ドル円 ドルは底堅いが上値も重く上げ渋りか(週報1月第3週)

先週のドル/円相場でドルは上値が重い。一時はおよそ1ヵ月ぶりの高値、146円台を示現したものの維持できなかった。

ドル円 ドルは底堅いが上値も重く上げ渋りか(週報1月第3週)

ドルは底堅いが上値も重く上げ渋りか

〇先週のドル円、143.43まで下落後、米早期利下げ期待後退等を受け流れが変わり、146.41へ上伸
〇しかし小幅上昇にとどまり週末にかけ軟化、結局週末NYは144.90レベルで越週
〇1/11発表の12月米CPIは事前予想を超える伸びで一気に1円を超えるドル急騰に繋がる
〇1/12発表の12月米PPIは市場予想を下回る内容で週末に掛けての調整的ドル売りに寄与
〇ドル高基調継続の様相だが、今月末の米FOMC等を前にしばらくは次の方向性探る展開か
〇日米金利差縮小観測は後退、ドル高・円安に振れやすい環境に
〇テクニカルには、ドル高値トライは仕切り直しになった感が
〇今週は米12月小売売上高、米企業決算等の発表、ダボス会議での各国要人発言にも注意
〇予想レンジは、143.00-146.50、ドル高・円安方向、目先は先週末高値145.57の攻防に注目
〇ドル安・円高方向、144.35が最初のサポート、割り込むと143円後半などがターゲット

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場でドルは上値が重い。一時はおよそ1ヵ月ぶりの高値、146円台を示現したものの維持できなかった。

前週末は、韓国軍関係者から「北朝鮮が黄海で3日連続砲撃を実施した」と伝えられ話題に。一方、米紙WSJが「米テスラのマスクCEOがコカインなどの薬物常用」と報じ、そこここで物議を醸していたようだ。
そうした状況下、ドル/円は144.50-60円で寄り付いたのち、週間安値である143.43円まで下落。しかし、米国の早期利下げ期待の後退などを受け、流れが変わると逆にドル高・円安が進行している。週間高値の146.41円へと上伸した。ところが、上値もキープすることはできず、週末にかけて再び軟化。146円どころか145円も維持できずに、結局週末NYは144.90円レベルで越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「ほかの金融市場の動き」と「米金融政策」について。
前者は、日経平均株価は週間を通して堅調裡。3連休明けからバブル崩壊後の最高値を連日更新する展開で、10日に34000円台へ乗せただけでなく、その後も大幅続伸を続け週末12日には一時35700円台を示現していた。好感する向きが大勢だが、週間を通して2000円を超える上昇であり、さすがに「バブル」といった懸念を示す声も一部からは聞かれていたようだ。一方、暗号資産(仮想通貨)ビットコインは週間を通して非常に荒っぽい値動き。米証券取引委員会(SEC)による、ビットコイン現物に連動する上場投資信託(ETF)承認をめぐる偽情報なども取り沙汰され右往左往するも、一連の流れなかで49000ドル近くまで一時上昇。しかし、途中で流れが一変すると「行って来い」。12日には42000ドル割れまで急落するなど、非常に激しい値動きだった。

それに対して後者は、昨年末まで市場で有力視されていた「日米金利差縮小」観測が後退するなか、米金融政策に影響を及ぼす要因として市場は11日に発表される12月の米消費者物価指数に注目。発表された同指標は事前予想を超える伸びを示しドルの買い要因に。対円では145円台から146.41円へ、一気に1円を超えるドル急騰に一役買っていたことは間違いない。しかし、翌日に発表された12月の米生産者物価指数は一転して市場予想を下回る内容。こちらは、週末に掛けての調整的ドル売りに繋がっていたようだ。

<< 今週の見通し >>

ドル/円は先週もドルが続伸しているが、結果として上昇は小幅にとどまりそれほど強さを感じない足形だ。ザラ場ベースでは1ヵ月ぶりの146円台を示現したものの、週末NYクローズは145円台さえ維持できなかった。とは言え、ドル高基調そのものは依然として続いていると考えられることで、目先は先週記録した143.43-146.41円といった約3円レンジを中心とした一進一退か。月末に予定されている米FOMCなどをにらみつつ、しばらくは次の方向性を探る展開か。
先でも指摘したように、昨年末まで市場で有力視されていた「日米金利差縮小」観測は後退。それもあり、為替市場はドル高・円安に振れやすい環境だ。なお、日本については先週末にブルームバーグが「日銀、今月の会合で24年度物価見通しを下方修正の公算大きい」などと報じ物議を醸している。いずれにしても、日米金利情勢が引き続き市場で関心を集めるなか、それとは別に注意すべきがさらに広がりつつある世界的な地政学リスクと、現状のままなら19日に交通や農業などの一部が期限切れを迎える米つなぎ予算の問題だろう。場合によっては再びマーケットの波乱要因となりかねない。

テクニカルに見た場合、ドル/円は昨年11月13日高値151.92円を起点にした下げ幅の半値戻し146.10円を一時超えたものの、ドル高は走らず。むしろ高値示現後は失速し、結局行って来いとなった。ドル高値トライも仕切り直しになった感がある。しばらくは144-145円台を中心としたレンジ取引を見込む向きも少なくないが、ドル安方向であればレベルを急速に切り上げている移動平均の200日線をめぐる攻防に注目だ。月末にかけて144円台に乗せてくることが予想され、一連の動きのなかで日足が下回る展開もあるかもしれない。

そうしたなか今週は、12月の小売売上高や同住宅着工件数といった米経済指標が発表されるうえ、金融機関を中心とした米企業決算の公表も相次ぐ。また、中国の経済指標発表やダボス会議開催による各国要人の発言にも注意を払いたいところだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、143.00-146.50円。ドル高・円安については、目先は先週末高値145.57円の攻防に注目で、抜ければ戻り高値146.41円を目指す展開か。
対してドル安・円高方向は、同じく先週末安値の144.35円が最初のサポートとなり、割り込むと200日線が位置する143円後半などがターゲット。底堅いイメージだが、下方向に動いた方が波乱含みかもしれない。

ドルは底堅いが上値も重く上げ渋りか

ドル円日足


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