トルコリラWeekly 下げトレンドは継続、ハネムーン終了でエルカン総裁の進退が問われる可能性も(24/1/15)

先週のトルコリラは、注目のエルカン・トルコ中銀総裁の海外投資家向けプレゼンテーション効果も限定的となり、対ドルでは史上最安値を更新した。

トルコリラWeekly 下げトレンドは継続、ハネムーン終了でエルカン総裁の進退が問われる可能性も(24/1/15)

下げトレンドは継続、ハネムーン終了でエルカン総裁の進退が問われる可能性も

【先週のトルコリラ】

先週のトルコリラは、注目のエルカン・トルコ中銀総裁の海外投資家向けプレゼンテーション効果も限定的となり、対ドルでは史上最安値を更新した。

10日に発表された11月鉱工業生産指数(前月比)は前回の−0.4%に対して、−1.4%と悪化。また、11月失業率も前回の8.5%を下回る9.0%とこちらも悪化するなどトルコ経済に対する先行き不透明感が高まっているなか、11日、ニューヨークで、エルカン・トルコ中央銀行総裁は海外投資家向けにプレゼンテーションを実施した。

主だった内容は、「ディスインフレの達成に取り組んでおり、金融政策の引き締めサイクルができるだけ早く完了することを期待」「外貨準備の増加を慎重に継続し、そのプロセスは資本流入の加速によって支援されるはず」と発言。表面的な話に留まったとの意見が多く、市場の影響は限定的となった。

一方、JPモルガンが10日付の顧客向けリポートで、リラの年末目標を1ドル34リラから36リラ前後に下方修正した。

「実質利回りはプラスで割安感があるため、リラは実質的に上昇する可能性があるが、ディスインフレ・プロセスへのコミットメントと外貨準備の増加ペースに大きく左右されるだろう」とポジティブとも捉えられる内容だが、年末目標を下方修正しており、価格見通しはネガティブだ。

このレポートとエルカン・トルコ中銀総裁の発言を受けて、1月11日にトルコリラは1ドル30.40リラまで下落。対ドルで史上最安値を更新する結果となった。

トルコ・円(東京時間:1月8日―1月12日)※Investing.comの日足を参照
始値:4.8505円
高値:4.9032円
安値:4.7560円
終値:4.8140円 

【今週から来週の重要指標】※時間は東京時間

1月15日
17時00分、12月中央政府財政収支、前回:756億リラ
1月17日
20時30分、11月住宅価格指数(前年比)、前回:86.46%
1月19日
16時00分、12月住宅販売、前回:93500件

※予定は変更することがございます。

【今週の見通し】

今週のトルコリラは、目立った経済指標の発表に乏しいなか、下値模索の展開となりそうだ。

対円では史上最安値更新手前で踏みとどまったが、対ドルでは安値を更新していることからリラ安のトレンドがより強まる可能性を想定したい。

11日のエルカン・トルコ中銀総裁のプレゼンテーション後に、対ドルで史上最安値を更新したことは、大きな意味がある。

エルカン・トルコ中銀総裁の海外投資家に対するプレゼンテーションは失敗に終わった、ということだ。

昨年6月、トルコ大統領選挙で再選を果たしたエルドアン大統領は、任期途中のカブジュオール・トルコ中銀総裁に代えて、エルカン氏を任命した。

エルカン氏はゴールドマン・サックスで勤務したほか、昨年5月に破綻したファースト・リパブリック・バンクの共同最高経営責任者も務めた経験がある。

エルドアン政権は「金利が下がれば物価も下がる」とする独自の経済・金融政策を修正し、昨年6月、エルカン氏にトルコリラのかじ取りを託したが、主要通貨に対するトルコリラ安は止まっていない。半年にわたるハネムーン(お試し期間)は終わったと、エルドアン大統領が判断してもおかしくはないだろう。

テクニカルでは、日足の一目均衡表で三役逆転が示現している。20移動平均線を上回る場面が見られたものの、12日時点では20日移動平均線を下回っており、対円でも弱い状況だ。

対ドルでは、一本調子の安値更新が続いており、安値更新のトレンドは継続のままだ。

今後、エルカン・トルコ中銀総裁の進退に関わる話が出る可能性もあるため、トルコリラの下値模索は、対円、対ドルともに継続と考える。

下げトレンドは継続、ハネムーン終了でエルカン総裁の進退が問われる可能性も

トルコリラ円日足

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