トルコリラ円見通し ドル円とともに下げ渋る、今週は日銀・トルコ中銀金融政策委員会あり(23/12/18)

トルコリラ円の12月15日は概ね4.91円から4.87円の取引レンジ、16日早朝の終値は4.90円で前日終値の4.89円からは0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円とともに下げ渋る、今週は日銀・トルコ中銀金融政策委員会あり(23/12/18)

ドル円とともに下げ渋る、今週は日銀・トルコ中銀金融政策委員会あり

〇先週のトルコ円、FOMCの来年利下げ観測等を受けた円高に圧され、12/14に4.86を付け最安値更新
〇その後は4.89を中心の持ち合いで下げ渋ったまま越週
〇12/18/-19の日銀金融政策決定会合を受け、ドル円の騰落に振り回されかねないと注意
〇対ドル、15週連続で最安値更新するも12/11以降は下げ渋る
〇エルドアン大統領三選後の金融政策正常化継続が徐々に効果を発揮している側面も
〇12/21トルコ政策金利を発表予定、市場は0.25%の追加利上げを想定
〇4.86を上回るうちは上昇余地ありとし、4.92超えからは4.95前後への上昇を予想
〇4.86割れからは4.84、4.82を順次試す下落を想定

【概況】

トルコリラ円の12月15日は概ね4.91円から4.87円の取引レンジ、16日早朝の終値は4.90円で前日終値の4.89円からは0.01円の円安リラ高だった。週間では12月8日終値5.00円から0.10円の円高リラ安で11月中旬から5週連続の円高リラ安となり、3週連続で史上最安値を更新した。
トルコリラ円は12月8日未明にかけての円高局面で4.90円を付けて史上最安値を更新し、いったん5.06円まで戻したものの、12月12日の米CPIが予想通りに鈍化したこと、14日早朝の米FOMCが来年3回の利下げを想定したこと、14日夜の英中銀とECBによる引き締め姿勢継続が強調されたことによる円高に圧迫されて14日昼過ぎには4.86円を付けて最安値を更新し、その後は4.89円を中心の持ち合いで下げ渋ったまま週を終えた。

【円高継続か、日銀金融政策内容と総裁会見に注目】

ドル/トルコリラにおけるドル高リラ安基調は継続しており、12月11日に対ドルでトルコリラは史上最安値を更新したが、ここ2週はそれまでのドル高リラ安ペースがやや減速している。しかし円高によるトルコリラ円への圧迫が続いている。
ドル円は12月7日に植田日銀総裁が金融緩和の出口へ向けて「年末からチャレンジング」と答弁したことをきっかけに147円台前半から8日未明安値141.67円まで急落し、日銀関係者の話として日銀は出口へ急いでいないと報じられたことでいったん戻していたが、12月14日早朝の米FOMCが来年3回の利下げを想定したことで145円近辺から14日午後安値140.99円へ急落し、その後にドル高がぶり返したものの142円を挟んだ下げ渋り型の持ち合いにとどまっている。
今週は12月18-19日に日銀金融政策決定会合があり、出口戦略へ向けてタカ派姿勢が示されれば円高が一段と加速し、逆に出口へ急がないハト派姿勢なら円安へと大きく変動する可能性があり、トルコリラ円もドル円の騰落に振り回されかねないと注意したい。

【対ドルでは15週連続で最安値更新するも11日以降は下げ渋る】

ドル/トルコリラの12月15日は概ね29.06リラから28.82リラの取引レンジ、16日早朝の終値は28.95リラで前日終値の28.97リラからは0.02リラのドル安リラ高だった。
8月24日にトルコ中銀が7.5%の超大幅利上げを決定したところで27.27リラから25.02リラへ一時的に急伸した後はドル高リラ安のぶり返しとなり、9月22日以降は連日のように史上最安値更新を続けてきた。
週末終値ベースでは8月最終週から14週連続でドル高リラ安となり、12月第2週はドル高リラ安が途切れたが、第3週となった先週は12月1日終値を超えて週末終値ベースの最安値を更新した。取引時間中の最安値は12月11日に最安値を付けたことで9月後半から13週連続での更新となった。
12月11日に29.10リラで取引時間中の最安値を更新した後は新たな安値更新には至らず下げ渋りの持ち合いとなっており、12月に入ってからはそれまでのドル高リラ安のペースがやや緩んでいる印象もある。
外貨準備高の増加、経常収支等の改善、大手格付け機関によるトルコ見通しの向上、エルドアン大統領三選後の金融政策正常化が続いていることが徐々に効果を発揮している側面もあるようだ。

【トルコ中銀の月次ビジネス・サーベイは年末に1ドル29.62リラの予想】

12月15日に公表されたトルコ中銀の12月ビジネス・サーベイ(エコノミストや企業トップらに対する市場予想調査)では、2023年末のCPI前年比予想が11月の67.23%から65.39%へ低下、12か月先CPI前年比は11月の43.94%から41.23%へ低下した。2023年のGDP見通しは11月の4.1%から4.2%へ改善、経常収支の赤字想定は11月の457億ドルから458億ドルへわずかに拡大した。
2023年末のトルコリラ見通しは1ドル29.6229リラとされて11月時点の29.9961リラから低下した。エルドアン大統領三選後には最悪のシナリオで1ドル30リラへ向かうとの見通しが強まり、現に1ドル29リラ台まで下落してきたが、12月に入ってから若干リラ安の加速度が落ちているため、1ドル30リラには届かずに越年する可能性が高まったとサーベイ対象者は見ているようだ。
中銀の政策金利についての予想は3か月先で43.76%とされて11月時点の40.00%から上方修正、12か月先では36.65%とされて11月時点の37.01%から下方修正されており、40%台前半で政策金利はピークとなり2024年は利下げもあるとの見方となっている。

トルコ中銀は12月21日にMPC(金融政策委員会)を開催して政策金利を発表する。中銀はエルカン総裁体制となった6月以降6会合連続で政策金利を引き上げ、就任前の8.5%から11月会合では40.0%まで引き上げてきた。今回の会合では0.25%の追加利上げで42.5%となるだろうと市場の予想はほぼ一致しているようだ。
中銀は11月の利上げに際して利上げサイクルの終了が近いとの認識を示したが、年明けに発表される12月のCPIが鈍化の兆しを見せれば実質マイナス金利状態が改善へ向かうとの楽観的見通しが強まる可能性があるものの、インフレが高止まりないしさらに高進するようだと中銀への追加利上げ催促としてリラ売りが再び勢い付く可能性もあると思われる。中銀による利上げの限界が試される局面だ。

【海外からのトルコ証券投資が大幅買い越しに】

12月14日のトルコ中銀統計において、外国人投資家によるトルコへの証券投資は12月8日までの週間で14億5000万ドルの買い越しとなり、買い越し規模は2017年7月以来最大となった。トルコ国債の買い越しが8億9140万ドルで2017年8月以来最高となり、トルコ株式の買い越しは5億6240万ドルで2020年11月以来で最大となった。
ドル高リラ安は最安値更新を続けているものの、中銀による大幅利上げにより実質マイナス金利幅が縮小しており、2024年にリラ安と利上げ及び高インフレが落ち着くなら高利回りの国債とリラ安を反映して大上昇しているトルコ株式も今が買い時という見方がされても不思議ないところだ。エルドアン大統領三選後のエルカン中銀総裁とシムシェキ財務相による金融・経済政策の正常化が続いていることへの評価も高まっていることを裏付けている。
トルコのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアムも凡そ3年振りの低水準へ低下している。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、12月12日夜に弱気転換目安とした5.00円を割り込んだために13日午前時点では12日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして13日午前から15日未明にかけての間への下落を想定したが、12月14日昼過ぎへ一段安してから戻したため、15日午前時点では14日昼過ぎ安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして15日午前から19日未明にかけての間への上昇を想定した。
12月16日早朝にかけては4.89円を中心とした持ち合いで下げ渋っているのでまだ上昇余地ありとするが、14日昼過ぎ安値4.86円割れからは新たな弱気サイクル入りとして19日昼から21日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月14日午後から持ち合いに入ったことで遅行スパンは実線と交錯して方向感にかけ、先行スパンの下限近辺が上値を抑えている。4.92円を超えるところからは上昇継続とみて遅行スパン好転中は高値試し優先とし。4.86円割れからは持ち合い下放れに入るので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は14日昼過ぎの10ポイント台から50ポイント台後半へ戻しているため、40ポイント以上を維持するうちは60ポイント台中盤への上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開として20ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.86円を下値支持線、4.92円を上値抵抗線とする。
(2)4.86円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.92円超えからは4.95円前後への上昇を想定する。4.95円手前では売られやすいとみるが、4.90円以上を維持しての推移なら19日も高値試しへ向かう可能性ありとみる。
(3)4.86円割れからは4.84円、4.82円を順次試す下落を想定する。4.82円以下は反騰注意とするが、円高が勢い付く場合は4.80円を試す下落を想定する。

【当面の主な予定】

12月20日
 16:00 12月 消費者信頼感指数 (11月 75.5)
 13:30 11月 中央政府債務残 (10月 6兆2770億リラ)
12月21日
 20:00 トルコ中銀MPC(金融政策委員会) 政策金利 (現行 40.0% 予想 42.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 12月15日時点 グロス (12月8日時点 945.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 12月15日時点 ネット (12月8日時点 381.5億ドル)
12月22日
 17:00 11月 海外観光客数 前年同月比 (10月 3.8%)
12月26日
 16:00 12月 製造業景況感 (11月 100.2)
 16:00 12月 設備稼働率 (11月 78.0%)

注:ポイント要約は編集部

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