トルコリラ円見通し 史上最安値更新後に買い戻されるも4.90円前後に抵抗感(23/12/27)

トルコリラ円の12月26日は概ね4.90円から4.83円の取引レンジ、27日早朝の終値は4.85円で前日終値の4.84円からは0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 史上最安値更新後に買い戻されるも4.90円前後に抵抗感(23/12/27)

史上最安値更新後に買い戻されるも4.90円前後に抵抗感

〇トルコ円、12/26午前4.83まで最安値を更新。ドル円が27日未明にやや戻したことで一時4.90まで戻す
〇4.90円前後では戻り売り優勢、12/27午前序盤には4.86まで失速
〇対ドル、12/27午前序盤は29.31から29.11のレンジ。最安値近辺での推移
〇トルコ12月製造業景況感は前月比悪化。製造業の足元が脆弱なままの印象強めるも市場の反応は鈍い
〇リラ保護預金、8月中旬の3兆4000億リラから12/15時点で2兆6800億リラまで減少。外貨準備高増加。
〇4.87以上での推移中は上向きとし、4.90超えからは4.92前後への上昇を想定する
〇4.87割れからは4.83試しとし、4.83割れからは4.80前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の12月26日は概ね4.90円から4.83円の取引レンジ、27日早朝の終値は4.85円で前日終値の4.84円からは0.01円の円安リラ高だった。
ドル高リラ安が続く中、12月19日夜からドル円が下落したことに圧迫されてトルコリラ円は12月19日夜高値4.98円から下落期に入り、21日午前に4.90円を割り込み、22日に4.85円へ史上最安値を更新した。26日午前に4.83円まで最安値を更新したが、ドル円が142円割れを回避して下げ渋り、27日未明にかけてやや戻したことでトルコリラ円も27日未明に4.90円まで戻した。4.90円前後では戻り売り優勢となり27日午前序盤には4.86円まで失速している。

【対ドルでは最安値近辺での推移】

ドル/トルコリラの12月26日は概ね29.34リラから29.06リラの取引レンジ、27日早朝の終値は29.18リラで前日終値の29.25リラからは0.07リラのドル安リラ高だった。
12月21日のトルコ中銀による2.5%追加利上げを不十分としてリラ売りが勢い付き、12月22日に取引時間中の史上最安値を29.36リラへ伸ばし、25日は取引時間中の最安値更新に浸らなかったものの終値ベースでは12月26日終値29.25リラで22日終値29.20リラを超えて史上最安値を更新した。
12月26日は英豪等が連休となり年末も迫って全般的には動意に欠ける状況だったが、終値では前日比でドル安リラ高となったものの最安値更新を試すなどリラ安基調の範囲で推移した。
12月27日午前序盤は29.31リラから29.11リラのレンジで推移している。

12月26日に発表されたトルコの12月製造業景況感は99.1となり11月の100.2から悪化した。今年5月に108.3まで上昇してから7か月連続で低下して100を割り込んだことは、トルコ製造業の足元が脆弱なままという印象を強めたが、市場の反応は鈍かった。設備稼働率も11月に78.0%まで上昇していたところから12月は77.5%へ鈍化した。

【リラ保護預金縮小】

トルコ政府は2021年末のリラ暴落対策としてリラ建て預金の為替差損を補填する保護預金制度=KKM口座を導入したが、エルドアン大統領再選後に就任したトルコ中銀のエルカン総裁としシムシェキ財務相主導でKKM口座の縮小が誘導されてきた。
KKM口座は8月中旬に3兆4000億リラに達していたが、12月15日時点では2兆6800億リラまで減少したという。KKM口座からは通常のリラ建て預金口座ないしは外貨預金へシフトしており、外貨預金が拡大することはリラ売り外貨高を助長することとなり、対ドル等でのリラ最安値更新が続く状況にも寄与したわけだが、エルカン中銀総裁は為替レートは市場原理に従うとして前任者まで繰り返されてきた外貨準備高を取り崩してリラ安防衛のために市場介入を行ってきた慣行を止め、外貨準備高増大に努めてきた。当面はリラ安を抑止できないとしても徐々に市場の信頼を勝ち取ることを目指してきたといえる。

12月21日にトルコ中銀は7会合連続で利上げを行い、政策金利はエルカン氏就任前の8.5%から42.5%まで大幅に切り上がってきた。市場はまだ利上げが足りないとしているものの、高インフレが落ち着けば高金利と外貨準備高増加及び金融政策の健全化継続に対する信頼の向上により来年はリラ安も落ち着いてゆく可能性があるだろう。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、12月19日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして22日午前から26日午前にかけての間への下落を想定していたが、26日午前時点では22日午前安値を割り込んだことによる新たな弱気サイクル入りとし、25日午前高値超えからは強気サイクル入りとした。
12月26日午前に底割れしたものの、その後の反騰で25日午前高値を超えて4.90円まで戻し、27日午前序盤に反落しているため、12月19日午前安値から5日目となる26日午前安値を直近のサイクルボトムと改める。すでに27日早朝高値でサイクルトップを付けた可能性があると注意し、26日午前安値割れを回避するうちは27日の日中から30日未明にかけての間への上昇余地ありとするが、26日午前安値割れからは弱気サイクル入りとして29日午前から1月2日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月27日早朝への上昇で遅行スパンがいったん好転したもののその後に反落しているため再び悪化しやすい位置にある、先行スパンに対しても一度上抜けてから再び下抜けるなど方向感に欠ける。
先行スパンを上抜いた状況を維持し始める場合は上向きとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落中は下向きとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12月27日未明に70ポイント台へ上昇してから45ポイントまで低下しており、戻り一巡から下落再開に入っている印象だ。60ポイント超えへ切り返す場合は上昇再開とするが、40ポイント割れからは下落継続として20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.83円を下値支持線、4.90円を上値抵抗線とする。
(2)4.87円以上での推移中は上向きとし、4.90円超えからは4.92円前後への上昇を想定する。4.92円以上は反落警戒とするが、4.87円を上回っての推移なら28日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.87円割れからは4.83円試しとし、4.83円割れからは4.80円前後への下落を想定する。4.80円以下は反騰注意とするが、4.83円以下での推移なら28日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

12月28日
 16:00 12月 経済信頼感指数 (11月 95.3)
 20:30 週次 外貨準備高 12月22日時点 グロス (12月15日時点 954.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 12月22日時点 ネット (12月15日時点 371.8億ドル)
12月29日
 16:00 11月 貿易収支 (10月 -65.2億ドル)
1月2日
 16:00 12月 イスタンブール製造業PMI (11月 47.2)
1月3日
 16:00 12月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (11月 3.28%)
 16:00 12月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (11月 61.98%)
 16:00 12月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (11月 2.81%)
 16:00 12月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (11月 42.25%)



注:ポイント要約は編集部

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