『史上最安値を更新するなど冴えない動き。来週はトルコ中銀会合に注目』
〇今週のトルコ円、週後半にかけ史上最安値4.85まで急落
〇トルコ指標の不冴え、安値更新による仕掛け売り、ドル円の大幅下落等が重石
〇トルコリラは対ドルでも史上最安値を更新中
〇トルコ円主要テクニカルポイントの下側で推移、強い売りシグナルも成立、地合い極めて弱い
〇ファンダメンタルズもトルコリラ円相場の下落を連想させる材料揃う
〇来週は12/21に予定されているトルコ中銀会合に注目が集まる
〇引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.75ー5.05
今週のレビュー(12/11−12/15)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.00円で寄り付いた後、早々に週間高値5.07円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)トルコ10月経常収支(結果1.9億ドル黒字、予想5.1億ドル黒字)の市場予想を下回る結果や、(2)トルコ10月鉱工業生産(結果+1.1%、前回+4.0%)の前月比悪化、(3)実質金利のマイナス状態継続に着目した構造的なリラ売り圧力、(4)直近安値(12/7に記録した安値4.89円)下方ブレイクとそれに伴う仕掛け的なリラ売り圧力、(5)ドル円相場の大幅下落(日銀による金融緩和の修正観測+ハト派な米FOMCの組み合わせ→ドル円急落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週後半にかけて、史上最安値4.85円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/16午前2時20分現在)では、4.89円前後で推移しております。尚、今週発表されたトルコ10月失業率(結果8.5%、前回9.1%)は前月比で大幅な改善を示しましたが、リラ買いでの反応は限られました。
来週の見通し(12/18−12/22)
トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、史上最安値(4.85円)を更新するなど、冴えない動きが続いています(※対ドル相場も史上最安値更新)。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「弱気のバンドウォーク」「ダウ理論の下落トレンド」が継続点灯していること、日足のみならず下位足(4時間足)や上位足(週足)でも強い売りシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の先行き不透明感や、(2)トルコ国内における高インフレ状態の長期化懸念(エルカン総裁によるアグレッシブな連続利上げを受けても尚、インフレ抑制に繋がらず)、(3)上記2を背景とした実質金利のマイナス継続(政策金利40.0%に対してCPIが61.98%→実質金利はマイナス21.98%→構造的なリラ売り圧力)、(4)イスラエル問題に端を発したトルコ・西側諸国の関係悪化懸念、(5)日銀による金融緩和の修正観測(日銀が来週12/19に開催される金融政策決定会合でマイナス金利解除を含む金融緩和の修正に踏み切るのではないかとの思惑→ドル円下落→トルコリラ円連れ安)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
こうした中、来週は上記3の観点で、12/21に予定されているトルコ中銀会合に注目が集まります。市場では250bpの利上げ(政策金利が40.0%から42.5%へ引き上げられるシナリオ)が見込まれていますが、上述の通り、例え政策金利を250bp引き上げたとしても、トルコリラの実質金利のマイナス状態が解消されるわけではないため、リラ買いでの反応は期待しづらく、一巡後は更なる利上げ催促で、リラを売り込む動きに拍車がかかるものと推察されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.75ー5.05
注:ポイント要約は編集部
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