ドル円、週足陰線途切れるも上値は重くドル上げ渋り(週報12月第4週)

先週のドル/円相場は、ドルが小高い。週間を通して乱高下を繰り返し、難しい相場展開だったが、終わってみれば週足は辛うじて陽線引けだった。

ドル円、週足陰線途切れるも上値は重くドル上げ渋り(週報12月第4週)

ドル円、週足陰線途切れるも上値は重くドル上げ渋り

〇先週のドル円、ドル買い先行で144.95まで値を上げた後に急反落、一時141.87までドル安進行
〇その後ドルは再び買われ142円台を回復、週末NYは142円半ばまで小戻して越週
〇12/19の日銀会合結果がネガティブサプライズと捉えられ、ドル145円手前まで急伸の一因に
〇ドルの上値重い状況しばらく続く可能性も、テクニカルにも基調は依然として弱い
〇クリスマス・年末年始で当面は積極的な売買が手控えられる、思わぬ価格変動に十分注意
〇今週、来週は米12月ISM、雇用統計等の発表予定
〇今週の予想レンジは140.00-145.00、ドル高・円安は200日線をめぐる攻防に注目
〇ドル安・円高方向は、140.95が最初のサポート、割り込むとそのまま140円割れへと向かう展開も

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが小高い。週間を通して乱高下を繰り返し、難しい相場展開だったが、終わってみれば週足は辛うじて陽線引けだった。

前週末は、引き続き日本の自民党議員による「裏金疑惑」が世間を賑わせるなか、週明けに向けた17日夜に北朝鮮が弾道ミサイルを発射したとして物議を醸す。
そうした状況下、ドル/円は142.10円レベルで寄り付いたのち、当初はドル買い先行。週間高値144.95円まで値を上げていた。しかし、高値を示現後は逆Vの字型の急反落で、一時は寄り付きを下回る141.87円までドル安が進行する展開に。ただ、市場がクリスマスモードを強める最終盤、ドルは再び買われると142円台を回復し、結局週末NYは142円半ばまで小戻して越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日銀金融政策」と「米欧金融政策」について。
前者は、19日の昼ごろ、日銀が週間を通して最大の材料と目されていた金融政策決定会合の結果として「金利の据え置き」を発表。また、「先行きの金融政策指針も変更せず」と伝えられていた。個人的にはほぼ予想通りの内容だったが、市場では先日植田総裁が「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言したこともあり、事前には「早期正常化に向けてフォワードガイダンスが修正される」といった強気に傾斜。そのため、ネガティブサプライズなどと捉えられると、ドル/円相場は失望したとの見方から、1円以上もドルが急騰する結果に繋がっていた。つまり、ドルが145円手前まで一時急伸した一因に。しかし、それでも翌20日の日経新聞は懲りずに「日銀はマイナス金利政策をいつ解除するか見極めの段階に入った」との論調で「早期の政策変更」思惑を取り沙汰。さらに「1月論と4月論、賃上げ見極め判断」とさえ結論づけていた。

それに対して後者は、前述したように日銀会合を持ち日米欧すべての中銀が年内最後の金融政策決定会合が終了するなか、来年に向けた欧米の通貨当局者発言もあり、市場で思惑を呼ぶ。例えば、欧州は独連銀総裁から「利下げが近いと推測している向きに警告を発する」とのコメントが聞かれたうえ、オランダ中銀総裁も「ECBは利下げ急ぐ必要なし」などとやや強気な発言が目に付いた。一方、米国はフィラデルフィア連銀総裁から「利下げは必要だが直ちに行うことは無い」との発言が聞かれていたものの、21日に発表された7-9月期の米GDP確報値が予想外に下方修正され、市場の弱気ムードを後押しする主因となっていたようだ。

<< 今週・来週の見通し >>

ドル/円の週足は5週続けて陰線引けを記録したのち、先週は辛うじて陽線。とは言え、実体部が小さいだけでなく、2円を超える上ヒゲを残すなど、頭の重さを再認識した格好だ。ドルの上値の重い状況はまだしばらく続く可能性もある。いずれにしても、クリスマス明けには短期的に形成してきた141-145円のレンジをいよいよ離れていく展開を予想する向きも少なくない。そしてどちらの方向に放れるかといえば下向き、140円割れに向けた動きが期待されている。
市場は来年の日米欧による金融政策をめぐり、思惑が交錯。先で取り上げたような状況下、発表される指標や発言などに一喜一憂する展開だ。このあとも基本的には同様の動きが続く見込みだが、足もとは欧米を中心としたクリスマスモードで商いが薄く、それが明けても今度は日本が年末年始となる。どちらにせよ当面は積極的な売買が手控えられるなか「薄商い=乱高下」、思わぬ価格変動にも十分注意しておきたいところだ。

テクニカルに見た場合、ドル/円は14日などに一時下回るも、そののち回復してきた移動平均の200日線(25日時点142.80円前後)を再び割り込できた。それどころか、先週末22日は薄商いのなか、200日線が逆に抵抗して寄与していた感すらある。先で指摘したように、週足陰線の連続は一旦途切れたものの、決してトレンドがドル高に戻ったというようなことではなく、基調は依然として弱いまま。14日安値140.95円を下回れば140円割れがさらに現実味を増す可能性もある。

材料的に見た場合、中長期的には日中政府が輸出管理対話を行っていたことがわかったと報じられている「中国情勢」。米紙WSJが「プーチン氏側近、プリゴジン氏暗殺命令か」などと伝えていた「ロシア・ウクライナ情勢」、「北朝鮮情勢」−−などに注目。
そうしたなか今週・来週は、クリスマス明けから12月のISM製造業景況指数や同雇用統計をはじめとする米経済指標の発表が再開される予定だ。早期の米利下げ観測も取り沙汰されるなか、発表される米指標をめぐり思惑が交錯し、一喜一憂する展開も。

そんな今週のドル/円予想レンジは、140.00-145.00円。ドル高・円安については、まず現状割り込んだままの200日線をめぐる攻防に注目。回復すれば143円台などにそれほど強い抵抗は見当たらないだけに、思わぬレベルまでドルが戻る可能性もある。
対してドル安・円高方向は、14日安値140.95円が最初のサポート、そして近いレベルである140.70円もフィボナッチポイントにあたる。よって、なかなか強い下値メドとなりそうだが、逆にいえば割り込むとそのまま140円割れへと向かう展開を否定できないかもしれない。

ドル円、週足陰線途切れるも上値は重くドル上げ渋り

ドル円日足



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