介入で160円が天井、今週はもみあい
〇先週のドル円、週末米国雇用統計が弱い数字で151.86レベルまで下げ、152円台後半に戻して引ける
〇短期的にはいったん高値見たが、日米金利差縮小が見られるであろう第4四半期まで160円守れるか
〇強い姿勢で介入続けなければ、中期的には160円の大台試す動きが出てもおかしくない
〇先週の初回介入後の戻り高値157.99レベルが当面の高値として意識される
〇当面の下値は昨年12月安値と先週高値との半値押し150.21とも重なる150円の大台か
〇短期的には3月下旬〜4月上旬の強いレジスタンス151.95レベルと重なる152円がサポートとなりやすい
〇戻しの限界点は157.99、短期的には先週高値と安値の半値戻しとなる156.01
〇今週は152.00レベルをサポート、156.00レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通し
激しい値動きの一週間となりました。日銀会合において円安懸念が示されなかったどころか容認とも取れる発言が出たことをきっかけに、158円台に乗せて引けたところから始まりましたが、東京市場が休場ということもあり、10時半過ぎには一気に160円の大台に乗せる動きとなりました。さすがに当局としても160円は容認できなかったようで、13時過ぎには大規模な介入が入り、欧州市場序盤には154円台半ばまで急反落を見せました。
そして、翌日から1日NY後場までは買い戻しからじり高の展開が続きましたが、注目のFOMCではQT(量的引き締め)のペースの緩和が予想よりも大きかったことを受け、米金利が低下、ドル売りの動きとなりました。そこに押し下げの介入が入ったことで153円まで水準を下げ、翌日東京前場に156円台まで戻したものの、その後は介入のドル売りオーダーでも入っているのではないかと思わせるじり安の動きに。そして米国雇用統計は全般に弱い数字となったことから週間安値151.86レベルまで下げた後に152円台後半に戻して引けました。
先週の介入は月曜に5兆円超、FOMC後に3兆円超と2022年の大規模介入を思いださせる規模の介入が実施されましたが、かろうじて1990年のインターバンクでつけた高値160.35レベルを抜けなかったことで、いったん落ち着きを取り戻しています。しかし、絶対的な日米金利差がある以上、動きが止まると改めてドル買いという動きにも変化は無く、本日も東京市場が休場の中、153円台半ばまで水準を上げています。
また、大規模介入があったのが月曜ですが、翌火曜時点のシカゴの通貨先物における円売りポジションは約16.8万枚と前週の約18万枚(史上2番目の円売り、過去最大は約18.8万枚)から若干減少しているものの、まだまだ大きなサイズの円売りです。
今後もよほど強い姿勢で介入を続けないと中期的には160円の大台を試す動きが出て来てもおかしくありません。短期的にはいったん高値を見たと言えますが、米金利低下と円金利上昇による日米金利差縮小が見られるであろう第4四半期まで160円を守れるか、当局のお手並み拝見と考えている市場参加者は多いでしょう。
今週は火曜から東京勢が本格復帰しますが、しばらくは先週の初回介入後の戻り高値157.99レベルが当面の高値として意識されることとなるでしょう。テクニカルには日足チャートをご覧ください。
先週見た通り、昨年12月安値を起点に2月高値までの上げ、3月安値までの押しを3点としたフィボナッチ・エクスパンションのうち、127.2%(161.8%の平方根)エクスパンション160.00を達成したことから、現在はどこまで押せるのかをまず考えることとなります。
昨年12月安値と先週高値との38.2%押しが152.56、半値押しが150.21となっていて、前者は先週既に見ている水準であることから、当面の下値は150.21とも重なる150円の大台という見方で良いでしょう。なお、短期的には3月下旬から4月上旬にかけての強いレジスタンスとなっていた151.95レベルと重なる152円はサポートとなりやすい水準です。
また、戻しの限界点は上述した157.99ですが、短期的には先週高値と安値の半値戻しとなる156.01と見ています。今週は152.00レベルをサポートに、156.00レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
5月6日(月)
**:** 東京、LDN市場休場
10:45 中国4月MarkItサービス業PMI
16:50 フランス4月サービス業PMI
16:55 ドイツ4月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏4月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏3月PPI ☆
25:50 リッチモンド連銀総裁講演 ☆
26:00 NY連銀総裁講演 ☆
5月7日(火)
08:01 英国4月小売売上高
13:30 豪中銀政策金利発表 ☆
15:00 ドイツ3月製造業新規受注、貿易収支
15:45 フランス3月貿易収支
17:30 英国4月建設業PMI
18:00 ユーロ圏3月小売売上高
24:30 (ミネアポリス連銀総裁講演)
5月8日(水)
15:00 ドイツ3月鉱工業生産
21:00 ベルギー中銀総裁講演
23:00 米国3月卸売売上高
23:30 週間原油在庫統計
26:00 クックFRB理事講演 ☆
5月9日(木)
08:01 英国4月住宅価格
08:50 4月日銀会合主な意見 ☆
**:** 中国4月貿易収支
20:00 英中銀政策金利発表 ☆
20:30 英中銀総裁会見 ☆
21:15 デギンドスECB副総裁講演 ☆
21:15 チポローネECB理事講演 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
5月10日(金)
08:50 本邦3月貿易収支
15:00 英国1〜3月期GDP速報値 ☆
15:00 英国3月貿易収支
20:30 4月ECB理事会議事要旨 ☆
23:00 米国5月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆
25:45 (シカゴ連銀総裁講演)
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
4月29日(月)
週明けのドル円は金曜NY市場でのドル高の動きを受け早朝から円全面安、東京市場が休場で参加者も少ない中、10時過ぎには一時160.21レベルの高値をつけました。しかし午後に入り突然急落、その後も上値の重たい動きを続け、欧州市場序盤には154.51レベルと5円70銭もの値幅となり、財務省関係者はノーコメントとしながらもほぼ介入が入ったと見られました。NY市場では156円台後半まで戻した後に155円間近まで押し、引けは156円台前半と神経質な展開を続けました。
4月30日(火)
ドル円は米金利上昇に支えられ終日じり高、156円台前半から157円台後半へと水準を切り上げました。海外市場では月末実需のドル買いの動きも見られた様子で、金曜終値水準へと戻してFOMC待ちとなりました。
5月1日(水)
ドル円はFOMCを控えて小動きが続いていましたが、158円で上値が重くなったこともありNY市場に入ってからは若干売られてFOMC待ち。結果は予想の範囲内であったもののQTのペースを6月から減速するという点に反応し米金利低下、ドル売りの動きとなりました。しかし荒れたのはそこからで、NY引け間際に介入と思われる大口のドル売りから一時153.00レベルまで下げ、引けにかけては154円台半ばへと戻しました。
5月2日(木)
ドル円は休み前の実需と思われるドル買いから仲値までは買いが先行しましたが、その後は介入のドル売りオーダーでも入っているのかと思わせる動きとなり、終日じりじりと水準を下げていく動きとなりました。153円目前の水準まで押してから、やや戻しての引けとなりました。
5月3日(金)
前日ほぼ終日下げていたこともあり上値が重たい流れで始まりましたが、雇用統計を前にして153円を挟んだもみあいが続きました。雇用統計は主要な指標が全て予想よりも弱かったことから米金利が低下、ドル円は151.86レベルまで売られた後に152円台後半へ戻して引けました。
ディスクレーマー
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