トルコリラ円見通し 二重のダブルトップ型から下落(24/1/15)

トルコリラ円の1月12日は概ね4.84円から4.78円の取引レンジ、13日早朝の終値は4.81円で前日終値の4.83円からは0.02円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 二重のダブルトップ型から下落(24/1/15)

二重のダブルトップ型から下落

〇トルコ円、1/12の米PPI発表前に4.83まで戻すも、発表後のドル円急落を受け再び4.80割り込む
〇ドル高リラ安に圧迫されつつも、目先はドル円の騰落を追いかける
〇対ドル、1/13早朝の終値は30.06、終値ベースでは初めて1ドル30リラに到達
〇JPモルガンが今年末見通しを1ドル34から36リラへ下方修正、リラ売りが勢いを増す
〇金融政策正常化の継続に対する評価は上がっているもののリラ安見通しは変わらず
〇トルコCPI高進やまず、市場では追加利上げ催促によるリラ売り続く
〇11月鉱工業生産をはじめ数値は悪化、1/25追加利上げ見定めるまではリラ売り続きやすいか
〇4.83を下回るうちは一段安余地ありとし、4.78割れからは4.75前後への下落を想定
〇4.83から4.84までの水準は戻り売り有利とするが、4.84超えからは4.86前後への上昇を想定

【概況】

トルコリラ円の1月12日は概ね4.84円から4.78円の取引レンジ、13日早朝の終値は4.81円で前日終値の4.83円からは0.02円の円高リラ安、週間では1月5日終値4.85リラから0.04円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラが1ドル30リラを超えて史上最安値を連日更新する中、トルコリラ円はドル高リラ安に圧迫されつつも、目先はドル円の騰落を追いかけている。
ドル円は1月11日夜の米12月CPI上昇率が予想を上回ったことで発表後に146.40円を付けて12月29日未明安値140.24円以降の高値を更新したが、米国の利下げ開始見通しは変わらないとして買い一巡後に失速した。12日の日中は145円割れを買われて12日夜の米12月PPI発表前に145.55円まで戻していたものの、PPIが顕著に鈍化したことが米長期債利回りとドル安を招いたため、13日未明には144.35円まで急落し、その後も145円まで戻したところで上値が重くなった。

トルコリラ円はドル円の上昇を追いかけて12月29日未明安値4.70円から1月5日夜高値4.89円へ上昇したが、いったん4.80円を割り込んでから1月11日夜にドル円が一段高したところで4.88円へまで切り返したもののドル高リラ安による圧迫感がありドル円のようには高値更新へ進めず、12日朝にはトルコリラが対ドルで30リラを超えて史上最安値を更新した際に一時的安値で4.78円をつけ、12日夜の米PPI発表前に4.83円まで戻してから米PPI発表後にドル円が急落したために再び4.80円を割り込んだ。
トルコリラ円は1月5日夜高値4.89円に対して、1月11日朝と夜に4.88円を付けたものの高値更新へ進めなかったことにより、1月5日夜と1月11日朝の両高値によるダブルトップ型を形成し、ダブルトップの右頭も1月11日朝と11日夜の両高値によりミニ・ダブルトップ型となり、二重のダブルトップ型を形成している。4.78円を割り込めば二重のダブルトップが完成して12月29日からの上昇一巡による下落再開感が強まり、再び史上最安値更新を試して行く流れへ進みやすくなると思われる。

【1ドル30リラ台到達からさらに続落】

ドル/トルコリラの1月12日は概ね30.34リラから29.85リラの取引レンジ、13日早朝の終値は30.06リラで前日終値の29.96リラからは0.10リラのドル高リラ安となり、取引時間中の史上最安値を6営業日連続で更新、終値ベースでは初めて1ドル30リラに到達した。
週間では1月5日終値29.82リラから0.24リラのドル高リラ安となり、5週連続で終値ベースの史上最安値を更新し、取引時間中の史上最安値は17週連続の更新となった。
1月10日にJPモルガンがリラの安値予想を下方修正したことをきっかけとしてリラ売りが勢いを増している。

【トルコ金融政策正常化の継続に対する評価は上がっているもののリラ安見通しは変わらず】

JPモルガンは1月10日の顧客向けリポートにおいてトルコリラの2024年末見通しを従来の1ドル34リラから36リラへ下方修正した。
トルコは昨年5月末のエルドアン大統領再選後に財務相にかつての副首相で市場の評価が高かったシムシェキ氏を登用し、トルコ中銀総裁にはウォール街の元銀行家であるエルカン氏を採用し、両者を中心に金融政策の正常化が進められてきた。財務相は増税により財政改革を進め、中銀は市場介入を止めて外貨準備高を増強し、高インフレに対抗して政策金利を昨年5月時点の8.50%から今年1月には42.5%まで引き上げてきた。
格付け会社や外資による評価は高まっているのだが、1月3日発表のトルコ12月CPIは全体の前年比が64.77%(11月61.98%)、コア指数で70.6%(11月69.9%)と高進がやまず、市場では追加利上げ催促によるリラ売りが続いて1ドル30リラの壁も超えてきている。

今週も11月のトルコ鉱工業生産が前年比0.2%増(10月1.10%)、前月比マイナス2.8%(10月1.2%)と悪化、失業率も10月の8.5%から9.0%へ悪化し、1月11日発表の外貨準備高もネットで322.6億ドルとなり年末に400.9億ドルまで拡大したところから2週連続で減少、1月12日発表の外貨準備高は10月の黒字1.86億ドルから赤字27.22億ドルへ悪化するなど、リラ買い意欲を削ぐ数字が続いた。
次回のトルコ中銀金融政策委員会は1月25日にあるが、中銀がインフレ抑制へ向けて積極的な追加利上げを決定できるのか見定めるまではリラ売りも続きやすい状況と言えそうだ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、1月9日午前安値をサイクルボトムとして10日未明から12日夜にかけての間への上昇を想定していたが、1月11日未明高値から小反落して11日夜へ戻したものの高値更新には至らずに12日午前へ下落したため、12日午前時点では11日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして12日の日中から16日午前にかけての間への下落を想定した。
1月12日午前の一時的急落を除いても軟調推移のためまだ下落途中とみるが、前回ボトムから3日半を経過しているので4.84円超えからは強気サイクル入りとして16日朝から18日朝にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では1月12日午前への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇期入りの可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1月11日朝に80ポイントに迫ってから低下に転じ、12日午後以降は概ね50ポイントを下回っているため下落余地ありとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。強気転換には55ポイントを超えてその後も50ポイント以上を維持して指数自身の高値を切り上げるような上昇が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.78円を下値支持線、4.84円を上値抵抗線とする。
(2)4.83円を下回るうちは一段安余地ありとし、4.78円割れからは4.75円前後への下落を想定する。4.75円以下は反騰注意とするが、4.82円以下での推移なら16日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.83円から4.84円までの水準は戻り売り有利とするが、4.84円超えからは4.86円前後への上昇を想定し、4.84円を超えた後も4.83円以上での推移なら16日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

1月15日
 17:00 12月 財政収支 (11月 756.3億リラ)
1月18日
 20:30 週次 外貨準備高 1月12日時点 グロス (1月5日時点 919.7億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 1月12日時点 ネット (1月5日時点 322.6億ドル)
1月19日
 23:30 12月 中央政府債務残高 (11月 6兆5730億リラ)
1月23日
 16:00 1月 消費者信頼感指数 (12月 77.4)
1月25日
 16:00 1月 製造業景況感指数 (12月 99.1)
 16:00 1月 設備稼働率 (12月 77.5%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 42.5%)


注:ポイント要約は編集部

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