ドル円 年末に向けた流動性低下で振れに注意(週報12月第4週)

先週のドル円は、米国の緩和思惑が再燃したことで週末に向け141円台後半へと下げ、クリスマス前のポジション調整が進むこととなりました。

ドル円 年末に向けた流動性低下で振れに注意(週報12月第4週)

年末に向けた流動性低下で振れに注意

〇先週のドル円、日銀会合で出口戦略への言及無しから、一時144.95レベルまで円売りが進む
〇145円の大台は試せず反落、米国の緩和思惑が再燃し週末に向け141円台後半へ下げる
〇今週は市場の流動性低下が思わぬ振れに。米国の緩和に目が向かいやすく、ドル売りの可能性が高いか
〇今週は141.00レベルをサポートに143.50レベルをレジスタンスとする流れを見るが振れる可能性に注意

今週の週間見通し

先週のドル円は火曜の日銀会合では政策変更は無いという事前の観測記事もあり、会合に向けて円売りが先行してのスタートを切りましたが、日銀会合は予想通りに現状維持。声明や会見でも大規模緩和維持、出口戦略への言及無しということから、一時144.95レベルまで円売りが進みました。しかし、145円の大台は試せなかったことで反落後は、主要国の金融政策イベントが終わり、もっとも変化が大きくなるであろう米国の緩和思惑が再燃したことで週末に向け141円台後半へと下げ、クリスマス前のポジション調整が進むこととなりました。

今週は月曜がクリスマスで主要市場では東京市場のみ、火曜も欧州市場は引き続き休場となることで、本格的な始動は27日となります。しかし、東京実需筋は28日が最終日で29日からは3日までは年末年始の休日となります。結果として市場の流動性が元に戻るのは1月4日からということになります。

今週は経済指標も要人発言もそれほど目立っていませんから、変動要因は少ないのですが、流動性の低下が思わぬ振れに繋がることもあります。その場合、どちらにも動く可能性がありますが、材料的には米国の緩和に目が向かいやすく、ドル売りにつながる可能性のほうが高いと見られます。ただ、12月に入ってからも突然円高に動く流れは見てきているため、参加者も警戒を強めていることもあって、年末年始のフラッシュクラッシュのようなことは起きないのではないかと考えています。

何も無ければ上値が重く、動き次第で円高に動く場面も見られるというシナリオが最も高いとは思いますが、比較的同様の考え方をしている参加者も多いので、マーケットが薄い中でドル買いを仕掛けるアルゴリズムも登場するかもしれません。もし、そうした動きが見られるならば、上がったところはドル売りで待つというのが正解でしょうか。なお、年明けは日柄的に円高に動きやすい点には注意しておきましょう。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

明らかに上値が重たいチャートですが、これまでのレジスタンスライン(青)の内側にピンクのレジスタンスラインを追加しました。今週はこのレジスタンスラインを上値の目途に、サポートは12月安値を考えることが基本です。ここでは、振れは考慮せずに今週は141.00レベルをサポートに143.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきますが、振れる可能性には常に注意はしておきたいところです。

年末に向けた流動性低下で振れに注意

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

12月25日(月)
**:** 東京を除く主要市場休場 ☆
**:** 植田日銀総裁講演

12月26日(火)
**:** 東京、NYを除く主要市場休場
08:30 本邦11月失業率・有効求人倍率
23:00 米国10月住宅価格、ケースシラー住宅価格

12月27日(水)
08:50 日銀会合(12月)主な意見 ☆
24:00 米国12月リッチモンド連銀製造業景況指数

12月28日(木)
22:30 米国新規失業保険申請数
22:30 米国11月卸売在庫
24:00 米国11月住宅販売保留件数
25:00 週間原油在庫統計

12月29日(金)
23:45 米国12月シカゴ購買部協会景況指数 ☆
**:** 米国債券市場短縮取引

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月18日(月)
週明けのドル円は前週木曜以降の底固めの動きを継続、欧州市場序盤に金曜高値を上抜けると仕掛けの買いも加わって一段高。日銀会合を前にドル売りポジションの調整も入り143.16レベルまで上げましたが、143円台では売りも出て142円台後半での引けとなりました。

12月19日(火)
ドル円は日銀会合で政策に変更は無く大規模緩和継続の発表を受け円安に振れ、その後の植田日銀総裁会見でも出口戦略につながる発言は皆無であったことから、海外市場に移ってから円安が進み欧州市場昼頃には144.95レベルの高値をつけました。145円台では売りも並んでいたこと、日計りの利食いが出たことに重なり、米国の早期緩和思惑もあって143円台半ばまで押した後、後半に戻して引けました。

12月20日(水)
ドル円は前日の日銀会合で主要国一連の金融政策イベントが終わったこともあり、静かな値動きの一日となりました。前日の円売りが失敗に終わったことでNY市場まではじり安、NY市場では強い経済指標を受けて買い戻されたものの朝方高値は抜けられず、上値が重たい印象の一日となりました。

12月21日(木)
東京市場のドル円は前日NY引け間際の株安の影響が残り株式市場の上値が重くリスクオフの円買いが先行しました。東京後場には買い戻しが入ったものの、欧州市場入りとともに改めてドル売りの流れが強まり、NY市場では米国7〜9月期DGP確報値が下方修正されたことからドル売りが強まり、142.04レベルまで下げて安値圏での引けとなりました。

12月22日(金)
東京朝方に141.86レベルの安値をつけたものの142円割れの買いも根強く142円台半ばへと反発。しかし、基本的には戻り売りを考える参加者が多かったことから再び下げに転じ、NY前場には弱い経済指標も手伝って141.89レベルまで下げました。142円割れでは買いが残っていたこと、米金利が上昇したことから142.66レベルと日中高値を更新後、若干押して引けました。


今年も一年お世話になりました。年内は本日が最終、年明けは8日月曜から再開となります。良い年をお迎えください。

ディスクレーマー

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