トルコリラ円見通し 円安で持ち直す、ダブルトップから三角持ち合いの様相に(24/1/16)

トルコリラ円の1月15日は概ね4.87円から4.81円の取引レンジ、16日早朝の終値は4.85円で先週末終値の4.81円からは0.04円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 円安で持ち直す、ダブルトップから三角持ち合いの様相に(24/1/16)

トルコリラ円見通し 円安で持ち直す、ダブルトップから三角持ち合いの様相に

〇トルコリラ円、円安による押し上げを反映して、1/16未明4.87まで高値を伸ばす
〇ダブルトップ型を形成していたが三角持ち合いの様相、4.80から続落に入る場合は先安感が強まるか
〇対ドル、1/15は概ね30.20から29.70の取引レンジ、取引時間中の史上最安値は更新へ進まず
〇終値ベースでは7営業日連続の史上最安値更新となる
〇トルコの2023年財政赤字は大幅悪化、12月の単月での財政収支も大幅悪化
〇4.82を上回るうちは一段高余地ありとし、4.88超えからは4.90前後への上昇を想定する
〇4.82割れからは下向きとして4.80試しとし、4.80割れからは4.77前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の1月15日は概ね4.87円から4.81円の取引レンジ、16日早朝の終値は4.85円で先週末終値の4.81円からは0.04円の円安リラ高だった。
1月15日は米国市場が休場だったものの、ドル円が1月12日夜の米PPI発表後の下落で付けた13日未明安値144.35円からの反騰を継続して15日深夜に145.94円まで上昇したため、トルコリラ円は円安による押し上げと対ドルでリラが一時的に反発したことを反映して1月13日未明の4.80円からの上昇を続けて4.87円まで高値を伸ばした。

ドル円は日本10年債利回りの低下、日経平均の連騰によるリスク選好での株買い・円売りにより1月11日夜の米CPI発表後に付けた高値146.40円超えに挑戦する動きと思われるが、1月5日夜の米雇用統計発表後に付けた高値145.96円も含めて146円前後の水準には抵抗感も見られる。1月11日深夜高値を超えて一段高へ進めばドル円の先高期待が増してトルコリラ円も一段高へ進む手がかりを得るが、1月11日深夜高値とのダブルトップに終わるようだとトルコリラ円への押し上げも後退し、1月13日未明安値144.35円を割り込む場合には年末からの上昇一巡による円高期に入る可能性が高まり、トルコリラ円への圧迫感が再び強まると思われる。
米国はCPIとPPIを通過しても年内3回以上の利下げ期待が優勢であり、3月FOMCにおける利下げ決定への期待度も8割近い。全般的ドル安へ進みやすい環境でもあり、ドル円がダブルトップに終わるのか、ダブルトップ破りの一段高へ進むのか、トルコリラ円としても注目したいところだ。

【ダブルトップ型から三角持ち合い型へ】

トルコリラ円は1月5日夜高値4.89円に対して、1月11日朝と夜に4.88円を付けたものの高値更新へ進めなかったことにより、1月5日夜と1月11日朝の両高値によるダブルトップ型を形成し、ダブルトップの右側も1月11日朝と11日夜の両高値によりミニ・ダブルトップ型となり、二重のダブルトップ型を形成した。しかし、1月16日未明にかけての上昇で4.87円まで戻したため、ダブルトップ型というよりも1月5日夜高値を起点としてわずかに右肩下がりの上値抵抗線と1月4日午前安値から1月9日午前へと底上げしてきたラインを下値支持線として三角持ち合いの様相となってきた。
ダブルトップ型でも三角持ち合い型でも1月5日夜高値を超えられれば上昇が勢い付くが、4.80円を割り込んで続落に入る場合は三角持ち合い下放れによる先安感が強まると思われる。

【ドル/トルコリラは終値ベースの史上最安値更新続く】

ドル/トルコリラの1月15日は概ね30.20リラから29.70リラの取引レンジ、16日早朝の終値は30.07リラで先週末終値の30.06リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
12月21日にトルコ中銀が2.5%の追加利上げで政策金利の週間レポレートを42.5%へ引き上げたが、市場は高インフレの中で実質マイナス金利状態の解消には程遠いとして追加利上げ催促のリラ売りを勢い付かせて連日のように史上最安値を更新してきた。
1月12日に30.34リラを付けて取引時間中の史上最安値を大幅に更新した後は新たな安値更新へ進んでいないものの、利益確定でのリラ買いも続かずに15日は終値ベースで7営業日連続の史上最安値更新となった。

【トルコの2023年財政赤字は590億ドルに大幅悪化】

1月15日に発表されたトルコの2023年財政収支は1兆3700億リラ(590億ドル)の赤字となり、2022年の1427億リラ(86億ドル)の赤字から大幅に悪化した。
歳入は5兆2000億リラ(2235億ドル)、歳出は6兆6000億リラ(2825億ドル)、 税収は4兆5000億リラ(1931億ドル)、払いを除くと財政収支は7004億リラ(300億ドル)の赤字だった。
2023年12月の単月での財政収支は11月の黒字756億リラ(26億ドル)から8425億リラ(289億ドル)の赤字へと大幅に悪化した。景気低迷と高インフレ、昨年のトルコ・シリア大地震、高金利とリラ安による利払いの拡大が財政を大幅に悪化させた。
2023年の収支計算上のドル/トルコリラ平均値は1ドル29.1012リラで2022年12月の1ドル23.3111リラから大幅なドル高リラ安だった。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、1月11日未明高値から小反落した後の11日夜への戻りでは高値更新には至らずに12日午前へ下落したため、12日午前時点では11日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして12日の日中から16日午前にかけての間への下落を想定した。
1月15日午前時点では前回ボトムから3日半を経過したので4.84円超えからは強気サイクル入りとしたが、15日夜に4.84円を超えて16日未明へ続伸したため、13日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は16日未明から18日朝にかけての間とし、すでにサイクルトップを付けている可能性もあるため4.82円を上回るうちは一段高余地ありとするが、4.82円割れを弱気転換注意とし、4.80円割れからは弱気サイクル入りとして18日未明から20日未明への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1月15日夕刻に遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンから転落しないうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1月16日未明に70ポイントに達してから60ポイントを割り込んでいる。60ポイント台回復からは上昇再開と一段高を想定するが、50ポイント割れから続落する場合は下落期入りとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.82円を下値支持線、4.88円を上値抵抗線とする。
(2)4.82円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.88円超えからは4.90円前後への上昇を想定する。4.90円以上は反落注意とするが、4.82円を上回っての推移か直前高値から0.05円を超える反落が発生しないうちは17日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.82円割れからは下向きとして4.80円試しとし、4.80円割れからは4.77円前後への下落を想定する。4.77円以下は反騰注意とするが、4.82円を下回っての推移なら17日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

1月18日
 20:30 週次 外貨準備高 1月12日時点 グロス (1月5日時点 919.7億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 1月12日時点 ネット (1月5日時点 322.6億ドル)
1月19日
 23:30 12月 中央政府債務残高 (11月 6兆5730億リラ)
1月23日
 16:00 1月 消費者信頼感指数 (12月 77.4)
1月25日
 16:00 1月 製造業信頼感指数 (12月 99.1)
 16:00 1月 設備稼働率 (12月 77.5%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 42.5%)


注:ポイント要約は編集部

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