20MA突破には株高の材料が必要か
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、経済指標が相次いで市場予想を下回ったほか、ドル円相場の急落なども影響して、一時12月7日の安値7.5605円に迫る場面が見られた。
12日の10月製造業生産は、前月比−0.2%と市場予想(同+0.3%)を下回った一方、13日の11月消費者物価指数は前年比5.5%上昇と市場予想(同5.4%)よりも上振れた。ただ、その後の10月小売売上高が前年比−2.5%と市場予想(同+0.9%)を大幅に下回ったことなどから、国内経済見通しへの警戒感が先行し、ランドは下落した。
また、米連邦市場公開委員会(FOMC)では、米連邦準備制度理事会(FRB)が2024年に3回程度の利下げを見込むと発表したことからドルが急落。ドル安円高の流れにつられ、ランドは7日の安値に迫る下落を見せた。ただ、15日には、利上げサイクルが終了した米国からの資金流入期待などを背景に、南アフリカの株価指数であるヨハネスブルグ主要40(JTOPI)が前日比4%近い大幅高に。株高を材料にランドは買い戻され、終わってみれば週初よりも高い水準まで値を戻した。
ランド・円(東京時間:12月11日―12月15日)※Investing.comの日足を参照
始値:7.6371円
高値:7.8198円
安値:7.5700円
終値:7.7645円
【今週の重要指標】※時間は東京時間
特になし
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、目立った経済指標の発表が予定されていないことから、主に株式市場をにらんだ展開となりそうだ。
先週末の株式市場では、JTOPIが前日比3.89%の大幅高となった。今後も、利上げサイクルが終了した米国から資金流入への思惑が高まれば、200日移動平均線(MA)が位置している70000を上回る可能性がある。この水準は12月1日の高値70305も位置していることから注目されよう。株高=ランド高の地合いに期待したいところだ。
一方、19日に発表される日銀金融政策決定会合の結果次第では、ドル安・円高の地合いが強まるとの見方もある。ランドは、ドル安・円高の流れに連れ安となろう。ランド売りが強まった場合には、7日の安値7.5605円を割り込む展開を警戒しておきたい。
テクニカルを確認すると、先週末の反発は、切り下がってくる20日MAに頭を押さえられている。目先の上値抵抗ラインとして20日MAが意識される一方、日足の一目均衡表では、雲下限より下を推移しているほか、遅行スパンも実線より下で推移している。つまり、三役逆転の状況のためトレンドは弱いことから、20日MAを上抜けるには、株高などの材料が欲しいところだ。
なお、国営電力会社エスコムの経営不振に対する抜本的な改善が進まない限りは、国内の電力不足は進まない。重要な電力問題が解消されない限り、南アフリカ経済の安定は難しく、ランドの重しとなる。一方、ほぼ100%輸入エネルギーで賄っている南アフリカにとって、原油価格の落着きはランドの下支え要因となっていることで、原油価格の動向も気にしておきたい。
南アランド円日足
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