ドル円見通し 150円台到達、9月16日以降の高値更新で円安継続感強まる(24/10/18)

ドル円は、18日早朝に150.32円まで高値を伸ばした。

ドル円見通し 150円台到達、9月16日以降の高値更新で円安継続感強まる(24/10/18)

ドル円見通し 150円台到達、9月16日以降の高値更新で円安継続感強まる

〇昨日のドル円、149円割れを買われて確り、概ね良好な米指標を受けて150円に到達
〇11月FOMCでの大幅利下げ期待後退により米長期債利回り上昇、ドル円を押し上げる
〇150円の壁を超えたことで、年末にかけての円安継続感増す
〇米10年債利回りは反騰、NYダウは史上最高値更新
〇150.50超えからは151円前後試しを想定
〇149.70割れを弱気転換注意とし、149.44割れからは149円前後試しを想定

【概況】

ドル円は10月15日早朝に149.97円へ上昇して9月16日安値139.57円以降の高値を更新し、150円超えを時期尚早として15日夕安値148.84円までいったん下げたものの、16日午前の149円割れも買われて確りし、17日夜の米小売売上高が予想を上回り米新規失業保険申請件数が予想外に改善したことで米長期債利回りが上昇したのを見て150円に到達し、18日早朝に150.32円まで高値を伸ばした。
米商務省が発表した9月小売売上高は前月比0.4%増となり市場予想の0.3%増を上回り、米新規失業保険申請件数も24万1000件で前週から1万9000件減少して労働市場の悪化感を後退させた。これらは米FRBによる11月FOMCにおける大幅利下げ期待を後退させるものと市場は受け止め、米長期債利回りが上昇してドル円を押し上げた。

欧州中銀(ECB)が17日の理事会で市場予想通りに0.25%利下げを決定したことでユーロドルは9月後半以降の最安値を更新したがその後は下げ渋り、前日のインフレ率鈍化で急落したポンドドルは17日夕刻に安値を更新してから戻し、原油相場急落につれ安した豪ドル米ドルも16日深夜以降は下げ渋っており、ドルストレートでのドル安に一服感がみられるものの、日銀の年内追加利上げへの消極姿勢と米国の利下げペースが緩やかになること、NYダウが史上最高値を更新したことによるリスク選好感が株高円安を助長しやすい状況としているため、ドル円は150円の壁を超えたことで年末にかけての円安継続感を増していると思われる。

【米経済指標は概ね良好】

米商務省による9月小売売上高は前月比0.4%増となり8月の0.1%増から改善して市場予想の0.3%増を上回った。変動の激しい自動車・同部品を除くと0.5%増で市場予想の0.1%増を上回り、ガソリンを除くと0.6%増、自動車・同部品・ガソリンを除くと0.7%増となった。
米労働省による新規失業保険申請件数は10月12日までの週間で24万1000件となり市場予想の26万件を下回り、前週の26万件から減少して3週ぶりに改善した。1週遅れの失業保険受給者総数は10月5日までの週間で186万7000人となり前週から9000人増加した。
10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は10.3となり9月の1.7から改善して市場予想の3.0を大きく上回った。

FRBによる9月鉱工業生産指数は前月から0.3%低下の102.6となり市場予想の0.2%低下よりも悪く、8月は速報の0.8%増から0.3%増へ下方修正され、設備稼働率は77.5%で8月の77.8%から低下して製造業関連の低調さを示した。
NAHB住宅市場指数は9月の41から10月は43へ改善して予想の42を上回った。
総じて連続大幅利下げの必要性を低下させたが、鉱工業生産の低下を見ると利下げ見送りではなく0.25%の通常利下げの継続という印象を強めたと思われる。

【米10年債利回りは反騰、NYダウは史上最高値更新】

9月の米小売売上高が予想を上回り新規失業保険申請件数が減少したことを受けて17日の米長期債利回りは総じて上昇した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.07%上昇の4.09%、30年債利回りは同0.09%上昇の4.39%、政策金利動向に敏感な2年債利回りは同0.03%上昇の3.97%となった。

一方でNYダウは16日の前日比337.28ドルからの連騰で17日は前日比161.35ドル高と上昇し、43289.76ドルへ取引時間中の史上最高値を更新し、終値43239.05ドルも終値ベースの最高値とした。ナスダック総合指数は16日の54.49ポイント高から17日に6.53ポイント高と小幅上昇したが米長期債利回り上昇に圧迫されて上げ幅を削った。S&P500指数は前日比1.00ポイント安に終わったが、一時5878.46へ上昇して取引時間中の史上最高値を更新した。
米国主要株価指数の上昇基調継続が日経平均を押し上げやすくなるため、株高円安のセット感でドル円は上昇しやすく、米長期債利回りの再上昇ないし高止まりも円安に寄与する状況と思われる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は10月15日夕安値で149円を割り込んだところを起点として上昇期に入り15日早朝高値を超えて一段高とした。目先の高値形成期は18日早朝から22日早朝にかけての間と想定されるので、週末要因と150円到達での利食いに圧される可能性があるものの、150円突破により円安継続感が勢い付いている可能性もあるため、151円を目指す上昇を継続する可能性があるとみる。
ただし、17日夜反落時安値149.44円割れからはいったん下げに入るとみて18日夕から22日夕にかけての間への下落と149円前後試しを想定する。

60分足の一目均衡表では149円台中心の持ち合いから上抜けており、遅行スパンの好転と先行スパンを上抜いた状況を維持しているため遅行スパン好転中の高値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とし、先行スパンから転落する場合はいったん仕切り直しの下落期に入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は18日早朝に70ポイントへ到達した後も60ポイント台を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落注意とし、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、149.70円を下値支持線、150.50円を上値抵抗線とする。
(2)149.70円を上回るうちは上昇余地ありとし、150.50円超えからは151円前後試しを想定する。151円到達では売られやすいとみるが、149.70円以上を維持して週を終える場合は週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)149.70円割れを弱気転換注意とし、17日夜反落時安値149.44円割れからはいったん下げに入るとみて149円前後試しを想定する。149円台序盤は買われやすいとみるが、149.44円を割り込んで週を終える場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

10/18(金)
11:00 (中) 7-9月期 GDP 前期比 (4‐6月 0.7%、予想 1.0%)
11:00 (中) 7-9月期 GDP 前年同期比 (4‐6月 4.7%、予想 4.5%)
11:00 (中) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 2.1%、予想 2.5%)
11:00 (中) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 4.5%、予想 4.5%)
15:00 (英) 9月 小売売上高 前月比 (8月 1.0%、予想 -0.3%)
15:00 (英) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 2.5%、予想 3.2%)
15:35 (日) 内田日銀副総裁、全国信組大会挨拶(植田総裁の代読)
17:00 (欧) 8月 経常収支・季調済 (7月 396億ユーロ )
18:00 (欧) 8月 建設支出 前月比 (7月 0.0%)
18:00 (欧) 8月 建設支出 前年同月比 (7月 -2.2%)

21:30 (米) 9月 住宅着工件数・年率換算 (8月 135.6万件、予想 135.0万件)
21:30 (米) 9月 住宅着工件数 前月比 (8月 9.6%、予想 -0.4%)
21:30 (米) 9月 住宅着工許可件数・年率換算 (8月 147.5万件、予想 146.0万件)
21:30 (米) 9月 住宅着工許可件数 前月比 (8月 4.9%、予想 -0.7%)
23:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会
25:10 (米) ウォラーFRB理事、講演


注:ポイント要約は編集部

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