日銀会合とトルコ中銀の二大イベント通過後の一段安を警戒
【先週のトルコリラ】
トルコリラの下値模索は継続。国内経済指標の悪化やドル・円の急落などが影響して、史上最安値を更新した。
11日に発表された10月の失業率は8.5%と前回(9.1%)比では改善したものの、10月の経常収支は1.9億ドルの黒字と市場予想(5.1億ドル)を大幅に下振れたほか、10月の鉱工業生産も前年比1.1%上昇と前回(同4.0%上昇)では大幅に悪化した。
失業率の改善よりも経常収支および鉱工業生産の目標下振れがネガティブ視されて、トルコリラはじりじりと下値を試す展開となった。加えて、米連邦準備制度理事会(FRB)が2024年に3回程度の利下げを見込むと発表したことからドルが急落。ドル安円高の流れにつられ、トルコリラは12月7日につけた史上最安値を割り込む展開となった。
トルコ・円(東京時間:12月11日―12月15日)※Investing.comの日足を参照
始値:5.0068円
高値:5.0738円
安値:4.8531円
終値:4.8995円
【今週の重要指標】※時間は東京時間
12月18日
20時30分、10月の住宅価格指数(前月比)、前回:4.30%
20時30分、10月の住宅価格指数(前年比)、前回:89.20%
12月20日
16時00分、12月の消費者信頼感指数、前回:75.5
12月21日
20時00分、トルコ中銀政策金利:前回:40.0%、市場予想:42.5%
12月22日
17時00分、11月の外国人観光客(前年比)、前回:3.8%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、19日の日銀金融政策決定会合と、21日のトルコ中銀政策金利の発表がポイントとなる。
まずは日銀会合である。7日、植田総裁は国会答弁において「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言。植田日銀総裁は、単なる一般的な見解に過ぎず、「チャレンジング」に深い意味はないとの考えと思われるが、前日の氷見野副総裁の発言で、市場が12月会合に対する期待感を高めた矢先だったことから、円が主要通貨に対して全面高の展開となった。
「チャレンジング」が意図的な「地ならし」という植田日銀総裁の市場との対話と捉える市場関係者も多い。そのため、15時30分から開始される植田日銀総裁の記者会見で「地ならし」的な発言が出る可能性は十分にある。
足元のドル・円は、日銀が何かしらの政策修正を発表するのではないか?との疑念は織り込まれているが、具体的な政策修正案は語られておらず、織り込みは不十分と考える。そのため、植田日銀総裁による記者会見で「地ならし発言」がでた際、為替市場では、円が主要通貨に対して強含む地合いになる展開を想定する。ちなみに、「チャレンジング」のように植田日銀総裁が意図しない「地ならし発言」が出た場合も、為替の反応は同じである。
このような状況となった場合、ドル安・円高の地合いとなり、トルコリラは、先週と同じような連れ安となる展開が想定されよう。
一方、21日のトルコ中銀政策金利に関してだが、エルカン・トルコ中銀総裁は引き続き政策金利の引き上げを発表するとの見込みだが、11月CPIは前年比61.98%上昇とインフレコントロールはまだまだ途上だ。トルコ中銀は紆余曲折を経て、2023年6月から政策金利引き上げを開始したはかりである。欧米とは比較にならない高いインフレをコントロールするために、トルコ中銀は8.5%→15.0%→17.5%→25.0%→30.0%→35.0%→40.0%とハイペースの利上げを行った。
ただ、インフレが引き続き60%台と非常に高い状態であるため、実質金利はマイナス20%超となるため、トルコリラ売りの地合いは変わらない。日銀会合の結果およびトルコ中銀政策金利の結果次第では、トルコリラは4.5円台水準までの一段安という地合いも想定しておきたい。
テクニカルの一目均衡表や移動平均線で見ても下げトレンドは継続だ。7日に残した長い下影(下ヒゲ)をあっさり吸収し史上最安値を更新していることから、下へのバイアスは強いままと考える。
トルコリラ円日足
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