ドル円見通し 日銀「主な意見」から上昇したが、全般ドル安基調は変わらず上昇は限定的か(12/27)

ドル円は、日銀会合の主な意見公表をきっかけに23日未明高値142.65円を超えて142.80円台へ上昇している。

ドル円見通し 日銀「主な意見」から上昇したが、全般ドル安基調は変わらず上昇は限定的か(12/27)

日銀「主な意見」から上昇したが、全般ドル安基調は変わらず上昇は限定的か

〇ドル円、日銀「主な意見」公表で慎重姿勢を再確認。円売り優勢となり142.80台へ上昇
〇米来春利下げ期待による全般のドル安基調は変わらないとすれば、反応一巡後は下落再開ヘ進みやすいか
〇米住宅統計は堅調さを示すも、クリスマス休場明けで市場の反応は鈍い
〇米長期債利回りは小動き。株式市場は金融緩和期待による先高期待を継続、ダウは最高値に迫る
〇142.25以上で推移中は戻りを試す余地あり、143.00超えからは143.20、143.50を順次試す上昇を想定
〇142.50割れからは下向きとして141.87試し、底割れから141.50、141.00前後を順次試す下落を想定

【概況】

ドル円は12月14日早朝の米FOMCが来年3回の利下げ想定を示したことをきっかけとしたドル安で14日午後安値140.99円へ下落して11月13日高値151.90円以降の安値を更新し、12月19日の日銀金融政策決定会合が金融緩和政策の現状維持を決定したことによる円売りで19日夜高値144.95円まで上昇したが、米国の来春利下げ期待による全般ドル安基調は継続とみてドル売り優勢の流れとなり、22日午前には141.87円を付けて日銀会合後の上昇幅を解消した。
12月25日のクリスマス休場、26日の英豪等の休場で動意が欠ける中、26日午前に142.08円まで下げたものの142円台を維持、27日未明にかけてのジリ高で142.62円を付けたものの23日未明高値142.65円超えには至らず、142円台の持ち合いを続けていたが、日銀会合の主な意見公表をきっかけに23日未明高値142.65円を超えて142.80円台へ上昇している。

日銀会合の主な意見では特にサプライズ的な内容は見られなかったものの、マイナス金利解除やYCC修正に関しては慎重姿勢だったことが再確認されたために円売り優勢となった印象だ。しかし、米国の来春利下げ期待による全般のドル安基調は変わらないとすれば、主な意見に対する反応一巡後は下落再開ヘ進みやすいのではないかと考える。

【米住宅統計は強めだが市場の反応は鈍い】

12月26日に米連邦住宅金融庁(FHFA)が発表した10月の米住宅価格指数は前月比0.3%上昇で9月の0.7%上昇から鈍化したものの、前年同月比6.3%上昇となり9月の6.2%から伸びが加速して住宅市場の堅調さを示した。
米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズによる10月の全米住宅価格指数は前月比0.6%上昇で、前年同月比は4.8%上昇となり9月の4.0%から伸びが加速して今年最大の上昇率となった。米20都市では前月比0.6%上昇、前年同月比4.9%上昇だった。
クリスマス休場明けで市場の反応は鈍かった。

【米長期債利回りは小動き、ダウは最高値に迫る】

12月26日の米長期債利回りは年末を控えて動意に欠けて小動きだが、低下傾向の範囲内での動きを続けている。
長期金利指標の10年債利回りは先週末と変わらずに3.90%で終了、12月21日に一時3.83%まで低下して10月23日に付けた5.02%以降の最低とした後は下げ渋りの様相。
30年債利回りは0.01%低下の4.05%で終了、12月21日に3.98%まで低下して10月23日に付けた5.18%以降の最低とした後は下げ渋りの様相。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは0.03%上昇の4.36%で終了した。12月14日に一時4.28%まで急低下して10月19日に付けた5.26%以降の最低としてからは新たな安値更新を回避しているものの、日足終値ベースでは22日終値4.33%で10月19日以降の最低を更新し、26日も下げ渋り程度となった。

一方、12月26日のNYダウは159.36ドル高と上昇、12月20日に史上最高値を37557.92ドルへ伸ばしてから反落したが、26日は一時37617.99ドルを付けて最高値に迫った。ナスダック総合指数は81.60ポイント高と上昇して21日から3連騰で年初来高値を更新した。株式市場は来年の金融緩和期待による先高期待を継続している。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は日銀会合後の急伸で付けた12月19日夜高値144.95円から下落したが、12月22日午前安値141.87円の後は下げ渋りの持ち合いとなり、27日午前の上昇で持ち合いから上放れつつある。
12月22日午前安値割れ回避の打ちは上昇余地ありとして143円台序盤への上昇を想定するが、22日午前安値割れからは27日午後から29日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月27日午前の上昇で先行スパン突破を試している。先行スパン突破からは上昇継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12月27日午前の上昇で70ポイントに迫っているので50ポイント台を維持するうちは上昇余地ありとするが、次の45ポイント割れからは下落再開とみて30ポイント以下への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月22日午前安値141.87円を下値支持線、143.00円を上値抵抗線とする。
(2)142.25円以上での推移中は戻りを試す余地ありとし、143.00円超えからは143.20円、143.50円を順次試す上昇を想定する。
(3)142.50円割れからは下向きとして141.87円試しとし、底割れから141.50円、141.00円前後を順次試す下落を想定する。141円以下は反騰注意とするが、141.87円以下での推移なら27日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

12/27(水)
08:50 (日) 日銀金融政策決定会合「主な意見」(12/18-19開催分)
14:00 (日) 11月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (10月 -6.3%、予想 -4.3%)
24:00 (米) 12月 リッチモンド連銀製造業指数 (11月 -5、予想 -3)
27:00 (米) 財務省5年債入札



12/28(木)
08:50 (日) 11月 小売業販売額 前年同月比 (10月 4.2%、予想 5.0%)
08:50 (日) 11月 鉱工業生産・速報値 前月比 (10月 1.3%、予想 -1.5%)
08:50 (日) 11月 鉱工業生産・速報値 前年同月比 (10月 1.1%、予想 -2.1%)

22:30 (米) 11月 卸売在庫 前月比 (10月 -0.2%、予想 -0.2%)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 20.5万件、予想 21.0万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 186.5万人、予想 187.5万人)
24:00 (米) 11月 住宅販売保留指数 前月比 (10月 -1.5%、予想 1.0%)
24:00 (米) 11月 住宅販売保留指数 前年同月比 (10月 -6.6%)
25:00 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省7年債入札

12/29(金)
16:00 (英) 12月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (11月 0.2%)
23:45 (米) 12月 シカゴ購買部協会景況指数 (11月 55.8、予想 50.0)



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