トルコリラ円見通し 円高再燃と対ドルでのリラ安継続で史上最安値を更新(23/12/28)

トルコリラ円の12月27日は概ね4.90円から4.81円の取引レンジ、28日早朝の終値は4.82円で前日終値の4.85円からは0.03円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 円高再燃と対ドルでのリラ安継続で史上最安値を更新(23/12/28)

円高再燃と対ドルでのリラ安継続で史上最安値を更新

〇トルコ円、12/27深夜からドル円が一段安したところで4.81へ史上最安値更新
〇12/28午前序盤は一時4.80を割り込む、円高・リラ安継続により史上最安値更新繰り返す
〇対ドル、12/27は概ね29.41から29.05の取引レンジ、12/28早朝終値は29.37
〇5月末以降の金融政策正常化継続により海外からの投資マネー流入も進んだが、リラ安解消には至らず
〇12/21のトルコ中銀による政策金利引き上げ、市場は利上げ不足とし、かえってリラ安の勢い増す
〇4.83以下での推移中は下向きとし、4.79割れからは4.75前後への下落を想定
〇4.83から4.85手前は戻り売り有利とみる

【概況】

トルコリラ円の12月27日は概ね4.90円から4.81円の取引レンジ、28日早朝の終値は4.82円で前日終値の4.85円からは0.03円の円高リラ安だった。
ドル円は12月19日の日銀金融政策決定会合で金融緩和政策の維持を決定したことによる円売りで12月19日夜に144.95円へ上昇したが、円売り一巡から下落に転じ、米国の来春利下げ確率が上昇する中でドル安が進んだことで12月22日に141.87円まで下げ、その後は142円台での持ち合いに入っていたが、27日深夜から28日早朝にかけてドル安が勢いを増したことで持ち合いを下放れして28日午前には141.40円を割り込んできた。
トルコリラ円は12月19日夜の円安局面で4.98円へ上昇したところから下落に転じ、22日午前には4.85円へ史上最安値を更新したが、26日午前に4.83円まで一段安してから買い戻されて27日早朝には4.90円まで戻した。しかし4.90円前後では戻り売りが厳しく早々に失速し、27日深夜からドル円が一段安したところで4.81円へ史上最安値を更新した。28日午前序盤には一時4.80円を割り込んでおり、円高継続とリラ安継続により史上最安値の更新を繰り返している状況だ。

【対ドルでは取引時間中及び終値で史上最安値更新】

ドル/トルコリラの12月27日は概ね29.41リラから29.05リラの取引レンジ、28日早朝の終値は29.37リラで前日終値の29.18リラからは0.19リラのドル高リラ安だった。
メジャー通貨のドルストレートではユーロが10月3日以降の最高値を更新するなど、米国の来春利下げ見通しが高まる中でドル全面安の様相だが、対ドルでのトルコリラは8月24日以降の下落基調を続けており、12月21日にトルコ中銀が2.5%の追加利上げで政策金利を42.5%まで引き上げたものの市場は利上げ不足としてかえってリラ安の勢いが増している。
12月22日に取引時間中の史上最安値を29.36リラへ伸ばした後は新たな安値更新を回避していたものの、27日は29.41リラへ最安値を更新した。終値ベースでは12月26日終値29.24リラで22日終値29.20リラを超えて史上最安値を更新していたが、27日も終値を29.37リラへと大幅に更新した。

エルドアン大統領は「高金利は悪」としてインフレ高進中に利下げを強行するなど非伝統的な政策を繰り返したことでリラ暴落を再三招いてきたが、5月末に再選した後はウォール街出身の銀行家エルカン氏を中銀総裁に任用し、経済政策で評判の高かったシムシェキ氏を財務相に充ててインフレ抑制のための利上げを容認、財政再建のための増税を実施、リラ安抑止よりも外貨準備高増加による外資の信頼回復を目指してきた。金融政策の正常化が続いたことで大手格付け機関による評価も上がり海外からの投資マネーの流入も進んできたが、リラ安はまだ解消できずにいる。
12月21日にトルコ中銀は来年のインフレ鈍化予想とともに現在の利上げサイクル終了が近いとの認識を11月会合に続いて示したが、市場はまだ利上げ不足とみている。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、12月26日午前安値からの反騰で25日午前高値を超えたため、27日午前時点では12月19日午前安値から5日目となる26日午前安値を直近のサイクルボトムとしたが、すでに27日早朝高値でサイクルトップを付けた可能性があるとして26日午前安値割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
27日深夜からの下落で26日午前安値を割り込んだため、27日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして29日午前から1月3日午前にかけての間への下落を想定する。強気転換には4.85円超えからさらに続伸するような反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では12月27日深夜からの下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜けないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。

60分足の相対力指数は12月27日早朝への上昇時に70ポイントを超えたが、27日深夜からの下落で30ポイントを割り込んでいる。45ポイント以下での推移中は一段安余地ありとし、10ポイント前後への低下余地ありとみる。40ポイントから45ポイント前後にかけての水準では戻り売り有利とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.79円を下値支持線、4.85円を上値抵抗線とする。
(2)4.83円以下での推移中は下向きとし、4.79円割れからは4.75円前後への下落を想定する。4.75円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は4.73円前後へ下値目途を引き下げる。
(3)4.83円から4.85円手前は戻り売り有利とみる。

【当面の主な予定】

12月28日
 16:00 12月 経済信頼感指数 (11月 95.3)
 20:30 週次 外貨準備高 12月22日時点 グロス (12月15日時点 954.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 12月22日時点 ネット (12月15日時点 371.8億ドル)
12月29日
 16:00 11月 貿易収支 (10月 -65.2億ドル)
1月2日
 16:00 12月 イスタンブール製造業PMI (11月 47.2)
1月3日
 16:00 12月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (11月 3.28%)
 16:00 12月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (11月 61.98%)
 16:00 12月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (11月 2.81%)
 16:00 12月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (11月 42.25%)


注:ポイント要約は編集部

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