ドル円 けん制発言も聞かれたが円安基調は変わらず(3/25夕)

週明け東京市場はレンジ取引。神田財務官などからの円安けん制発言も聞かれるなか、151円前半での一進一退だった。

ドル円 けん制発言も聞かれたが円安基調は変わらず(3/25夕)

けん制発言も聞かれたが円安基調は変わらず

〇本日ドル円、円安けん制発言聞かれるも底堅く安値は151.05まで、16時現在151.25-30で推移
〇基本的なリスクはドル高・円安だが、ドル高の進展は緩やかにとどまるか
〇テクニカルには、先週高値151.86を超えられないと一転してドルの下値リスク高まる危険性も
〇本日は米2月シカゴ連銀全米活動指数、新築住宅販売件数などの発表予定
〇ロシアのテロやフィリピンをめぐる情勢から、地政学リスクにも注意
〇ドル高・円安方向、本日東京高値の151円半ばが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向、先週末安値かつ本日東京でも割り込めなかった151円レベルをめぐる攻防に注目
〇予想レンジ:150.90-151.80

<< 東京市場の動き >>

週明け東京市場はレンジ取引。神田財務官などからの円安けん制発言も聞かれるなか、151円前半での一進一退だった。

先週末は、モスクワにて死者数100人超えのテロが発生し物議を醸す。一方、南シナ海を舞台に中国とフィリピンによる激突なども観測され、一部ではアジアの地政学リスクが改めて取り沙汰されていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は寄り付いた151.40-45円レベルが日中高値で上値は重い。早々に神田財務官から「為替の急激な変動は好ましくない、すでに(介入の)準備はできている」とした円安けん制発言が聞かれたこともあり、ドルの上昇も抑制されている。しかし、ドルが大きく崩れるには至らず、実際安値は151.05円レベルまで。16時現在では151.25-30円で推移し、欧米市場を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは「ロシア情勢」と「中国情勢」について。
前者は、ロシアの首都モスクワ近郊のコンサートホール「クロッカス・シティ・ホール」で、迷彩服に身を包んだ武装集団による銃撃事件が発生。死者数は少なくとも100人を超えているもようだ。ロシアからは当初、「ウクライナの仕業」などとした報道なども観測されたが、そののち過激派組織「イスラム国」(IS)から犯行声明が出されている。なお、今回のテロについて、米国は2週間ほど前にテロの情報を把握。それをロシア側にも伝達し情報共有に勤めていたとされるが、当のロシアサイドが「フェイクニュース」などと認識し重要視しなかったことで、被害が大きくなった可能性も取り沙汰されていた。先日の大統領選で大勝したプーチン氏だが、状況如何では一気に求心力が低下しかねないリスクを孕んでいるといった指摘も。

対して後者は、フィリピン沿岸警備隊が、南シナ海のアユンギン礁の軍拠点に向かっていた補給船が、中国海警局の船2隻から放水砲の直撃を受け「重大な損傷」を被ったと発表した。それ以外の危険な妨害行為も繰り返されていたとされるが、中国サイドは逆にフィリピンを非難。同国国防省が「挑発的」な行動をやめるよう要求したうえで、「対立や緊張の激化につながるような発言をやめ、あらゆる侵害的、挑発的行動を停止するよう警告する」と指摘していたようだ。一方、この件について米国務省は「中国は危険な行動を行った」としたほか、「国際法を無視し、地域を不安定にしている」などと批判している。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円相場はドルが底堅さを増している。その一端は、19日の欧米時間以降、一度も150円を下回ったことがなく、レベルがかなり切り上がってきていることに示されているし、また前述したように本日東京時間には神田財務官から円安けん制発言が聞かれても、大きく崩れることはなかったことからもうかがえよう。いずれにしても、基本的なリスクはドル高・円安ということで間違いなさそうだが、飽くまでもドル高の進展は「緩やかなもの」にとどまりそうだ。
引き続き市場で日米などの金融政策が注視されている状況に変化はないものの、先週に米FOMCなどが実施されたことで、以前ほど喫緊に迫った状況でもない。発表される米経済指標などに一喜一憂しつつも、レンジ内にはとどまる可能性もある。むしろ、今週は月末そして四半期末、本邦勢の多くにとっては決算期末にあたることで各種の需給要因や、先で取り上げたようなロシアのテロやフィリピンをめぐる情勢から、地政学リスクの広がりを懸念する声が少なくないようだ。

テクニカルに見た場合、ドル/円の基本的なリスクはドル高方向で先週示現した高値151.86円をめぐる攻防にまずは注目だ。しかし2022年と2023年、2年連続でドル上値が抑制されたレベルも近く、今回の一連の流れのなかで超えられないと、一転してドルの下値リスクが高まる危険性もある。当局による円買い介入を含め、常に円高方向へのリスクを念頭に置いて損はないだろう。

本日は米経済指標として、2月のシカゴ連銀全米活動指数や同新築住宅販売件数などが発表される予定となっている。米早期利下げ期待が大きく後退しているようだが、弱めの指標が出た場合には揺り戻しの動きからドル売り・円買いが優勢になる展開も。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは150.90-151.80円。ドル高・円安方向は本日東京高値の151円半ばが最初の抵抗。抜けると151.86円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週末安値かつ本日東京でも割り込めなかった151円レベルをめぐる攻防に注目。下回ると22日安値の150.27円が意識されそうだ。


注:ポイント要約は編集部

けん制発言も聞かれたが円安基調は変わらず

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