ドル円見通し 146円に迫り年末からの上昇継続を試す(24/1/16)

146円には届かずにいるが16日朝も145円台後半を維持しており、1月11日深夜高値に迫り年末以降の上昇トレンド継続を試している。

ドル円見通し 146円に迫り年末からの上昇継続を試す(24/1/16)

ドル円見通し 146円に迫り年末からの上昇継続を試す

〇ドル円、1/15深夜に145.94まで戻す、146円には届かずにいるが1/16朝も145円台後半を維持
〇1/11深夜高値146.40に向かう流れ、年末以降の上昇トレンド継続を試す
〇日本10年債・2年債利回りの低下、日経平均の連騰していることが円売り要因に
〇1/15は人民元が対ドルで1か月振り安値を付ける、ドル高円売りに寄与
〇145.30以上での推移中は一段高余地ありとし、146円超えからは1/11深夜高値146.40試しとする
〇145.30割れからは下向きとし、145.00割れからは1/13未明安値144.35試しを想定する

【概況】

ドル円は1月11日夜の米12月CPIが予想を上回る上昇となったところで146.40円を付けて12月29日未明安値140.24円以降の高値としたが、12日夜の米PPIが顕著に鈍化したことで13日未明には144.35円まで下げ、13日早朝には145円近辺まで戻して先週を終えた。
1月15日は米国市場休場で手掛かりに欠けたが、日経平均の連騰による株買い・円売りと本邦10年債利回り低下やドル/人民元でのドル高元安、ユーロやポンドの軟調さを見ながら15日深夜には145.94円まで戻した。146円には届かずにいるが16日朝も145円台後半を維持しており、1月11日深夜高値に迫り年末以降の上昇トレンド継続を試している。

【日本2年債利回りは昨年7月以来のマイナスに】

日銀のマイナス金利解除が先送りされるとの見方を背景に日本10年債利回りは低下しており、1月15日の新発10年債(373回債)利回りは前日比0.030%低下の0.555%となった。1月15日の日銀による国債買い入れオペのオファー金額が前回から減額せずに据え置かれたことも債券買い・利回り低下に寄与し、新発2年債利回りは昨年7月以来のマイナス圏で前日比0.005%低下のマイナス0.005%となった。
1月1日に発生した能登半島大地震の影響によりマイナス金利解除による利上げが金融引き締めとして復興の妨げとなる懸念から日銀は暫くマイナス金利解除やYCC(長短金利操作)撤廃による金融緩和政策からの脱却を急がないとの見方が優勢となっている。国内インフレ動向次第では春闘の結果を見てマイナス金利解除へ向かうとの見方も健在だが、全体の実質賃金は伸びが鈍く家計支出も前年比マイナスの状況が続いているため、金融政策正常化を急ぐ状況でもない。

米国が年内3回以上の利下げ想定の中、米長期金利は昨年10月をピークとした低下傾向を続けると思われ、日米金利差は縮小傾向となり円高圧力も継続すると思われるが、日本10年債利回りが低下している状況なら金利差面での円高圧力も後退しやすい。

日本長期債利回り低下とともに日経平均が連騰していることも円売り要因となっている。日経平均株価は前日比324円68銭高の3万5901円79銭と6営業日続伸して一時は3万6000円台に到達してバブル崩壊後の最高値を更新し、東証株価指数(TOPIX)は30.37ポイント高の2524.60で8連騰した。本来なら円安が通貨インフレ効果として日経平均の上昇に寄与するものだが、現状は日銀が金融緩和政策終了を先送りするとの見方を背景とした円安に加えて株高期待によるリスクオン優勢の市場心理がクロス円全般の上昇を招くため、株高が円安を助長する構図となっている印象もある。

【年末からは元安と円安が目立つ】

1月15日は人民元が対ドルで1か月振り安値を付けたこともドル高円売りに寄与した。
中国人民銀行は1月15日に1年物中期貸出制度(MLF)金利を市場予想に反して据え置いため、市場は2月に預金準備率が引き下げられるとの見方が強まりドル買い元売りを助長した。人民銀は昨年末にかけて対ドルの人民元基準値を市場推定よりも現高に設定して元安にブレーキをかけてきたが、1月15日は市場予想よりも元安に設定しており、急激な元安に対してはけん制するものの昨年末からの元安ドル高基調を是認しているようだ。
ドル/人民元は12月29日に7.087元を付けて昨年9月8日の7.3498元以降の安値(元の高値)を付けたところから反騰しており、1月15日時点では一時7.1798元まで高値を伸ばして7.1711元で終了している。
年末からのドル円の上昇はドル/人民元の上昇と近い歩調で進んでいる印象もある。ドル指数自体は12月28日に100.61まで低下してから1月5日の103.10へ上昇した後はほぼ横ばいであり、元安と円安が目立っている印象だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は1月9日午前安値143.41円からの反騰が1月11日深夜高値146.40円で一巡したが、1月13日未明安値144.35円まで下げたところを目先の底として15日深夜には146円に迫り一段高入りを試している。目先の高値形成期は16日夜から18日深夜にかけての間と想定されるため、1月11日深夜高値とのダブルトップ形成に終わる可能性に注意しつつ、高値更新の場合は17日から18日にかけて続伸しやすくなるとみる。
ただし、145円割れからは下落期入りの可能性を優先して1月13日未明安値144.35円試しとし、145円以下での推移が続く場合は17日夜から20日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1月15日深夜にかけての上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いているため、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからは下げ再開を警戒し、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1月15日夜に70ポイントに到達してからやや下げたものの60ポイント近辺ではしっかりしているので、次に70ポイントを超える場合は80ポイントを目指す上昇を想定する。ただし、60ポイント割れから低下し始める場合は下落再開注意とし、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、145.00円を下値支持線、1月11日深夜高値146.40円を上値抵抗線とする。
(2)145.30円以上での推移中は一段高余地ありとし、146円超えからは11日深夜高値146.40円試しとする。11日深夜高値とのダブルトップに終わる可能性もあると注意するが、高値更新の場合は147円を目指す上昇を想定する。
(3)145.30円割れからは下向きとし、145.00円割れからは下落期入りとみて1月13日未明安値144.35円試しを想定する。144.35円割れを回避して底上げ状態を維持すれば年末以降の上昇トレンド維持としてその後の一段高への期待が残るが、144.35円を割り込む場合は年末以降の上昇トレンドからの転落として下落期が長期化する可能性もあるとみる。

【当面の予定】

1/16(火)
16:00 (独) 12月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前月比 (速報 0.1%、予想 0.1%)
16:00 (独) 12月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 3.7%、予想 3.7%)
16:00 (英) 11月 失業率(ILO方式) (10月 4.2%、予想 4.2%)
19:00 (独) 1月 ZEW景況感 (12月 12.8、予想 12.0)
19:00 (欧) 1月 ZEW景況感 (12月 23.0)
22:30 (米) 1月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (12月 -14.5、予想 -5.0)
25:00 (米) ウォラーFRB理事、講演

1/17(水)
11:00 (中) 10-12月期 GDP 前期比 (7-9月 1.3%、予想 1.0%)
11:00 (中) 10-12月期 GDP 前年同期比 (7−9月 4.9%、予想 5.2%)
11:00 (中) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 10.1%、予想 8.0%)
11:00 (中) 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 6.6%、予想 6.8%)
16:00 (英) 12月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (11月 -0.2%、予想 -0.2%)
16:00 (英) 12月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (11月 3.9%、予想 3.8%)
16:00 (英) 12月 コアCPI 前年同月比 (11月 5.1%、予想 4.9%)
16:00 (英) 12月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (11月 5.3%、予想 5.1%)
19:00 (欧) 12月 HICP(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 2.9%)
19:00 (欧) 12月 コアHICP・改定値 前年同月比 (速報 3.4%、予想 3.4%)

22:30 (米) 12月 小売売上高 前月比 (11月 0.3%、予想 0.4%)
22:30 (米) 12月 小売売上高・除自動車 前月比 (11月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 12月 輸入物価指数 前月比 (11月 -0.4%、予想 -0.5%)
22:30 (米) 12月 輸出物価指数 前月比 (11月 -0.9%、予想 -0.7%)
23:00 (米) バーFRB副議長、講演
23:00 (米) ボウマンFRB理事、講演
23:15 (米) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 0.2%、予想 -0.1%)
23:15 (米) 12月 設備稼働率 (11月 78.8%、予想 78.7%)
24:00 (米) 11月 企業在庫 前月比 (10月 -0.1%、予想 -0.1%)
24:00 (米) 1月 NAHB住宅市場指数 (12月 37、予想 39)

24:15 (欧) ラガルドECB総裁、WEFセッション参加
27:00 (米) 財務省20年債入札
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
29:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演



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