FOMC(12月12-13日開催)結果のポイント:FRBハト派に転換で年内130円台突入の可能性も

米連邦準備制度理事会(FRB)は、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利を下限5.25%、上限5.5%と3会合連続で据え置いた。

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FOMC(12月12-13日開催)結果のポイント:FRBハト派に転換で年内130円台突入の可能性も

FRBハト派に転換で年内130円台突入の可能性も

【今回のポイント】

〇 政策金利は3会合連続で下限5.25%、上限5.5%を据え置き
〇 2024年は3回程度(0.75%)の利下げを見込む
〇 パウエルFRB議長もハト派に転換したことでドルは急落

【FOMCの結果】

米連邦準備制度理事会(FRB)は、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利を下限5.25%、上限5.5%と3会合連続で据え置いた。

2024年については合計で0.75ポイントの利下げを予測。24年末時点でのFF金利については、予測中央値は4.6%だが、ドットチャートでは、2人が5.375%、1人が5.125%、5人が4.875%、6人が4.625%、4人が4.375%、1人が3.875%とかなりばらつきが見られた。
パウエルFRB議長は、会合後の記者会見で「予測はあらかじめ決められた計画ではない」ことを強調したほか「物価上昇圧力が再び台頭しないようにするため、追加利上げの選択肢を外す用意はない」とした。利下げの適切な開始時期に関しては「利下げは視野に入り始めており、実社会で話題になっているのは明白だ。今回のFOMCでも議論した」と述べた。

【市場の反応】

市場は、FOMC声明およびパウエルFRB議長の発言を総合的に「ハト派への転換」と捉え、ドル売りの反応を示した。FOMC結果が伝わる前に145円台だったドルは、結果発表直後に144円台水準と1円ドルは下落し、パウエルFRB議長の記者会見中に142円台に突入した。そして、東京時間14日12時過ぎには、140円97銭と7日の安値を一気に下回った。

基本的に米国の利上げサイクルが終わったとの認識が伝わったことはサプライズではないが、パウエルFRB議長が利下げ議論の開始を容認したことがサプライズとなり、ドル一段安の要因となった。

【今後、ドルはどう動く?】

2024年中の利下げ余地をFRBは3回と見込んでいるが、政策金利の先行きを予想するFed Watchでは、市場参加者が最も有力視する利下げの開始時期は来年3月で、24年末にかけては5−6回程度の利下げを織り込んでいる。つまり、FRBと市場の乖離はかなり大きいわけだ。パウエルFRB議長が利下げ議論の開始を記者会見で認めたことで「利上げサイクルが終了したドルは転換点を迎えた」との見方が強い。

14日以降、米10年債利回りは4.0%台を割り込んでおり、日米金利差は縮小しつつある。「円安トレンド」に欠かせなかった円キャリートレードのポジションを新しく構築する動きは手控えられよう。

2022年2月から続いたFRBの利上げサイクルを背景とした長期的な「ドル高・円安トレンド」は終焉を迎えると考える。18−19日の日銀金融政策決定会合の結果で短期的には、ドルが対円で乱高下する可能性はあるが、基本的にはゆっくりとしたドル安円高の流れを想定する。目先は140円97銭での攻防を想定するが、この水準を割り込むと7月28日以来となる130円台と大台が大きく変わる可能性もあろう。日銀会合の結果次第では、12月内にも130円台突入はあると考える。

【2023年スケジュール】

※米国は現地時間を記載しているので、金利発表及び記者会見は日本時間翌日未明

日銀金融政策決定会合(日銀会合)
9月21日(木)−22日(金)・・・現状の金融緩和方針を維持したことで、市場はやや円安
10月30日(月)−31日(火)・・・想定通りのYCC再修正に留まったことで、市場は円安の反応
12月18日(月)−19日(火)・・・現状の金融緩和方針の維持を予想するが、記者会見での植田日銀総裁の発言に注目

米連邦公開市場委員会(FOMC)
9月19日(火)−20日(水)・・・利上げ見送り、ややタカ派な姿勢が確認できたことで、市場はドル買いで反応
10月31日(火)−11月1日(水)・・・利上げ見送り、パウエル発言をややネガティブ視しドルはやや軟調
12月12日(火)−13日(水)・・・金利据え置き、2024年末にかけて3回の利下げを織り込むとハト派な内容となったことでドル急落(一時140円97銭)

欧州中央銀行理事会(ECB理事会)
9月14日(木)・・・0.25%引き上げで政策金利は4.5%、市場はユーロ売りで反応
10月26日(木)・・・想定通りの現状維持でユーロは凪相場
12月14日(木)・・・金利は据え置き、引き下げを示唆しなかったことで、ユーロは主要通貨に対してやや買われた

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