外部環境と国内経済指標睨みだが、短期反発のサインが示現
【先週のトルコリラ】
トルコリラの下値模索は継続、日本銀行の総裁、副総裁のコメントを材料とした円全面高の外部環境も加わり、史上最安値を更新した。
4日に発表された11月の消費者物価指数(前年比)は、同61.98%増と市場予想(同62.0%増)とほぼ同じ結果となったことで、影響は限定的となった。週半ばにかけては、5.11円台まで値を戻す場面も見られたが、植田日銀総裁の「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」との発言を受けて、7日の為替市場では円が主要通貨に対して全面高に。ドルが対円で5円超も売られたことなどが影響して、トルコリラもつれ安の展開となり史上最安値4.8979円をつけた。
週末にかけては、ドルなど主要通貨が対円で買い戻されたことから、トルコリラもつられ5.0円台を回復して取引を終えたが、外部環境に左右される地合いとなった。
トルコ・円(東京時間:12月4日―12月8日)※Investing.comの日足を参照
始値:5.0782円
高値:5.1185円
安値:4.8979円
終値:5.0025円
【今週の重要指標】※時間は東京時間
12月11日
16時00分、10月の経常収支、前回:18.8億ドル、市場予想:5億ドル
16時00分、10月の失業率、前回:9.1%
16時00分、10月の鉱工業生産指数(前月比)、前回:−0.1%
16時00分、10月の鉱工業生産指数(前年比)、前回:4.0%
12月13日
16時00分、10月の小売売上高(労働日数調整済)(前年比)、前回:13.8%
12月15日
16時00分、11月の住宅販売(前年比)、前回:−8.7%
17時00分、11月の中央政府財政収支、前回:−955億ドル
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、外部環境と国内経済指標を睨んだ展開となりそうだが、テクニカル面では反発が入りそうな格好だ。
まずは外部環境だ。今週は12日−13日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。市場では、11月以降の弱い米経済指標および「タカ派」な米当局関係者が「ハト派」に転じていることなどを材料に、2024年5回程度の利下げを織り込んでいる。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、12月1日の講演で、一段の利上げに慎重な姿勢を示しており、「ややタカ派」から「ややハト派」に転じた。米10年債利回りも4.1%台まで下落しており、市場は既に12月のFOMCに対する準備は万端といったところだ。つまり、FOMC後、ドルはいったん買戻しが入る可能性があると考える。対円では、トルコリラはドルの動きにつられよう。
一方、トルコ国内では、11日の10月の経常収支、10月の失業率、10月の鉱工業生産指数、13日の10月の小売売上高と重要な経済指標の発表が相次ぐ。市場予想を下回る場合は、トルコ経済の先行き不透明感が意識されて、トルコリラの下押し圧力となるだろう。つまり、外部環境は「トルコリラ買い」となりやすいが、仮にトルコ国内経済の先行き不透明感が高まった場合、トルコリラの方向感は乏しくなる。
ただ、日足ベースのテクニカル面では底入れのサインが示現している。7日に大きな陰線を残したが下影(下ヒゲ)を残した。8日は7日の史上最安値手前で下影を残しており陽線となった。史上最安値での下影示現を受けて、セリングクライマックスと捉えることはできよう。
ボリンジャーバンド、一目均衡表、移動平均線などトレンド系の指標はどれも「下降トレンド継続」を示唆しているが、「史上最安値での下影示現」を材料に短期的な反発を狙う動きが入ってもおかしくはない。外部環境や経済指標睨みの地合いではあるが、こうした条件がそろえば、20日移動平均線(MA)が位置する5.14円水準までの短期リバウンドは狙えよう。
トルコリラ日足
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