電力関連の経済指標次第だが、トレンド転換は近いか
先週のランドは、強い経済指標を材料にやや戻りを試す展開となった。
8日に発表された12月製造業PMIは50.9と前回の48.2を上回っただけではなく、好不況の境目である50も上回った。また、11月製造業生産指数も前年比1.9%と市場予想(同1.5%)を上回った。
こうした強い経済指標を背景にランドはじりじりと上昇。週末にかけては、米12月消費者物価指数発表後のドル乱高下でランドもやや不安定な動きとなったが、一時、昨年12月以降の上値抵抗ラインである100日移動平均線を上回る場面も見られた。
ランド・円(東京時間:1月8日―1月12日)※Investing.comの日足を参照
始値:7.7475円
高値:7.8502円
安値:7.6782円
終値:7.7685円
【今週の重要指標】※時間は東京時間
1月16日
20時00分、11月電力消費(前年比)、前回:1.0%
20時00分、11月発電(前年比)、前回:1.6%
1月17日
20時00分、11月小売売上高(前年比)、前回:−2.5%、市場予想:−1.1%
20時00分、11月小売売上高(前月比)、前回:−1.2%、市場予想:1.1%
1月18日
18時30分、11月鉱物生産量(前年比)、前回:3.9%、市場予想:3.0%
18時30分、11月金生産量(前年比)、前回:2.2%
18時30分、11月プラチナ生産量(前年比)、前回:16.9%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、16日の発電量、17日の小売売上高や18日の金やプラチナなど鉱物生産量の動向など経済指標の結果を見極める展開となりそうだ。
南アフリカ経済における発電量不足は、鉱物資源採掘などの減少に直結しており、南アフリカ経済の根幹ともいえる最大の問題だ。
昨年末から続いている紅海での米英とイエメンの武装組織フーシ派との争いの長期化は、石油船舶の運航に大きく影響する。実際の影響以上に思惑先行で、原油価格が上昇することとなれば、エネルギーのほとんどを輸入で賄っている南アフリカはエネルギー価格高騰というネガティブな材料を背負ってしまう。
エネルギー価格高騰は、鉱物資源の採掘コストに直結するだけではなく、コスト増加に伴う値上げによる小売売上高の低迷や消費者物価の上昇など様々な影響を与える可能性がある。
一方、テクニカルでは、日足の一目均衡表の雲下限手前で失速しており、三役逆転が継続しているが、遅行スパンは実線を上回る公算が徐々に大きくなっている。また、雲下限が7.8円台まで下落することから、自然体での雲突入が期待できる。三役逆転が終了する可能性は高いと言えよう。
今後、50日移動平均線が切り下がってくることから、目先の上値抵抗ラインである100日移動平均線ともにこれらの移動平均線を明確に上回れば、ランドの反発基調は強まろう。
経済指標の内容を見極める必要はあるが、テクニカル的にはトレンドが転換する準備は着々と進んでいる状況か。目先、昨年11月末以来となる8.0円台回復を試す展開は近いと考える。
南アランド円日足
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