日銀会合の結果を注視、円高リスク高いが・・・
〇先週のドル円、FOMC後に140円台まで大きく値を下げ、週間安値140.95をつける
〇今週は12/19日銀会合の結果発表が最大の注目材料。さらなる円買いもあるか
〇植田総裁「年末から来年にかけてチャレンジング」発言から、さらに踏み込んだ内容を期待する声も
〇リスクはドル安方向だが、ポジション的にもだいぶ偏り始めており一時的なドルの戻りにも注意
〇ドル安円高方向、先週安値140.95、近いレベルの140.70巡る攻防に注目
〇ドル高円安方向、強い抵抗は145円近くまでなく一旦ドルが戻り始めれば上昇スピードが速い可能性も
〇今週のドル円予想レンジは、140.00-144.50
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが続落。ザラ場ベースでは7月31日以来の140円台を一時示現するなか、週足は5週続けての陰線引けを記録している。
前週末は、自民党安倍派を中心とした「裏金」問題の波紋がさらに広がっていた。
それを受け、産経新聞は「岸田首相、政務三役から『安倍派』の全員交代検討」などと報じていた。一方、中国が日本やフィリピンと相領土問題をめぐり小競り合いを起こしていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は144.90円レベルで寄り付いたのち、当初はドル買い先行。週間高値146.59円まで値を上げている。以降もしばらくは底堅く推移したが、注目の米FOMCを受けて様相が一変。ドルは一気に140円台まで大きく値を下げる展開に。週間安値140.95円を付けたのちはさすがに落ち着きを取り戻しつつあったが、それでもドルの戻りは鈍い。週末NYは142.20円レベルで取引を終え、越週している。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「日本の政治情勢」と「米欧金融政策」について。
前者は、自民党最大派閥の安倍派において、政治資金パーティー収入の一部を還流させるなどして裏金化していた疑惑が伝えられただけでなく、政権を揺るがす大問題に。野党第一党である立憲民主党が提出した不信任決議案は何とか否決したものの、当然疑惑の払しょくには至らず、最終的には実質的に岸田首相が「松野官房長官など4閣僚を更迭させる」という事態にまで追い込まれた。なお、14日に発表された新官房長官には林前外相、経産相には斎藤前法相が充てられるなど新鮮さは見られない顔ぶれが揃っている。そのため、立憲民主党の泉代表からは、早くも「たらい回し人事」などと揶揄されていたようだ。
対して後者は、現地時間13日に注目の米FOMCの結果が発表され、政策金利は予想通りの「据え置き」。しかし、その後の会見でパウエルFRB議長が「適切なら追加利上げの用意がある」などと述べつつ、同時に利下げについての言及を行ったことでハト派の勢いを増長させる結果に。前述したように、ドル/円がそののち140円台まで大きく値を下げるトリガーとなったことも間違いないようだ。また、翌14日には英国とECBがそれぞれ政策金利を発表。ともに予想通りの「据え置き」だったが、ベイリー中銀総裁が「インフレ退治でまだやるべきことある」と述べるなど、やや強気な印象を残した英国に対し、ECBは「インフレは来年を通じて徐々に低下」といった文言が散見されるなど、予想よりも幾分弱めだった。
<< 今週の見通し >>
ドル/円の週足は先週も陰線引け。これで陰線の連続は5週となる。ちなみに、「5週連続の週足陰線」は今年初となるだけでなく、昨年は一度も観測されていない。つまり、それだけ足もとのドル/円の基調の弱さが如実に示されているとも言えそうだ。いずれにしても、ドルの基本的なリスクがドル安方向に高いことは間違いなく、7月安値137.25円を起点とした上げ幅のフィボナッチで考えた場合、76.4%戻しは140.70円レベル。しっかり下回ってしまうと、中期的には140円割れそして全戻しも否定できなくなる。
引き続き日米欧の金融政策会合に市場の関心が集まるなか、前述したように米英欧による政策金利発表は先週までに終了した。残るは日銀のみで、19日に予定されている日銀会合の結果発表が今週最大の注目材料といって良さそうだ。なお、具体的な政策金利は「据え置き」が予想されているものの、問題は米国などと同様に先行き見通しについて。先に植田総裁が「年末から来年にかけてチャレンジング」と発言しているが、これを「マイナス金利解除が示唆されたもの」などととらえる向きが少なくないだけに、さらに踏み込んだ内容などを期待する声も聞かれていた。発言次第で、さらなる円買いもあるか。
テクニカルに見た場合、ドル/円週足は11月高値151.92円を起点に、先週140.95円までおよそ1ヵ月で11円もの下落をたどっている。下方向のテクニカルポイントを次々割り込んでおり、リスクはドル安方向で間違いないものの、短期的にはさすがに行き過ぎか。ポジション的にもだいぶ偏り始めている。ドル安方向にリスクを掛けつつも、一時的なドルの戻りにも注意を払いたい。
フィボナッチを持ち出すまでもなく、3割程度戻しても144円、半値戻すとすれば146円半ばぐらいまでドルが反発しても不思議はないだろう。
そうしたなか今週は、11月のコアPCE価格指数などの米経済指標が発表される予定となっている。しかし、先でも取り上げたように週間を通してもっとも注視されているものは、日銀会合の結果発表と植田総裁の記者会見。その前後の時間帯は波乱含みであるのかもしれない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、140.00-144.50円。ドル高・円安について、142円後半から143円が一応抵抗。しかし、強い抵抗はというと145円近くまで存在しない。これを逆に言えば、一旦ドルが戻り始めれば意外に上昇スピードが速い可能性もある。
対してドル安・円高方向は、先週安値の140.95円、そして近いレベルである140.70円をめぐる攻防にまずは注目だ。割り込むと一本調子か否かは別にして、140円割れも否定できなくなる。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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