ドル円の一段高を追いかけて三角持ち合い上放れ
〇トルコリラ円、1/16は概ね4.92から4.80の取引レンジ。ドル円の上昇を追いかけ1/15から連騰
〇対ドル、1/16メジャー通貨はドル高進行するも、リラへの影響は見られず、終値では30リラ台維持
〇今年のトルコ経済指標弱く、リラ売り助長するものが続き反騰のための基礎条件の改善滞る
〇来週1/25のトルコ中銀金融政策委、積極的な追加利上げか、利上げ休止かに市場注目
〇4.86を上回るうちは一段高余地あり、4.92超えからは4.94前後への上昇を想定
〇4.86割れからは下落期入りと仮定して4.84、4.82を順次試す下落を想定
【概況】
トルコリラ円の1月16日は概ね4.92円から4.80円の取引レンジ、17日早朝の終値は4.88円で前日終値の4.85円からは0.03円の円安リラ高だった。
トルコリラ円はドル高リラ安基調に圧迫されつつも昨年末からはドル円の上昇を追いかけており、16日もドル円の上昇を追いかけて15日から連騰した。
1月16日は休場明けの米長期債利回りが上昇開始してユーロやポンド等が下落してドル高感が強まり、ウォラーFRB理事が利下げ開始を急がないと強調したことでドル円は夕刻に1月11日深夜高値146.40円を超えて一段高に入り、17日未明には147.30円を付けて昨年12月29日未明安値140.24円以降の高値を更新し、17日午前には147.40円を超えて高値を伸ばしている。
トルコリラ円は12月29日に一時的な安値で4.70円を付けたところから持ち直しに入り、年明けからはドル円を追いかけて1月5日の米雇用統計発表時に4.89円を付けたが、1月11日夜にドル円が一段高した際には4.88円に留まり1月5日夜高値とダブルトップ型を形成していた。しかし12日朝に一時的安値で4.78円を付けてから再びドル円の上昇を追いかけて16日未明に4.87円まで戻したことにより、ダブルトップ型から三角持ち合い型へと変容していた。
1月17日未明にドル円が147円台へ乗せたところで4.92円を付けて三角持ち合いの抵抗線を突破して上放れしている。ドル円が1月29日未明安値を起点とした上昇基調を継続したことでトルコリラ円もダブルトップに終わらず一段高へ進んで上昇基調継続としている。昨年8月24日高値以降の下落基調から抜け出してきた可能性もあるところであり、当面はドル高リラ安を警戒しつつもドル円の上昇を追いかけたいところだ。
【ドル/トルコリラは史上最安値更新一服だが安値圏に留まる】
ドル/トルコリラの1月16日は概ね30.29リラから29.67リラの取引レンジ、17日早朝の終値は30.02リラで前日終値の30.07リラからは0.05リラのドル安リラ高だった。
12月21日にトルコ中銀が2.5%の追加利上げを決定して政策金利を42.5%へ引き上げたが、市場はインフレ高進に対して利上げ不足として追加利上げ催促のリラ売りを勢い付かせ、JPモルガンが2024年末予想を従来の1ドル34リラから1ドル36リラへ下方修正したことも影響して1月12日には30.34リラへ取引時間中の史上最安値を更新し、15日は取引時間中の最安値更新には至らなかったものの終値を30.07リラとして日足終値ベースでの史上最安値を更新した。
1月16日は米長期債利回り上昇やウォラーFRB理事の利下げを急がずとの発言でメジャー通貨においてはドル高が進行したが、トルコリラへの影響は見られず、ドル売りリラ買いも一時的なものにとどまり終値では30リラ台を維持した。
【リラの先安感拭えず】
12月21日にトルコ中銀は政策金利を2.5%引き上げて42.5%とし、エルドアン大統領再選後に就任したエルカン総裁時代に入ってからは就任前の8.5%から大幅な引き上げを続けて12月時点では7会合連続利上げとなった。
しかし、今年に入ってからのトルコ経済指標は弱くリラ売りを助長するものが続いている。1月3日発表の12月トルコCPIは全体の前年比が64.77%、コア指数で70.6%と高進が収まらず、1月10日発表の11月の失業率は10月の8.5%から9.0%へ悪化、11月鉱工業生産は前月比2.8%減、前年比0.2%増と冴えず、1月12日発表の11月経常収支は10月の黒字1.86億ドルから赤字27.22億ドルへ悪化、1月15日発表の12月財政収支は8425.3億ドルの大幅赤字となった。外貨準備高も大幅増のペースが鈍って2週連続で低下しており、2024年にリラが反騰してゆくための基礎条件の改善が滞っている。
来週は1月25日にトルコ中銀金融政策委員会があるが、インフレ高進を踏まえて積極的な追加利上げを決定できるか、11月時点から利上げサイクルの終了が近いとしてきた認識を維持して利上げを休止するのか市場も注目している。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、1月11日未明高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして12日の日中から16日午前にかけての間への下落を想定していたが、15日午前時点では前回ボトムから3日半を経過したので4.84円超えからは強気サイクル入りとし、15日夜に4.84円を超えて16日未明へ続伸したため、16日午前時点では13日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしてトップ形成期を16日未明から18日朝にかけての間とした。
1月17日未明へ一段高した後も4.88円以上を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、4.86円割れからは弱気サイクル入りとして18日未明から20日未明への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では1月15日夕刻に遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンから転落しないうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は1月17日未明に80ポイントに達してから反落したものの60ポイント以上を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、55ポイント割れからは下落期入りとみて40ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.86円を下値支持線、4.92円を上値抵抗線とする。
(2)4.86円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.92円超えからは4.94円前後への上昇を想定する。4.94円以上は反落注意とするが、4.88円を上回っての推移なら18日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.86円割れからは下落期入りと仮定して4.84円、4.82円を順次試す下落を想定する。4.82円以下は反騰注意とするが、4.86円を下回っての推移なら18日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
1月18日
20:30 週次 外貨準備高 1月12日時点 グロス (1月5日時点 919.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 1月12日時点 ネット (1月5日時点 322.6億ドル)
1月19日
23:30 12月 中央政府債務残高 (11月 6兆5730億リラ)
1月23日
16:00 1月 消費者信頼感指数 (12月 77.4)
1月25日
16:00 1月 製造業信頼感指数 (12月 99.1)
16:00 1月 設備稼働率 (12月 77.5%)
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 42.5%)
注:ポイント要約は編集部
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