱気転換注意とし、4.84割れからは下落期入りとみて4.82前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の5月31日は概ね4.89リラから4.85リラの取引レンジ、6月1日早朝の終値は4.88円で前日終値の4.87円から0.01円の円安リラ高となり、週間では5月24日終値4.87円から0.01円の円安リラ高、月間でも4月30日終値4.87円から0.01円の円安リラ高だった。
4月29日の政府日銀による大規模市場介入によりドル円が急落した局面でトルコリラ円は4.92円から5月3日夜安値4.69円へ大幅下落したが、その後はドル円の反騰を追いかけて持ち直しを続けてきた。5月27日早朝には一時急伸だったものの4.95円を付けてこの間の高値を更新したが、その後は4.80円台後半を中心とした持ち合いにとどまっている。
ドル円が5月30日未明に157.70円を付けて5月3日安値151.85円以降の高値を更新したところでトルコリラ円は高値更新へ進めず、5月30日夕刻にドル円が反落したところで4.84円へ下落したが、31日は米経済指標発表を挟んでドル円が乱高下した流れを追いかけて6月1日早朝高値4.89円まで持ち直した。
今週は6月7日の米5月雇用統計まで米国の重要指標発表が続き、来週は米FOMC(6月11/12日)と日銀金融政策決定会合(6月13/14日)がある。ドル円が市場介入を警戒しつつ5月3日以降の上昇基調を継続して158円台、159円台と高値を伸ばして行けばトルコリラ円も円安による押し上げで5月27日早朝高値4.95円を超えてゆくことが期待されるが、円高がぶり返す場合にはトルコリラ円もいったん仕切り直しの下落期に入る可能性もあると注意する。
【ドル/トルコリラは32リラを挟んだ小動き続く、9か月振りに月間ではリラ高】
ドル/トルコリラの5月31日は概ね32.67リラから31.95リラの取引レンジ、6月1日早朝の終値は32.23リラで前日終値の32.20リラからは0.03リラのドル高リラ安となり、週間では5月24日終値32.20リラから0.03リラのドル高リラ安だった。
月間では4月30日終値32.40リラから0.17リラのドル安リラ高だが、2023年9月から2024年4月まで8か月連続でのドル高リラ安にブレーキがかかり9カ月ぶりのリラ高で終了したが、3月31日のトルコ統一地方選挙における与党大敗をきっかけとしたリラの短期反騰とその後に史上最安値を更新した4月の高安レンジ(4月12日安値33.03リラから4月1日高値31.36リラ)の範囲内に留まっており、歴史的なリラ安が落ち着いた可能性を示しつつも小休止に終わり、年末にかけて1ドル40リラに迫ってゆく可能性も残している印象だ。
【トルコ1-3月期GDPは予想通りの+5.7%】
5月31日に発表されたトルコの1-3月期GDPは前年同期比5.7%増となり市場予想と一致し、昨年10-12月期の4.0%増を上回った。最低賃金の上昇やインフレ高進を見込んで前倒しでモノの購入がなされたことで内需が伸びた影響とされるが、昨年7-9月期の6.1%を下回っており、2022年4‐6月期の7.6%以降は7%を下回った状況が続いている、トルコ中銀の金融引き締めが続いていることや財務省による緊縮財政政策等により年後半は景気減速するとの見方が優勢のようだ。
1-3月期のGDP前期比は2.4%増で昨年10-12月期の1.0%増を上回った。家計最終消費支出は7.3%増、輸出は4.0%増。輸入は3.1%減だった。
【5月のトルコCPIは前年比で4月から加速見込み】
6月3日16時にトルコ統計局による5月CPI(消費者物価指数)の発表がある。事前予想の中央値では前月比が4月の3.18%から3.0%へ若干鈍化し(予想レンジは2.70%から3.30%)、前年同月比は4月に69.80%から74.80%へ伸びが加速する(予想レンジは74.30%から75.33%)と見込まれている。
トルコ中銀や財務省は5月にインフレ率がピークを付けて年末には40%以下へ低下してゆくと想定しており、市場予想でも40%台前半へ低下してゆくとみられているため、今回の発表が当面のピークに近い水準と考えられているが、実際のインフレ率はトルコ統計局の公式発表よりもさらに高いとの調査もあるため、前月比の伸びが高いようだと6月もさらに前年同月比で伸びが加速することも考えられる。
6月1日にイスタンブール市が発表した5月RPI(小売物価指数)は前月比3.59%で4月の4.89%を下回ったが前年同月比は82.20%で4月の78.81%を上回った。5月の同市WPI(卸売物価指数)は前月比2.59%で4月の4.87%から鈍化し、前年同月比も61.21%で4月の65.94%から鈍化した。(※イスタンブール市の人口は1410万人でトルコ人口8500万人の17%近くを占め、人口566万人の首都アンカラを超える最大都市)
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、5月30日夕刻に4.84円まで下げてから4.87円まで戻したために31日午前時点では30日早朝高値を直近のサイクルトップ、30日夕安値を同サイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして6月4日未明から6日早朝にかけての間への上昇を想定した。
6月1日早朝へ続伸したため引き続きトップ形成中とするが、戻りは短命の可能性もあるので4.86円割れを弱気転換注意とし、5月30日夕安値4.84円割れからは弱気サイクル入りとして6月4日午後から6日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では6月1日早朝への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いているため遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、連続的な下落で先行スパンから転落する場合は下落再開と仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は5月30日夕の30ポイント割れから切り返した後は60ポイント台で売られ抵抗感がみられるため、50ポイントを割り込んでも回復する内は70ポイントに迫る上昇余地ありとするが、70ポイントに迫るところは反落注意とし、45ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.86円を下値支持線、4.90円を上値抵抗線とする。
(2)4.86円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.90円超えからは4.92円前後への上昇を想定する。4.92円以上は反落注意とするが、4.87円を上回っての推移なら4日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。ドル円が急伸する場合には4.94円前後へ上値目途を引き上げる。
(3)4.86円割れを弱気転換注意とし、4.84円割れからは下落期入りとみて4.82円前後への下落を想定する。4.82円以下は反騰注意とするが、4.85円以下に留まる場合は4日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
6月第1週 日時未定 トルコ5月貿易収支速報
6月3日
16:00 5月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (4月 3.18%、予想 3.00%)
16:00 5月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (4月 69.8%、予想 74.80%)
16:00 5月 コアCPI 前月比 (4月 3.6%)
16:00 5月 コアCPI 前年同月比 (4月 75.8%)
16:00 5月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (4月 3.60%)
16:00 5月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (4月 55.66%)
6月6日
20:30 週次 外貨準備高 グロス 5月31日時点 (5月24日時点 827.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 ネット 5月31日時点 (5月24日時点 403.5億ドル)
6月7日
23:30 5月 財務省現金残高増減 (4月 -2369.8億リラ)
6月10日
16:00 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 -0.3%)
16:00 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 4.3%)
16:00 4月 失業率 (3月 8.6%)
16:00 4月 経常収支 (3月 -45.44億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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