トルコリラ円見通し 日銀会合後の円安で一段高、5円台回復へ向かえるか試される(23/12/20)

トルコリラ円の12月19日は概ね4.98円から4.89円の取引レンジ、20日早朝の終値は4.94円で前日終値の4.91円からは0.03円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 日銀会合後の円安で一段高、5円台回復へ向かえるか試される(23/12/20)

日銀会合後の円安で一段高、5円台回復へ向かえるか試される

〇トルコ円、ドル円の騰落追い4.98へ一段高。上昇一服で4.93まで下げるも12/20午前4.95まで戻す
〇7/18安値から5か月目の12/14史上最安値をつけてやや戻し、5か月周期の底打ちに入った可能性も
〇対ドル、12/20早朝終値は29.07リラで2日連続で最安値更新
〇外資による投資拡大でトルコリラのプラス要因 徐々に拡大するも、実質マイナス金利解消には至らず
〇追加利上げ継続でインフレ鈍化が顕著となりリラ高へと基調転換するプロセスに入れるかが重要
〇12/21トルコ中銀金融政策委員会での追加の大幅利上げ催促が対ドルでの最安値更新を招いている
〇4.93を上回るうちは上昇余地あり、4.96超えからは4.98試しとする
〇4.93割れからは下向きとし、4.91割れからは下落期入りとして4.88前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の12月19日は概ね4.98円から4.89円の取引レンジ、20日早朝の終値は4.94円で前日終値の4.91円からは0.03円の円安リラ高だった。
注目された日銀金融政策決定会合は全会一致で金融緩和政策の現状維持が決定され、マイナス金利解除やYCC(長短金利操作)の撤廃等の出口戦略へ向けたプロセスは示されず、会合後の会見で植田総裁は12月7日の国会答弁で出口戦略へ向けて「年末から来年は一段とチャレンジングになる」と発言したことについては仕事の姿勢だったと説明し、早期に出口へ向かう姿勢は見られなかった。
日銀会合の結果を見てドル円は142円台序盤から急伸し、総裁会見中の発言を巡って一時乱高下したものの19日夜には144.95円まで急伸した。145円手前からいったん下げたものの20日未明安値143.52円から持ち直して20日午前には144円台を試している。

トルコリラ円はドル円の騰落を追いかけ、日銀会合結果発表前に4.89円まで下げていたところから昼過ぎに4.95円へ急伸し、総裁会見中に一時4.90円割れまで反落したものの夜高値4.98円へ一段高した。ドル円の上昇一服で20日未明に4.93円まで下げたものの20日午前には4.95円まで戻している。

【5か月から半年周期の底打ちへ進めるか試される】

トルコリラ円は12月14日昼過ぎに4.86円を付けて史上最安値を更新したが、その後はジグザグの歩調で戻り高値を切り上げてきている。
2021年12月のリラ暴落とリラ建て保護預金制度導入による一時的急騰の後は、主要な安値を2022年3月11日安値、5か月後の同年8月2日安値、5か月後の2023年1月16日安値、6か月後の7月18日安値で付けており、5か月から6か月の周期性がみられる。
7月18日安値から5か月目となる12月14日に史上最安値を付けてやや戻しているところであり、5か月から6か月周期の底打ちに入った可能性も考えるべき時期と思われるが、そのためにはドル/トルコリラにおけるリラ安が落ち着くこと、ドル円が12月14日安値140.99円を当面の底として上昇を継続し、戻り高値切り下がり基調から抜け出す必要があると思われる。

12月14日にかけてのドル円の下落は円の独歩高の様相だったが、日銀が金融緩和終了の出口へ急がない姿勢が確認されたことで当面は円の独歩高への懸念は後退している。しかし米FOMC後の米長期債利回り大幅低下とドル安が継続しているため、円が独歩安という状況とならないうちはドル円の上昇にも限界があると思われる。
ドルストレートでのドル安はトルコリラにとっては影響が限られるため、トルコリラとしてはトルコ中銀が追加利上げを継続してインフレ鈍化が顕著となり、外資のトルコへの投資拡大でリラ高へと基調転換するプロセスに入れるのかどうかが重要となる。
まだ不確実性の高い状況ではあるが、トルコリラ円としては5円台を回復・維持して5.10円に迫ってゆく上昇を示せば底打ち感が強まるが、5円手前で頭打ちとなる場合は年明けへ一段安する懸念を引きずるということになるのではないかと思われる。いずれにせよ、いったんは中勢レベルの戻りを入れてもよい時期に差し掛かっているという認識は持っておきたい。

【対ドルでは史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの12月19日は概ね29.10リラから28.84リラの取引レンジ、20日早朝の終値は29.07リラで前日終値の29.04リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
12月に入ってからドル高リラ安のペースはやや鈍っているものの、19日は一時29.104リラを付けて12月11日高値29.100リラをわずかに超えて取引時間中の史上最安値を更新、終値ベースでは12月18日終値29.04リラで12月14日終値28.97リラを超えて最安値としたが、19日終値も2日連続で最安値更新となった。
12月20日午前は29.10リラから28.77リラのレンジで推移しており最安値更新を試す動きが続いている。

エルドアン大統領三選後の金融経済政策の正常化と利上げ、外貨準備高の増加等により大手格付け会社の見通しが改善して外資によるトルコへの投資が拡大していることなど、トルコリラにとってのプラス要因が徐々に拡大しているのだが、60%を超えるインフレ率に対して政策金利はまだ40%にとどまっており、実質マイナス金利の解消には至らずにいるため、12月21日のトルコ中銀金融政策委員会における追加の大幅利上げ催促が対ドルでのリラ最安値更新を招いている。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、12月14日昼過ぎ安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして15日午前から19日未明にかけての間への上昇を想定していたが、19日午前に日銀会合を控えて失速気味となったため、12月19日午前時点では12月18日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと仮定し、18日深夜高値超えからは新たな強気サイクル入りとした。
日銀会合後の円安により18日深夜高値を上抜いたため、19日午前安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして21日夜から26日午前にかけての間への上昇を想定する。ただし、20日未明安値4.93円割れからは下向きとし、4.91円割れからは弱気サイクル入りと仮定して22日午前から26日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月19日昼の急伸で先行スパンからの転落を回避し、遅行スパンも悪化しかけたところから好転している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は19日夜に70ポイント台へ上昇してから20日未明に一時50ポイントを割り込んだが、その後は持ち直しているため、60ポイント超えからは70ポイント台を目指す上昇を想定する。ただし、45ポイント割れからは上昇一巡による下落期入りを疑い30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.93円を下値支持線、4.98円を上値抵抗線とする。
(2)4.93円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.96円超えからは4.98円試しとする。4.98円では売りも出やすいとみるが、4.98円超えからは5円台回復を目指してゆくとみる。
(3)4.93円割れからは下向きとし、4.91円割れからは下落期入りとして4.88円前後への下落を想定する。4.90円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、4.93円以下での推移なら21日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

12月20日
 16:00 12月 消費者信頼感指数 (11月 75.5)
 13:30 11月 中央政府債務残 (10月 6兆2770億リラ)
12月21日
 20:00 トルコ中銀MPC(金融政策委員会) 政策金利 (現行 40.0% 予想 42.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 12月15日時点 グロス (12月8日時点 945.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 12月15日時点 ネット (12月8日時点 381.5億ドル)
12月22日
 17:00 11月 海外観光客数 前年同月比 (10月 3.8%)
12月26日
 16:00 12月 製造業景況感 (11月 100.2)
 16:00 12月 設備稼働率 (11月 78.0%)


注:ポイント要約は編集部

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