ドル円 上値は重いが下げ再開前の踊り場(週報1月第3週)

金曜のPPIは予想よりも弱く144円台半ばまで押した後に145円近くに戻しての週末クローズとなりました。

ドル円 上値は重いが下げ再開前の踊り場(週報1月第3週)

上値は重いが下げ再開前の踊り場

〇先週のドル円、強い米CPIに一時146.41レベルの高値をつけるもPPIが弱く144円台半ばまで押す
〇弱いPPIで、米金利は2024年末までに7回利下げが再びコンセンサスに
〇日銀4月にマイナス金利解除とYCC撤廃の見方依然として根強く、金利差縮小による円高見通し変わらず
〇年初第1週、地震きっかけに円売りとなるも、本流が金利差縮小による円高で円安方向の動きは調整か
〇シカゴ通貨先物の円売りポジションも、1/9時点の数字には大きな変化無し
〇今週の地区連銀総裁の講演やベージュブックの発表、ハト派的な内容により反応しやすいか
〇若干上値は重たいが、144.00レベルをサポートに146.00レベルをレジスタンスの踊り場の週と見る

今週の週間見通し

1月も2週目に入り動きに落ち着きは出てきましたが、それでも年初からのドル買い戻しの動きが根強く週初に東京市場が休場となる中で売りが先行、火曜の東京前場に143円台半ばまで入った押しが唯一の調整という動きになりました。その後もドル円はじり高となり木曜に発表された米国CPIが予想よりも強かったことを受け、一時146.41レベルの高値をつけましたが、金曜のPPIは予想よりも弱く144円台半ばまで押した後に145円近くに戻しての週末クローズとなりました。

年初の能登半島地震の影響で日銀の出口戦略は遅れるという見方はあるものの、これは1月中の変更は無く遅れるというもので、4月にはマイナス金利解除とイールドカーブコントロールの撤廃が行われるという見方は依然として根強いと見られます。いっぽうの米金利は金曜の弱いPPIを受けて再び2024年末までに7回利下げという見方がコンセンサスとなってきました。6回にしても7回にしても利下げのペースが速いことには変わりませんので、結果として日米金利差縮小による円高という見通しにも変化はありません。

先週のCPI後とPPI後の動きを見てもCPI後の上げは引けまでに行って来いとなり、翌日のPPI後の下げでは戻し切らず、上値が重たい印象を与えました。引き続き、本流が日米金利差縮小による円高にあり、円安方向の動きはその調整という見方で良いでしょう。年初第1週の動きについても中期的な円高の動きに対して地震をきっかけとした円売りとなったものの、調整の動きという点では見方は同様です。

シカゴの通貨先物の円売りポジションを見ても、週末に発表された1月9日時点の数字には大きな変化は無いことがわかります。

上値は重いが下げ再開前の踊り場

最近は57,000枚前後の円売りポジションとなっていて、今後本格的に円買いの流れがでてくるとすれば、この枚数はもっと減少するでしょうし、昨年11月までの円安の動きは2021年初から始まったわけですが、それまでの円高の動きで通貨先物のポジションが円買いから円売りに転じたのは3月中旬と実際の動きとはラグがありました。

今回も円買いの動きがもう少し強まって行けば現在の円売りから円買いへと転じることとなるでしょうが、現状はまだ助走段階というところにあると思っています。

今週は材料的にはFOMCで投票権のある地区連銀総裁の講演、そしてベージュブックの発表があります。どちらもタカ派的な内容よりもハト派的な内容により反応しやすいと見ています。テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

CPI後の高値も昨年高値と12月安値との半値戻し146.06(赤のターゲット)の範囲内で変化はありませんが、12月安値とCPI後高値との押しは半値よりも38.2%押し144.05(青のターゲット)のほうが現実的です。いっぽうでレジスタンスは146円超えにはドル売りオーダーが残っていると考えられます。

今週は若干上値は重たいものの144.00レベルをサポートに146.00レベルをレジスタンスと踊り場の週を考えておきます。

上値は重いが下げ再開前の踊り場 2枚目の画像

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

1月15日(月)
**:** NY市場休場
19:00 ユーロ圏11月鉱工業生産、貿易収支
23:15 オーストリア中銀総裁講演 ☆
**:** ダボス会議(〜19日)

1月16日(火)
08:30 豪州1月消費者信頼感
16:00 ドイツ12月CPI
16:00 英国12月失業率
16:15 フランス中銀総裁講演 ☆
19:00 ドイツ1月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏1月ZEW景況感
22:30 米国1月NY連銀製造業景況指数 ☆
25:00 ウォラーFRB理事講演 ☆

1月17日(水)
11:00 中国10〜12月期GDP ☆
11:00 中国12月鉱工業生産、小売売上高
16:00 英国12月CPI
19:00 ユーロ圏12月CPI
21:15 オランダ中銀総裁講演 ☆
22:30 米国12月小売売上高 ☆、輸入物価
23:15 米国12月鉱工業生産、設備稼働率
24:00 米国1月NAHB住宅指数 ☆
24:00 米国11月企業在庫
24:15 ラガルドECB総裁講演 ☆
28:00 ベージュブック ☆
29:00 NY連銀総裁講演 ☆

1月18日(木)
09:01 英国12月住宅価格
09:30 豪州12月失業率
19:00 ユーロ圏11月建設支出
21:30 アトランタ連銀総裁講演 ☆
22:30 米国12月住宅着工 ☆・建設許可
22:30 米国新規失業保険申請数
24:15 ラガルドECB総裁講演
25:00 週間原油在庫統計

1月19日(金)
08:30 本邦12月CPI ☆
16:00 ドイツ12月PPI
16:00 英国12月小売売上高
24:00 米国1月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆
24:00 米国12月中古住宅販売 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月8日(月)
週明けの月曜は東京市場が休場となったこともあって、NY市場までは144円台半ばでの小動きを続けていました。その後再び米金利が低下し、ドル円は金曜の水準を下回り143.66レベルの安値を見た後に144円台前半に戻して引けました。

1月9日(火)
ドル円は東京朝方こそ実需売りも出て143.42レベルまで下押ししましたが、その後は買い戻しが入りNY市場までは144円を中心として若干底堅い値動きが続きました。NYではロンドンフィキシングで買いが出たと言われましたが、下押しの調整が終わり改めて買いが出てきた印象でした。144.62レベルまで水準を上げ若干押して引けました。

1月10日(水)
ドル円は終日上昇する動きとなりました。東京市場では勤労統計調査で実質賃金が下がり続けていることを材料に日銀の緩和継続思惑から円売りとなりました。それほど注目度が高い指標でもないため、意外感もありました。海外市場では米金利上昇を材料にドル買いとなりましたが、これもドル円でのみのドル買いであったということで、改めて円安思惑が強まった一日で、引け間際に145.83レベルの高値をつけました。

1月11日(木)
ドル円は前日の上げに対する調整もあり東京朝方こそ売りが先行しましたが、その後は米国CPIを前にNY市場まで145円台半ばでのもみあいが続きました。CPI結果は予想よりも強く米金利が上昇、ドル円も一時146.41レベルと雇用統計後の高値を上抜けしました。しかし、引けにかけて米金利が低下する動きとともに、ドル円も下げ145円台前半での引けとなりました。

1月12日(金)
ドル円は週末を控えNY市場までは145.10レベルをもみあいの中心として方向感のはっきりしない流れが続いていました。米国PPIが予想よりも弱かったことから、米金利低下、ドル売りの動きとなり144.35レベルまで下押し後にヒケにかけては金利、為替とも下げる前の水準へと戻しました。

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