トルコリラWeekly 最安値更新継続か、1月のエルカン総裁の説明会までは厳しい地合い(12/25)

トルコリラの下値模索は継続。利上げサイクルが終了するとの観測が高まったことからトルコリラ売りが強まり、史上最安値を更新した。

トルコリラWeekly 最安値更新継続か、1月のエルカン総裁の説明会までは厳しい地合い(12/25)

史上最安値更新継続か、1月のエルカン総裁の説明会までは厳しい地合い

【先週のトルコリラ】

トルコリラの下値模索は継続。利上げサイクルが終了するとの観測が高まったことからトルコリラ売りが強まり、史上最安値を更新した。

21日、トルコ中央銀行は、主要政策金利の1週間物レポレートを2.5ポイント引き上げ42.5%とした。7カ月連続の利上げで政策金利は20年ぶりの高水準になったが、利上げ幅は前回の5.0ポイントから半分に縮小し、トルコ中銀は積極的な引き締めを「可能な限り早期に終了する」との見通しを示した。

トルコ中銀は既に、前回の会合で引き締めがまもなく終了すると指摘していた。今回、「金融の引き締まりは、ディスインフレ軌道を確立するために必要な水準にかなり近づいている」との見解を示し「引き締めサイクルをできるだけ早く完了させる」との方針を示し、「引き締めは、持続的な物価安定を確保するために必要な限り維持される」とした。

早期の利上げサイクル終了に言及したことからトルコリラは売りに押され史上最安値を更新。下げトレンド継続で底が見えにくい状況となった。

トルコ・円(東京時間:12月18日―12月22日)※Investing.comの日足を参照
始値:4.9022円
高値:4.9998円
安値:4.8333円
終値:4.8524円 

【今週から来週の重要指標】※時間は東京時間

12月26日
16時00分、設備稼働率、前回:78.0%
12月29日
16時00分、貿易収支、前回:−65.2億ドル、市場予想:−59.0億ドル
1月2日
16時00分、製造業PMI、前回:47.2
1月3日
16時00分、消費者物価指数(前月比)、前回:3.28%、市場予想:3.0%
16時00分、消費者物価指数(前年比)、前回:61.98%、市場予想:64.95%
16時00分、生産者物価指数(前月比)、前回:2.81%
16時00分、生産者物価指数(前年比)、前回:42.25%

※予定は変更することがございます。

【今週の見通し】

今週から来週にかけてのトルコリラは、足元下げ止まるきっかけが見つからないことから、史上最安値更新が続くと想定する。

トルコ中銀は、12月4日に発表した11月のインフレ率61.98%について、2024年5月に70−75%まで上昇するが、引き締めの効果で2024年末には36%程度に低下すると予想した。市場では次回会合の24年1月に2.5%の最後の利上げを実施し、24年後半から利下げに向かうと推測されている。

テクニカルでは、日足の一目均衡表で三役逆転が示現しているほか、移動平均線(MA)でも9日MAに頭を押さえられた下げトレンドが継続している。短期的なリバウンドを期待したいところだが、20日MAを11月17日以降、上回ることさえ一回もできていない。急落した12月7日が「陰の極」となるかと思ったが、7日に残した長い下影(下ヒゲ)をあっさり吸収し史上最安値を更新していることから、下へのバイアスは強いままだ。

今週から来週にかけては、12月の消費者物価指数や同月の生産者物価指数など重要な経済指標発表が予定されているが、トルコ経済への先行き不透明感は一度の強い経済指標では簡単に払しょくできない。2024年1月11日にニューヨークのJPモルガン本社で開催されるエルカントルコ中銀総裁などによる国外投資家向け説明会までは下値模索が続くだろう。同説明会では、シムシェキ財務相も財政政策に関するプレゼンを行うことから、「途転」を試すにはこのタイミングか。

史上最安値更新継続か、1月のエルカン総裁の説明会までは厳しい地合い

トルコリラ円日足


※来週(1/1)はトルコリラ週報を休刊とさせていただきます。次号は1/9を予定しております。来年もよろしくお願いいたします。

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