ドル円 目先の安値は見て戻り売りを探る流れ(週報12月第2週)

中長期的な材料を考えるとドル円は戻り売りを考えることが妥当な流れになってきました。

ドル円 目先の安値は見て戻り売りを探る流れ(週報12月第2週)

目先の安値は見て戻り売りを探る流れ

〇先週のドル円、週前半147円前後で方向感に欠ける展開、木曜6円近く急落、141.60レベルの安値つける
〇高値から10円超えの調整となるが、最後2円は短時間、143円台前半がサポートに
〇水曜のFOMC、注目は2024年末の金利見通し。FF先物市場では現状4.0〜4.25%の取引水準
〇来週の日銀会合、出口戦略への言及等緩和から引き締めへの転換の有無、およびその時期への思惑広がる
〇日米金利差縮小観測が中長期的なドル売り・円高の流れを形成する可能性が高いか
〇ドル円は戻り売りを考えることが妥当な流れ、12/4安値圏146円台前半が戻り売りのレベルか
〇今週は143.25レベルをサポートに、146.25レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通し

先週のドル円は水曜までは147円前後で方向感のはっきりしない展開が続きましたが、前週までのドル売りの影響が残り、買われたところでは戻り売りを考える向きが多い流れとなっていました。そして木曜東京後場に週間安値を更新したあたりから様子がおかしくなり、雇用統計を前に動かないだろうと油断していたところにドル円は急落を見ることとなりました。

油断もあったでしょうが、実際にオーダーも入っていないところにストップが重なり、流動性の低下による急落劇となりましたが、143円台半ばから141.60レベルの安値までの約2円は数分の出来事で、143円以下での取引はかなり少なかったと考えられます。また今年に入ってからの大きめの調整は先週書いたように、3月の円買い、7月の円買いとも直前の高値から約8円の調整が入ったことを考えると、144円以下は短期的に突っ込み売りが過ぎたと見ても良いでしょう。

ここまでのドル安の流れを振り返ると、きっかけは先々週のウォラー理事の発言です。現状は金曜の雇用統計が予想よりも強かったことから3月の利下げ織り込み度は44%と再び5月利下げがコンセンサスとなってきましたが、今週発表される米国CPIが低下すれば、来年3月の利下げ思惑が改めて強まりそうです。

そして水曜にはFOMCがありますが、既にターミナルレートに到達し現状維持は間違いないところでしょう。注目されるのは2024年末に金利見通しで、前回9月時点では5.0〜5.25%(現行水準から1回の利下げ)とかなりタカ派な見通しとなっていましたが、FF先物の取引水準では4.0〜4.25%(現行水準から5回の利下げ)とかなりの乖離があります。

ウォラー理事同様にタカ派からハト派に傾いているFRB関係者もいるであろうことを考えると、今回の金利見通しは9月時点よりも0.5%程度下がり、その前の6月時点の見通しに戻る可能性が高いのではないかと考えます。そうなると、ハト派が増えてきているという解釈で金利低下、ドル安という動きが出てきそうです。ただ株式市場は緩和転換を確実視して買いが入るというところでしょうか。

また今週はECB理事会があり、こちらも現状維持で既にターミナルレートに到達という見方がコンセンサスであることを考えると、来週の日銀会合において出口戦略への言及も含めて日本が緩和から引き締めへと転換するかどうか、それがいつなのかの思惑が広がり、金利差縮小思惑が中長期的なドル売り・円高の流れを形成する可能性が高そうです。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

3月、7月の調整から今回の調整も8円と踏んでいたところ、まさかの高値からの10円超えの調整を見ることとなりました。ただ143円以下は滞空時間も短くほとんど取引が無かったことから、当面は143円台前半がサポートになってくると考えられ、11月高値からの平行下降チャンネル内での動きを続ける可能性は高いでしょう。

いっぽうで中長期的な材料を考えるとドル円は戻り売りを考えることが妥当な流れになってきました。もちろん日米金利差はありますので限度はありますが、以前のように下がったら買いという流れから、しばらくは上がったら売りを考える参加者が増えそうです。その戻り売りの水準としては12月4日の安値圏146円台前半となります。

今週は143.25レベルをサポートに146.25レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

目先の安値は見て戻り売りを探る流れ

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

12月11日(月)
(特になし)

12月12日(火)
07:20 豪中銀総裁講演 ☆
08:30 豪州12月消費者信頼感
09:30 豪州11月企業景況感
16:00 英国11月失業率
19:00 ドイツ12月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏12月ZEW景況感
22:30 米国11月CPI ☆
26:00 フランス中銀総裁講演 ☆

12月13日(水)
08:50 日銀短観 ☆
16:00 英国10月鉱工業生産、貿易収支
19:00 ユーロ圏10月鉱工業生産
22:30 米国11月PPI ☆
24:30 週間原油在庫統計
28:00 FOMC結果発表 ☆
28:30 パウエルFRB議長会見 ☆
30:45 NZ7〜9月期GDP

12月14日(木)
09:01 英国11月住宅価格
09:30 豪州11月失業率
17:30 スイス中銀政策金利発表
21:00 英中銀政策金利発表、MPC議事要旨公表 ☆
22:15 ECB理事会 ☆
22:30 米国新規失業保険申請数
22:30 米国11月小売売上高 ☆、輸入物価
22:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
**:** EUサミット(〜15日)

12月15日(金)
09:01 英国12月消費者信頼感
11:00 中国11月鉱工業生産、小売売上高 ☆
16:45 フランス11月CPI
17:15 フランス12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
22:30 米国12月NY連銀製造業景況指数 ☆
23:15 米国11月鉱工業生産 ☆、設備稼働率
23:45 米国12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月4日(月)
 週明けのドル円は前週末の下げを引き継いで早朝に146.23レベルまで下げたものの146円水準ではドル買いオーダーも出ていた様子ですぐに買い戻されてのスタートとなりました。その後NY市場までは多少の上下はあったものの安値圏でのもみあいを続けましたが、米金利が上昇する動きとともにドル円にも買いが入り、147.45レベルまで買われた後に若干押して引けました。

12月5日(火)
 ドル円は147円台前半で方向感がはっきりしない展開を続けていましたが、東京市場では株安が、NY市場では弱いJOLTSに反応し、一時的にドル売りが強まる場面も見られました。それでも146円台半ばでは買いオーダーも入っていてすぐに買い戻される動きとなっていました。

12月6日(水)
 ドル円は動意薄の一日、147.20レベルを、もみあいの中心に方向感がはっきりせず、レンジも61銭とドル円にしては静かな一日となりました。欧州市場前場の短い時間に146.89レベルまで下げ147.50レベルまであげと若干動きが目立った程度でそれを除くと週末の雇用統計待ちという展開が続いていました。

12月7日(木)
 ドル円は雇用統計の前日にまさかの6円近い急落を演じ、一時141.60レベルの安値をつけ、引けは144円台へ戻す大荒れの一日となりました。東京朝方から株安と円高の動きとなっていましたが、後場に週間安値を更新したあたりから下げが加速、NY市場に入ると買いオーダーが無いところにストップを巻き込んだことから急落相場となりました。

12月8日(金)
 ドル円は雇用統計を前に東京時間は株安を背景に142.49レベルまで下押ししたもののその後は買い戻しが入り、下げる前の水準に戻して雇用統計待ちとなりました。雇用統計派の結果は予想よりも強く一時145.21レベルの高値をつけたものの、145円台では売りも根強く143.76レベルまで反落、その後も売り買いが交錯していましたが、NY昼頃には145円近い水準へと買い戻され、高値圏でもみあいのまま引けました。

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