ドル円 安値圏でのもみあい継続するも短期的には調整先行(週報12月第3週)

先週のドル円は米国CPI、FOMC、ECB理事会が3大イベントとなりました。

ドル円 安値圏でのもみあい継続するも短期的には調整先行(週報12月第3週)

安値圏でのもみあい継続するも短期的には調整先行

〇先週のドル円、予想通りのFOMC現状維持、2024年末金利見通し下方修正を受け、ドル売りに反応
〇一時140円台後半まで下落するも、短期的には利食いの買い戻しで週末に142円台前半へと戻す
〇来年3回の利下げ見通しを好感してNYダウは史上最高値更新
〇着実に日米金利差は縮小する方向、買い戻しを挟みながらもドル安・円高の動きが継続しやすい地合い
〇テクニカルにも、現在の円高の動きが調整ではなく、本流になってきたと見られる証拠出始める
〇今週末は市場によって短縮取引となり参加者減るため、荒っぽい値動きに要注意
〇今週は141.00レベルをサポートに144.00レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通し

先週のドル円は米国CPI、FOMC、ECB理事会が3大イベントとなりましたが、CPIは予想通りとなったことで、おそらくはFOMC直前のポジション調整が債券市場で起きたことによる金利上昇、ドル買い戻しが目立ちました。そして翌日のFOMCの現状維持、2024年末の金利見通し下方修正とコンセンサス通りでしたが、来年3回の利下げ見通しを好感してNYダウが史上最高値更新という動きが最大のトピックスであったと思います。

為替市場も米金利低下見通しに素直にドル売りに反応し、一時140円台後半まで水準を下げましたが、今年の高値から11円もの下げを演じたこともあり、長期的なドル安トレンドは変わらないものの短期的には利食いの買い戻しが押し寄せたことで142円台前半へと戻す底固めの週後半となりました。

ここまでの円買い戻しの動きはポジションにも反映していて、シカゴ通貨先物の円売りポジションは12日時点で8万1千枚程度と、ピークの13万枚超えから大幅に減少してきました。しかし、2024年末の金利見通しは今後変化することがあっても、緩和に転じるという方向性自体には変更は無いと考えられますし、いっぽうで日銀も明日の会合では現状維持だとしても2024年前半のどこか、おそらく3月会合でYCCの撤廃、マイナス金利の解除など出口戦略が示されるであろうことを考えると、着実に日米金利差は縮小する方向です。

今後起きていくであろうことを事前に織り込んでいくのが相場の特徴であることを考えると、今後も買い戻しを挟みながらもドル安・円高の動きが継続しやすい地合いになってきたと考えられます。振り返ると2021年初からドル高トレンドが明確になり、その流れが今年で終わるであろうという流れになってきました。テクニカルにも現在の円高の動きが調整ではなく、本流になってきたと見られる証拠が出始めてきました。明日の日銀会合で何も変更が無かったことでドル買いに動くようであれば、そこは絶好の売り場にされる可能性は高いと見ています。

また今週末は欧米がクリスマスとなりますので、金曜は市場によって短縮取引となり、参加者も減っていきますので、引き続き荒っぽい値動きには注意が必要でしょう。テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

先週書いた通りですが、先週までの調整幅は明らかにこれまでの調整幅約8円よりも大きく、調整を超え本流になってきたと考えられます。その場合、次のターゲットは7月安値と11月高値との78.6%(61.8%の平方根)押し140.37と重なる大台140円ということになります。ただ短期的には調整が先行しやすい地合いで、戻しの目途としては11月高値と先週安値との23.6%戻し134.54、38.2%戻し145.13となりますが、前者はやや近すぎ後者と重なる145円は遠い印象です。間の144円水準が妥当に思えます。下値も140円は現状ではやや遠いため先週安値と重なる141円がターゲットです。

今週は141.00レベルをサポートに144.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

安値圏でのもみあい継続するも短期的には調整先行

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

12月18日(月)
18:00 ドイツ12月企業景況感
21:00 ベルギー中銀総裁講演
22:30 シュナーベルECB理事講演 ☆
24:00 レーンECB理事講演 ☆
24:00 米国12月NAHB住宅指数 ☆
30:45 NZ11月貿易収支

12月19日(火)
09:00 豪州12月企業信頼感
09:30 豪中銀理事会議事要旨公表 ☆
12:00頃 日銀会合結果発表 ☆
15:30 植田日銀総裁会見 ☆
19:00 ユーロ圏11月CPI
22:30 米国11月住宅着工・建設許可
26:30 (アトランタ連銀総裁講演)

12月20日(水)
08:50 本邦11月貿易収支(通関)
16:00 ドイツ11月PPI ☆
16:00 ドイツ1月消費者信頼感
16:00 英国11月CPI ☆
19:00 ユーロ圏10月建設支出
24:00 ユーロ圏12月消費者信頼感速報値 ☆
24:00 米国11月中古住宅販売 ☆
24:00 米国12月消費者信頼感 ☆
24:30 週間原油在庫統計

12月21日(木)
16:45 フランス12月企業景況感
22:30 米国7〜9月期GDP確報値 ☆
22:30 米国12月フィラデルフィア連銀製造業景況指数 ☆
22:30 米国新規失業保険申請数
24:00 米国11月景気先行指数

12月22日(金)
08:30 本邦11月CPI ☆
08:50 日銀11月会合議事要旨公表
16:00 英国7〜9月期GDP改定値 ☆
16:00 英国11月小売売上高
16:45 フランス11月PPI ☆
16:45 フランス12月消費者信頼感
22:30 米国11月個人所得・個人消費支出 ☆、耐久財受注
24:00 米国11月新築住宅販売 ☆
24:00 米国12月ミシガン大消費者信頼感
**:** 英国市場短縮取引

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月11日(月)
 週明けのドル円は早朝から底堅い展開となっていましたが、欧州市場序盤に日銀がイールドカーブコントロール、マイナス金利の解除を今月の会合ではほとんど考えていないとの観測記事が出たことで146円台半ばまで円安が進みました。その後も146円台前半で底堅いまま引けました。

12月12日(火)
 ドル円は米国CPIの発表を前に金曜から続いていたドル買いの調整が入りました。東京朝方からじり安を辿っていたところ、CPIが予想通りの結果となったことで一時144.72レベルの安値をつけました。しかし、米金利が発表後に上昇に転じたため、ドル円も買い戻され145.85レベルまで反発、引けにかけては145円台半ばに押して引けました。

12月13日(水)
 ドル円は東京市場では円安に動いたものの高値145.99レベルまで、その後の海外市場ではFOMCを控えて行って来い、145円水準で結果待ちとなりました。現状維持はコンセンサス通り、2024年末の金利見通し0.5%下方修正も予想通りだとは思ったものの、2024年3回利下げを好感してNYダウが史上最高値更新、米金利低下からドル円も142円台半ばまで大きく円高が進みました。

12月14日(木)
 ドル円はFOMC後のドル売りの流れを続け東京昼過ぎには一時140.95レベルの安値をつけました。その後140円台では利食いの買い戻しも出て142円超えまで反発。上下に振れやすい展開ではあったものの142円台では戻り売りも出て、141円台半ばから後半をもみあいの中心とした動きとなりました。

12月15日(金)
 週末のドル円は1日を振り返ると安値圏で底固めの動きとなりました。これまで大きく動いてきたこともあり、複数のFRB関係者がややタカ派的な発言をしたことをきっかけにしたドル買いが出た程度でした。それでも終日のレンジは1円強ありましたので、まだまだ上下に振れやすい流れは終わっていないという流れの週末クローズとなりました。

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