トルコリラ円見通し ドル円を見ながら18日深夜へ上昇後は失速、日銀会合待ち
〇トルコ円、12/18は午前序盤に4.92を付けた後いったん下げたが、夕刻安値4.89から買い戻される
〇12/18深夜ドル円が上昇したところで4.93まで高値を伸ばす、12/19午前序盤は日銀会合待ちで失速
〇本日の日銀金融政策決定会合の結果次第で、トルコリラ円も上下に大きく動く可能性
〇対ドル、12/18は概ね29.06から28.75の取引レンジ、日足終値で初めて1ドル29リラ台をつける
〇4.88を上回るうちは上昇余地ありとし、4.93超えからは4.95前後への上昇を想定する
〇4.88割れからは下向きとし、4.86割れからは4.83、4.80を順次試してゆく下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の12月18日は概ね4.93円から4.89円の取引レンジ、19日早朝の終値は4.91円で先週末終値の4.90円からは0.01円の円安リラ高だった。
対ドルでトルコリラの下落速度がやや緩んでいる中、トルコリラ円はドル円の騰落を追いかけながら12月14日昼過ぎ安値4.86円へ急落した後はドル円の戻りに合わせて戻り高値を徐々に切り上げてきた。12月18日は午前序盤に4.92円を付けたところからいったん下げたが夕刻安値4.89円から買い戻され、ドル円が18日深夜に143円を一時超えたところで4.93円まで高値を伸ばした。
12月19日午前序盤は昼頃の日銀金融政策決定会合を控えてドル円が下落していることで4.90円まで失速している。
【日銀金融政策決定会合次第で上下に大きく動く可能性】
ドル円は12月7日に植田日銀総裁が国会答弁で金融緩和政策の出口戦略について「年末から来年にかけてはチャレンジングになる」と述べ、その後に岸田首相と会談して出口戦略の説明を行ったと報じられたことで12月7日午前の147円台前半だったところから12月8日未明安値141.67円へ急落した。やや過剰反応だったとして12月12日未明に146.58円まで戻したものの、FOMCが来年3回の利下げ想定としたことで14日昼過ぎ安値140.99円へ一段安しており、日銀がタカ派へ傾斜する懸念とFRBのハト派傾斜により円高へのバイアスがかかりやすい状況にある。
日銀は12月4日にこれまでの金融緩和政策を検証する多角的レビューを開催、内容は非公表だったが具体的な出口戦略について前向きが議論がされたことはないと報じられている。日銀は来年5月に二度目の多角的レビューを開催して総括するとしており、来年春の春闘情勢を見定めて賃金上昇が顕著でインフレが継続しているなら、マイナス金利解除へ舵を切り、YCC(イールドカーブコントロール=長短金利操作)を止めることも考えられる。しかし政局が混乱していること、食料品の値上げは続いているものの欧米及び中国のインフレ率が鈍化していること、米国が2024年には金融緩和へ向かうことを踏まえると、必ずしも出口戦略を急ぐところではないという見方もある。
いずれにせよ、植田日銀総裁が出口へ向けて前傾したタカ派姿勢を示すのか、あいまいな姿勢に留まるのかによりドル円は大きく動き、トルコリラ円も追従することになると思われる。特に円高へ向かう場合にはトルコリラ円が史上最安値更新へと進む可能性が高まるのではないかと警戒したい。
【対ドルでは日足の終値で初めて1ドル29リラ台を付ける】
ドル/トルコリラの12月18日は概ね29.06リラから28.75リラの取引レンジ、19日早朝の終値は29.04リラで先週末終値の28.95リラからは0.09リラのドル高リラ安だった。
先週の12月11日に29.10リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新した後は新たな最安値更新を回避しているが、終値ベースでは12月14日終値28.97リラで史上最安値を更新し、12月18日は29.04リラを付けて日足終値としては初めて1ドル29リラ台に到達した。
12月19日午前序盤は29.06リラから28.97リラのレンジで推移しつつ史上最安値更新を伺う位置に付けている。
12月に入ってからはドル高リラ安の加速度が鈍っているものの基調そのものは変わらない。エルドアン大統領三選後の金融経済政策が正常化し、高インフレに対して政策金利を大幅に引き上げ、財政収支や経常収支の改善及び外貨準備高の増加等を着実に実施していることで大手格付け会社や外資によるトルコ経済への信頼感が回復しつつあるところだが、インフレ高進がまだ収まっていない中では追加利上げ催促としてのドル買いリラ売りは続きやすい状況だ。
今週は12月21日にトルコ中銀MPC(金融政策委員会)があり、市場の事前予想は2.5%追加利上げで政策金利は42.5%へ切り上げられると見込まれている。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、12月12日未明高値をサイクルトップとして13日午前から15日未明にかけての間への下落を想定していたが、12月14日昼過ぎへ一段安してから戻したため、15日午前時点では14日昼過ぎ安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして15日午前から19日未明にかけての間への上昇を想定した。
12月18日深夜にかけて高値を切り上げたものの、日銀会合を控えてドル円とともに失速気味となっているため、12月18日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと仮定して19日の日中から21日午後にかけての間への下落を想定する。12月18日深夜高値超えからは新たな強気サイクル入りとして21日夜から25日にかけての間への上昇を想定するが、一時的な急伸後に急落して12月14日安値を割り込む場合は直前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りと考える。
60分足の一目均衡表では12月19日午前の下落で遅行スパンが悪化し始めているため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。12月18日深夜高値を超えないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、18日深夜高値超えからは上昇再開として遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は18日深夜に60ポイント台へ上昇してから40ポイント近辺まで低下しているので、55ポイントを超えないうちは一段安余地ありとし、急落商状の場合は20ポイント前後への低下を想定する。上昇再開は55ポイント超えからとし、その際は60ポイント台後半への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.86円を下値支持線、4.93円を上値抵抗線とする。
(2)4.88円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.93円超えからは4.95円前後への上昇を想定する。4.95円手前では売られやすいとみるが、勢い付く場合は4.97円試しへ上値目途を引き上げる。
(3)4.88円割れからは下向きとし、4.86円割れからは4.83円、4.80円を順次試してゆく下落を想定する。
【当面の主な予定】
12月20日
16:00 12月 消費者信頼感指数 (11月 75.5)
13:30 11月 中央政府債務残 (10月 6兆2770億リラ)
12月21日
20:00 トルコ中銀MPC(金融政策委員会) 政策金利 (現行 40.0% 予想 42.5%)
20:30 週次 外貨準備高 12月15日時点 グロス (12月8日時点 945.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 12月15日時点 ネット (12月8日時点 381.5億ドル)
12月22日
17:00 11月 海外観光客数 前年同月比 (10月 3.8%)
12月26日
16:00 12月 製造業景況感 (11月 100.2)
16:00 12月 設備稼働率 (11月 78.0%)
注:ポイント要約は編集部
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