ドル円 上下ともに抑えられ高値圏でのもみあい継続(週報2月第4週)

先週のドル円は方向感がはっきりしない展開となりましたが、木曜に日経平均株価が1989年高値を超え、史上最高値を更新する動きとともに円売りも強まりました。

ドル円 上下ともに抑えられ高値圏でのもみあい継続(週報2月第4週)

ドル円 上下ともに抑えられ高値圏でのもみあい継続

〇先週のドル円、150円の大台を挟んで上下し、方向感がはっきりしない展開
〇今週は月末月初のため、方向感は出にくいものの需給の影響が出やすい一週間
〇150円割れはFRB緩和時期後退からドル買い強まり、150円台後半では本邦当局の動き警戒する流れ続く
〇シカゴ通貨先物の円売りポジションが積み増されており、いったん調整が入りやすい
〇為替市場よりも株式市場に注目集まり、株高の状況で株式市場に投資資金が移動か
〇今週は149.50レベルをサポート、151.00レベルをレジスタンスと見る
〇引き続き上下ともに限定的な動きとなり易く、基本的にここ2週間のレンジを中心とした動きに収まるか

今週の週間見通し

先週のドル円は150円の大台を挟んで上下、方向感がはっきりしない展開となりましたが、木曜に日経平均株価が1989年高値を超え、史上最高値を更新する動きとともに円売りも強まりました。東京が休場となった金曜には150.77レベルの高値をつけましたが、前週以降の当局による牽制発言にも警戒感があり、積極的には買いにくい流れが続きました。

上述の通り、為替市場よりも株式市場に注目が集まり、今年から始まった新NISAのこともあり、新旧投資家ともに株、指数連動ETFなどに興味が移っている感じがします。為替の場合、二国の通貨の強弱で上下どちらが正しいということはありませんが、株価の場合は企業にとっては企業価値を高め株価を上昇させることが正義ですから、こうした株高の状況になると圧倒的に株式市場に投資資金が移ってしまいます。

今週は月末月初ということで、方向感は出にくいものの需給の影響が出やすい一週間となります。それでもこれまで同様に押し目、特に150円割れではFRBの緩和時期後退から日米金利差縮小も後退しているということでドル買いが強まりますし、150円台後半では本邦当局の動きを警戒する流れが続くでしょう。ただ、151円で介入が出るのかとなるとおそらく出ずに、昨年、一昨年の高値圏151.91〜94を試す動きが出てくると、一段と牽制を強めるか、あるいは実弾介入もということになると見ています。

円安と言っても最近は年初からの動きほど勢いもありませんし、それほど過熱感も無いように思えますので、どこかで高値トライをする動きというのは出てくる可能性が高いと言えます。ただ、ポジション的にはシカゴの通貨先物における円売りポジションが急増していて、週末に発表された数字(先週火曜時点)では12万枚を超え、昨年の151.91レベルをつけた時の13万枚超えに迫ってきました。かなりの円売りポジションが積み増されていることを考えると、そろそろいったん調整が入りやすいと見ることも出来そうです。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

先週から大きく変化はありません。下値は昨年高値とその後の安値との78.6%(61.8%の平方根)戻し149.40を上抜けたことで、現在は同水準がサポートとなりやすい水準です。また当局に対する警戒感はあるものの、実弾はまだ先ということでレジスタンスは昨年高値、近いところでは次の大台151円という水準があげられます。

引き続き上下ともに限定的な動きとなりやすいと見て、今週は149.50レベルをサポートに151.00レベルをレジスタンスと、基本的にここ2週間のレンジを中心とした動きにおさまると見ています。

ドル円 上下ともに抑えられ高値圏でのもみあい継続

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。
また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

2月26日(月)
20:30 ギリシャ中銀総裁講演
24:00 米国1月新築住宅販売

2月27日(火)
08:30 本邦1月CPI ☆
16:00 ドイツ3月消費者信頼感
16:45 フランス2月消費者信頼感
22:30 米国1月耐久財受注
23:00 米国12月住宅価格、ケースシラー住宅価格 ☆
24:00 米国2月リッチモンド連銀製造業景況指数 ☆
24:00 米国2月消費者信頼感

2月28日(水)
09:30 豪州1月CPI
10:00 NZ中銀政策金利発表 ☆
19:00 ユーロ圏2月消費者信頼感
22:30 米国10〜12月期GDP改定値 ☆
22:30 米国1月卸売在庫
24:30 週間原油在庫統計
26:00 アトランタ連銀総裁講演 ☆
26:15 (ボストン連銀総裁講演)
26:45 NY連銀総裁講演
**:** G20(〜29日)

2月29日(木)
09:00 NZ 2月企業信頼感
09:30 豪州1月小売売上高
16:00 ドイツ1月小売売上高
16:45 フランス10〜12月期GDP改定値
16:45 フランス2月CPI速報値 ☆
16:45 フランス1月PPI、消費支出
17:55 ドイツ2月失業率
22:00 ドイツ2月CPI速報値 ☆
22:30 米国1月個人所得・個人消費支出 ☆
22:30 米国新規失業保険申請数
23:45 米国2月シカゴ購買部協会景気指数
24:00 米国1月住宅販売保留件数
25:00 (シカゴ連銀総裁講演)
27:15 クリーブランド連銀総裁講演 ☆

30:45 NZ1月住宅建設許可


3月1日(金)
08:30 本邦1月失業率・有効求人倍率
09:05 NZ中銀総裁講演 ☆
10:10 NY連銀総裁講演 ☆
10:30 中国2月製造業PMI
10:45 中国2月MarkIt製造業PMI
16:00 英国2月住宅価格
17:50 フランス2月製造業PMI
17:55 ドイツ2月製造業PMI
18:00 ユーロ圏2月製造業PMI
18:30 英国2月製造業PMI
19:00 ユーロ圏2月CPI速報値 ☆
19:00 ユーロ圏1月失業率
23:45 米国2月製造業PMI
24:00 米国2月ISM製造業景況指数 ☆
24:00 米国2月ミシガン大消費者信頼感
24:00 米国1月建設支出
26:15 アトランタ連銀総裁講演
27:30 サンフランシスコ連銀総裁講演 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

2月19日(月)
米国市場が休場となったことから為替市場は閑散、一日の値幅はドル円が32銭で終わりました。終日火曜待ちという流れが続いていました。

2月20日(火)
ドル円は東京前場に日経平均が上昇する動きを見て円売りの動きが先行しました。しかし欧州市場序盤以降は米金利低下によるドル売りの動きがユーロドルを中心に強まり、休み明けのNY市場では149.68レベルまで水準を下げました。ただ149円台半ばでは押し目買いも根強く、引けにかけては米金利も上昇に転じたことから150円の大台を回復して引けました。

2月21日(水)
ドル円は前日に下げきれなかった動きもあり終日じり高、NY市場では米金利上昇とクロス円での円売りも手伝って前日高値圏に近づいたものの上げきれずに引けました。

2月22日(木)
ドル円は日経平均株価が史上最高値を更新する動きとともに10時過ぎには火曜高値を上回る動きとなりましたが、その後はいったん利食いも出て反落。欧州株も上昇しユーロドルに買いが入ったこともあって、ドル売りから一時150円の大台目前の水準まで下げることとなりました。しかし、大台割れを回避したこと、米金利が大きく上昇したことから、NY市場ではあらためて買いが強まり、150.69レベルの高値をつけ高値圏で引けました。

2月23日(金)
東京前場は休場だったもののドル円は朝方からじり高となり、欧州市場序盤には前日高値を上抜けたことから150.77レベルと週間高値を更新する動きを見せました。しかしその後は米金利が下げ続ける動きとなったためドル円も追随し、NY昼前には150.29レベルまで下げ、安値圏でもみあいのまま引けました。


注:ポイント要約は編集部

ディスクレーマー

アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る