イースター前で上下とも振れやすい
〇先週のドル円、金融政策ウィークで短期的には材料出尽くしと絶対的な金利差から円安に振れる展開
〇週間でほぼ3円のドル高円安が進行するも、昨年・一昨年高値151.91/94を目前にトライしきれず反落
〇シカゴ通貨先物の円売りポジションは再び増加に転じ、現行水準からの更なる円安には警戒感高まる
〇今週末、四半期末とグッドフライデー重なり市場の流動性低下に注意
〇イースター控え151円台後半で一進一退、トライする動きが出たらいったんは152円台に乗せるか
〇152円台前半から半ばまで一段の円安を見る局面では介入警戒感も高まり、実弾介入が入る可能性も
〇今週は一時的に高値更新してもすぐ反落する流れ想定
〇大台150.00レベルをサポート、152.10レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通し
先週のドル円は金融政策ウィークで日銀はマイナス金利解除とYCC撤廃という引き締めへの一歩、いっぽうでFRBは金利見通しの維持と早期のQT縮小と実質的緩和への転換へと舵を切り始めたと言えます。ただ、どちらも事前の予想通りの内容であり、中長期的には日米金利差縮小の動きから円高要因ではあるものの、短期的には材料出尽くしと現時点では絶対的な金利差が依然としてあるということから円安に振れる展開となりました。
週初の148円台後半から週末の151円台後半までほぼ3円のドル高・円安が進行しましたが、昨年・一昨年高値の151.91/94を目前にトライしきれず反落しました。これは新値更新となると当局による介入が出るのではないかとの警戒感もありましたが、週を通して積みあがっていた円売りポジションの利食いが週末前に出たという見方で良いと思います。下げたと言っても151円さえ割り込まなかった週末の動きを見るとポジション的にも改めて円売りに傾いてきたと見てよいでしょう。
実際にシカゴ通貨先物の円売りポジションを見ると、前週には10万枚近くまで減っていた円売りが再び増加に転じ約11.5万枚の円売りポジションとなっています。まだ危険水域とは言えないものの、今後円安に振れる動きが出てポジションも一段と増えていく中でもし介入といった動きがあると一気に円高に振れるリスクがあるため、新高値まで近いとは言っても現行水準からの更なる円安には警戒感が高まるであろうことは間違いありません。
そして今週は四半期末とグッドフライデーが重なります。今週金曜から来週月曜までは主要な市場が休場となり、参加者が少ない中での四半期末となるため、実需に偏りが出てくると、思いがけない動きにつながる可能性もあります。イースターの時期は欧米ではクリスマスと並んで参加者が減り市場の流動性が低下しますので、実質的には木曜までと思って動いた方が安全です。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
強いレジスタンスは昨年高値151.91から一昨年高値151.94のゾーンとなりますが、今回も151.86とあと10銭も行けば新高値というところまで迫りました。ただ151.95〜152.00にはオプションがらみのドル売りが‘あり、152円にはストップのドル買いもあると見られますので、151円台後半では一進一退、トライする動きが出てきた時にはいったんは152円台に乗せる動きという流れがイースターを控えてありそうなシナリオです。
しかし152円台前半から半ばまで一段の円安を見る局面では介入警戒感も高まります。実弾介入が入る可能性は五分五分よりも高いのではないかとかんがえていますが、ここで抑えておかないとあっという間に大きく円安が進行してしまうリスクがあるためです。昨年末安値から今年2月の高値、その後の3月安値への押しを3点と考えた上昇N波動を考えると、フィボナッチエクスパンションで50%エクスパンションが151.79とほぼ先週高値、次の61.8%エクスパンションは153.04と一気に水準を上げてしまいます。
テクニカルな観点からもここで高値を超えるのと抑えるのとではかなりその後の展開が変わっていくように思います。ここではごく一時的に高値を更新してもすぐに反落する流れを想定し、大台150.00レベルをサポートに、152.10レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。繰り返しますが、イースター週末を前にした四半期末で振れやすい点には十分に注意してください。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
3月25日(月)
08:50 日銀会合(1月)議事要旨公表
19:30 オーストリア中銀総裁講演 ☆
21:25 アトランタ連銀総裁講演 ☆
23:00 米国2月新築住宅販売
23:30 クックFRB理事講演 ☆
3月26日(火)
08:30 豪州3月消費者信頼感
16:00 ドイツ4月消費者信頼感
21:30 米国2月耐久財受注
22:00 米国1月住宅価格、ケースシラー住宅価格 ☆
23:00 米国3月リッチモンド連銀製造業景況指数 ☆、消費者信頼感
3月27日(水)
09:30 豪州2月CPI ☆
16:45 フランス3月消費者信頼感
18:00 チポローネECB理事講演 ☆
19:00 ユーロ圏3月消費者信頼感
23:30 週間原油在庫統計
3月28日(木)
08:50 日銀会合(3月)主な意見公表 ☆
09:30 豪州2月小売売上高
16:00 英国10〜12月期GDP改定値
16:00 ドイツ2月小売売上高
17:55 ドイツ3月失業率
21:30 米国10〜12月期GDP確報値 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
22:45 米国3月シカゴ購買部協会景況指数 ☆
23:00 米国3月ミシガン大消費者信頼感
23;00 米国2月住宅販売保留件数
26:30 フランス中銀総裁講演 ☆
**:** 米国取引所短縮取引
3月29日(金)
**:** 東京とNYを除いて休場(グッドフライデー)☆
08:30 本邦3月東京区部CPI ☆
08:30 本邦2月失業率・有効求人倍率
16:45 フランス3月CPI速報値 ☆
16:45 フランス2月PPI
21:30 米国2月個人所得・消費支出 ☆
21:30 米国2月卸売在庫
**:** 米国取引所休場
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
3月18日(月)
週明けのドル円は日米の金融政策決定会合を控えてもみあいが続きました。例によって海外市場で日銀会合における決定事項の観測記事が流れましたが、マイナス金利の解除(0〜0.1%へ)、YCCの撤廃、ETF購入の廃止と、どれも事前に予想されていた範囲内の報道となったことから反応は見られませんでした。終日レンジも42銭にとどまりドル円としては静かな一日となりました。
3月19日(火)
日銀会合ではマイナス金利解除、YCC撤廃、ETF等の購入廃止と大規模緩和から引き締めへの転換の第一歩となりましたが、前日の報道内容通りだったこともあり、会合後は改めて円安が急速に進行する流れとなりました。
3月20日(水)
FOMCの結果は事前のコンセンサス通りではあるものの、インフレ高止まり懸念に関わらず2024年末時点での3回利下げ予想を維持し、QTの早期減速に言及したことから引き締めの鈍化と考えられました。このことから米国株は大幅上昇、一方で為替市場ではドル売りとなりました。
3月21日(木)
ドル円は東京前場こそFOMC後の流れを受けて円買いの動きとなりましたが、150円の大台は割り込めず、休み明けの日経平均株価が大幅高となる動きとともに円売りに転換しました。その後もドル高の動きが続き、欧州通貨安、米金利も上昇に転換する動きも手伝ってドル円は151.75レベルまで上昇、高値圏での引けとなりました。
3月22日(金)
ドル円は仲値すぎに151.86レベルと週間高値を更新したものの昨年、一昨年の高値圏151.91/94水準をトライしきれず反落。当局への警戒感もあり、高値安値ともに切り下げる週末前のポジション調整が目立ちました。NY市場朝方には151.00レベルの安値をつけたものの、下がったところでの買いも根強く150円台を見ることは無く、引けにかけては151円台半ばへと戻しました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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