トルコリラ円見通し 円高とリラ安の継続で史上最安値試し続く
〇トルコリラ円、12/25は手がかりに欠けたがドル円の上値重く、ドル高リラ安継続で一時4.84を付ける
〇取引時間中の史上最安値を更新、終値ベースでも最安値更新となる
〇トルコリラ円は昨年10月からのドル円下落時と同様、当面は史上最安値試しを続けやすい状況か
〇対ドル、12/25は概ね29.30から28.76の取引レンジ、終値ベースで史上最安値更新
〇4.87を下回るうち一段安警戒とし、4.82割れからは4.80、4.78を順次試す下落を想定する
〇4.87超えからは4.90試しとするが、4.90手前は売られやすいところとする
【概況】
トルコリラ円の12月25日は概ね4.89円から4.84円の取引レンジ、終値は4.84円で先週末終値4.85円から0.01円の円高リラ安だった。
12月21日のトルコ中銀による2.5%利上げを不足としたリラ安と、日銀会合後の円売りが一巡して米国の来春利下げ観測から下落に転じているドル円の下落により、トルコリラ円は12月19日夜高値4.98円から下落期に入って21日午前には4.90円を割り込み、22日午前に4.85円まで史上最安値を更新した。
ドル円が12月22日午前から下げ渋り型の持ち合いに入り、25日はクリスマスで欧米等が休場となったために手がかりに欠けたが、ドル円の上値は重く、ドル高リラ安の継続で一時4.84円を付けて史上最安値を更新、終値ベースでも最安値更新となった。
12月26日午前には4.83円まで最安値を切り下げている。
【トルコリラ円は昨年10月からのドル円下落時と同様に安値試しを続けやすい状況】
ドル円は12月7日に植田総裁の国会答弁で「年末から来年は一段とチャレンジングになる」と述べたことを金融緩和政策の出口へ向けた前傾姿勢と受け止めて147円台序盤だったところから12月8日未明安値141.67円まで急落した。いったん146円台中盤へ戻したものの12月14日早朝の米FOMCが来年3回の利下げ想定を示したことで再び急落して14日昼過ぎには140.99円を付けて11月13日高値151.90円以降の安値を更新した。
12月19日の日銀会合が金融緩和政策の現状維持とし、植田総裁がチャレンジングの意味は仕事への姿勢だったと述べたことで円売りとなり19日夜には144.95円まで戻したが、その後の米インフレ指標の鈍化によるドル安で22日午前には141.87円まで下げ、26日午前序盤にかけても142円台前半を中心とした下げ渋り程度の動きに留まっている。
昨年は10月21日高値151.94円を起点として今年1月16日安値127.22円まで24.73円の下落規模となったが、途中では11月15日から21日にかけて4.51円幅の反発を入れるなど5円前後規模の反発を繰り返し入れつつ一段安している。現状も昨年の下落時に近い動きであり、4円から5円前後規模の反発を入れながら一段安しており、ドル円の下落基調は越年で続きやすい状況と思われる。
トルコリラ円も昨年10月21日高値8.17円を起点として今年1月16日安値6.74円まで下落基調が続き、ドル円の戻りに合わせて3月8日高値7.29円まで戻す展開だったため、現状もドル円の下落が越年する可能性を踏まえて当面は史上最安値試しを続けやすい状況と考える。
【対ドルでは終値ベースで史上最安値更新】
ドル/トルコリラの12月25日は概ね29.30リラから28.76リラの取引レンジ、終値は29.25リラで先週末終値の29.20リラからは0.05リラのドル高リラ安だった。
12月25日は欧米豪等が休場となり手がかりに欠けたが、トルコリラの下落基調は続いており、12月22日に付けた取引時間中の史上最安値29.36リラを超えなかったものの終値ベースでは12月22日終値を超えて史上最安値を更新している。
12月26日午前序盤は29.25リラから29.19リラのレンジで推移しており、最安値更新を伺う位置に付けている。
トルコ中銀は12月21日に7会合連続の利上げで政策金利の週間レポレートを2.5%引き上げて42.5%とした。トルコ中銀や政府首脳は来年のインフレ鎮静化とリラの安定見通しを示し、中銀は利上げサイクルの終了が近いとの認識を11月会合に続いて示しているが、60%を大幅に超えるCPI上昇率がまだ収まらないために市場は追加利上げが必要としてリラ売り優勢の動きが続いている。
外貨準備高の増加、経常収支の改善や財政健全化への取り組み、欧米のインフレ鈍化傾向、エルドアン大統領再選後の金融政策正常化が継続していることへの評価により、来年はリラ安が収まるのではないかとの見方も徐々に強まっているものの、「もうはまだなり」でリラ安は続いており、まだ底の見えない状況と思われる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、12月19日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして22日午前から26日午前にかけての間への下落を想定したが、22日午前に4.85円まで史上最安値を更新してから4.89円まで戻したため、25日午前時点では22日午前安値を直近のサイクルボトムとし底割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
12月26日午前にかけての下落で底割れしているため、25日午前高値4.89円を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして27日午前から29日午前にかけての間への下落を想定する。強気転換は25日午前高値超えからとする。
60分足の一目均衡表では12月22日午前安値からの下げ渋ったものの先行スパンからの転落が続いていたため先行スパンを上抜けないうちは22日午前安値割れからの一段安警戒としていたが、26日午前に一段安しているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。強気転換には先行スパンを上抜き返す上昇が必要とみて先行スパンからの転落中は遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は12月25日午前に60ポイントへ迫ったものの失速し、26日午前には30ポイントを割り込んでいるため10ポイント台への低下を伴う下落余地ありとみる。強気転換には55ポイントを超えてその後も50ポイント以上を維持する上昇が必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.82円を下値支持線、4.87円を上値抵抗線とする。
(2)4.87円を下回るうち一段安警戒とし、4.82円割れからは4.80円、4.78円を順次試す下落を想定する。4.80円以下は反騰注意とするが、4.87円以下での推移か直前安値から0.05円を超える反騰がみられないうちは27日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)4.87円超えからは4.90円試しとするが、4.90円手前は売られやすいところとし、その後に4.87円を割り込むところからは下げ再開とみる。
【当面の主な予定】
12月26日
16:00 12月 製造業景況感指数 (11月 100.2)
16:00 12月 設備稼働率 (11月 78.0%)
12月28日
16:00 12月 経済信頼感指数 (11月 95.3)
20:30 週次 外貨準備高 12月22日時点 グロス (12月15日時点 954.0億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 12月22日時点 ネット (12月15日時点 371.8億ドル)
12月29日
16:00 11月 貿易収支 (10月 -65.2億ドル)
1月2日
16:00 12月 イスタンブール製造業PMI (11月 47.2)
1月3日
16:00 12月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (11月 3.28%)
16:00 12月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (11月 61.98%)
16:00 12月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (11月 2.81%)
16:00 12月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (11月 42.25%)
注:ポイント要約は編集部
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