『連立政権樹立を巡る不確実性を背景に約1カ月半ぶり安値圏へと大幅下落』
〇今週の南ア円、週初8.44まで上昇するも週後半にかけて一時8.19まで反落
〇南ア総選挙での与党アフリカ民族会議(ANC)の過半数割れによる政局先行き不透明感等が背景
〇南ア指標不冴え、金・プラチナ価格の不冴えも重石に
〇日足が主要テクニカルポイントを下抜け、買いシグナルも消失、地合い弱い
〇南ア総選挙における与党惨敗の悪影響、米早期利下げ観測後退、南ア経済先行き不透明感も重石に
〇南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.10ー8.45
今週のレビュー(6/3−6/7)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.36円で寄り付いた後、早々に週間高値8.44円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)5/29に開催された南ア総選挙で与党・アフリカ民族会議(ANC)の過半数割れが確定したこと(ANCの得票率は40.2%と1994年の民主化以来初めてとなる過半数割れ)や、(2)上記1を背景とした連立政権樹立を巡る先行き不透明感、(3)南ア5月製造業PMI(結果43.8、前回54.0)の大幅悪化、(4)南ア5月Naamsa自動車販売(結果▲14.2%、前回+2.2%)の冴えない結果、(5)格付け会社スコープによる「次期政権が一貫性に欠く場合は格付け見通しに悪影響が及ぶ恐れ」とのネガティブ発言、(6)南ア1ー3月期GDP(結果+0.5%、予想+0.8%)の市場予想を下回る結果、(7)金・プラチナ価格の冴えない動き(交易条件悪化懸念)が重石となり、週後半にかけて、週間安値8.19円まで急落しました。週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/8午前0時10分現在)では、8.29円前後で推移しております。
来週の見通し(6/10−6/14)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、5/22に記録した約2年ぶり高値8.66円(2022年6月以来の高値圏)をトップに反落に転じると、週後半にかけて、約1カ月半ぶり安値8.19円(4/26以来の安値圏)へと急落しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線)を下抜けしたことや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」が消失したこと、4時間足などの下位足で強い売りシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南ア総選挙における与党惨敗の悪影響(与党ANCの得票率は前回2019年選挙時の57.5%から40.2%へ急低下するなど、少数政党との連立に必要とされていた45%のボーダーラインを下回るネガティブサプライズ→得票率21.8%の第2党DAとの連立交渉が失敗に終わる場合、ズマ前大統領が率いる得票率14.6%の第3党MKや、得票率9.5%の急進左派EEFとの連立を余儀なくされるため、連立政権樹立を巡る不確実性は極めて高い)や、(2)上記1を嫌気した海外投資家による南アフリカ・アセットからの資金撤退リスク(南ア株急落→南アランド下落)、
(3)米FRBによる早期利下げ観測後退(良好な米雇用統計を背景に米長期金利が再び上昇→南アランドなど新興国通貨に下押し圧力)、(4)南アフリカ経済の先行き不透明感(今週発表された南ア経済指標は総じて冴えない結果)、(5)金・プラチナ価格の軟調推移(南アフリカの交易条件悪化懸念)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.10ー8.45
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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