12月8日未明安値からの反騰続き5円台回復
〇先週のトルコ円、8/24高値5.77を起点とした下降トレンドで推移、7/18安値5.08割り込み一段安
〇5円の大台も割り込むが、12/8はドル円の暴落が収まり5.00まで持ち直して週を終える
〇対ドル、8月最終週から14週続いた週末値ベースのドル高リラ安が途絶える
〇最安値近辺に付けている状況に変わりがないが、ドル高リラ安にやや減速感
〇当面はドル円の波乱も含めて一段安余地ありだが、リラ持ち直しへの底形成期にあるか
〇4.96を上回るうちは上昇余地ありとし、5.02超えからは5.04前後への上昇を想定
〇4.96割れからは下げ再開とみて4.93、4.90を順次試して行く下落を想定
【概況】
トルコリラ円の12月8日は概ね5.01円から4.93円の取引レンジ、9日早朝の終値は5.00円で前日終値の4.98円からは0.02円の円安リラ高だった。
12月7日の日銀植田総裁による国会答弁と岸田首相との会談をきっかけにドル円が7日午前の147円台から8日未明には141.67円まで暴落的な下げに見舞われたため、トルコリラ円は12月7日午前序盤の5.09円前後だったところから8日未明安値4.90円まで大幅下落となり史上最安値を更新した。
12月8日はドル円の暴落が収まりやや乱調な展開ながら8日夜の米雇用統計発表後に145.19円まで戻し、その後の144円割れも買われて145円に迫って週を終えたため、トルコリラ円もドル円が高値を付けた際に5.01円へ戻し、その後に4.96円まで下げたところも買われて5.00円まで持ち直して週を終えた。
【対ドルでは12週連続で最安値を更新したが、14週続いた週末ベースのリラ安が途切れる】
ドル/トルコリラの12月8日は概ね29.05リラから28.72リラの取引レンジ、9日早朝の終値は28.86リラで前日終値の28.92リラからは0.06リラのドル安リラ高、週間では12月1日終値28.89リラから0.03リラのドル安リラ高だった。
12月8日に29.05リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新、日足の終値ベースでも12月8日終値28.93リラが最安値となり、9月22日の週から12週連続で史上最安値を更新したが、8月最終週から14週続いた週末値ベースのドル高リラ安が途絶え、12月4日以降は新たな最安値更新を回避している。
ドル高リラ安にやや減速感があるものの12月5日以降は12月4日の高安レンジ(29.05リラから28.65リラ)のレンジ内で推移しており、小数点下三桁では12月4日の取引時間中最安値29.054リラに対して12月8日は29.048リラでわずかに届かなかったものの最安値近辺に付けている状況には変わりがない。
【円高継続か、ドル高リラ安が落ち着くか、見極め必要】
トルコリラ円は8月24日高値5.77円を起点とした下降トレンドで推移しており、7月18日安値5.08円を割り込んで一段安となり5円の大台も割り込んだ。
2021年12月のリラ暴落からリラ保護預金制度導入により反騰した波乱の後は、主要な高値は2021年12月23日から4か月後の2022年4月28日、6か月後の2022年10月21日、5か月弱の2023年3月8日、5か月半の8月24日と続き、主要な安値も2022年3月11日から5か月後の2022年8月2日、5か月後の2023年1月16日、6か月後の7月18日安値と続いており、概ね5か月から6か月程度の間隔で推移している。
7月18日安値から5か月近くを経過したところに来ており、そろそろ当面の安値を付けて反騰入りしたいところにあるが、まだ日柄が浅めであり、6か月後となる年明けにかけて一段安の懸念を抱えている。
反騰入りにはドル高リラ安が落ち着き、ドル円が暴落的な調整を消化して上昇再開に入る必要がある。ドル円が植田総裁発言等に対してやや過剰反応だったことを踏まえれば、ドル円のリバウンドへの期待感はあるが、暴落商状直後は気持ちを切り替えて反騰期待で買い参入することに対して市場心理は慎重となりやすい。ドル円の上昇継続のためには、米国が早ければ来春にも利下げに踏み切るとの期待感が大幅に後退し、今後発表される米CPI等のインフレ指標が鎮静化せずに高止まりの様相を示すこと、日銀が金融緩和政策の出口へ急いでいるわけではないと改めて示すことなどが必要になるのではないかと思われる。
ドル/トルコリラにおいては11月23日の中銀による予想を上回る利上げ、経常収支の改善傾向と外貨準備高の増加、金融政策正常化に対する大手格付け機関による見通しの上方修正や外資による高金利通貨としてのトルコリラへの投資意欲の回復、UAEによる大規模な支援期待等、ポジティブな材料も出始めているが、年末にかけて1ドル30リラを目指す流れという市場のコンセンサスをひっくり返すほどではなく、高インフレが収まらないことに対して中銀がどこまで利上げできるのか試されている状況でもある。
こうしたことを踏まえれば、トルコリラ円の当面はまだドル円の波乱も含めて一段安余地のあるところと考えるが、来年へ向けてリラが持ち直しに入るための底形成期にあるのではないかとの認識も持っておきたいところだ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、12月8日未明への大幅下落で4日午前安値を割り込み4.90円まで下げてから4.99円まで戻したため、8日午前時点では8日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして11日午前から13日午前にかけての間への上昇を想定した。
12月8日午前の反落から一段高へ進んでいるのでまだ上昇余地ありとみるが、4.96円割れからは弱気サイクル入りとして13日未明から15日未明にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8日夜の上昇で遅行スパンが好転して先行スパンの上限に達しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上抜くところから上昇が勢い付く可能性もあるとみるが、先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8日夜への上昇で60ポイントに迫っているので、45ポイントを上回るうちは60ポイント台中盤への上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.96円を下値支持線、5.02円を上値抵抗線とする。
(2)4.96円を上回るうちは上昇余地ありとし、5.02円超えからは5.04円前後への上昇を想定する。5.04円以上は反落注意とするが、5.00円を上回っての推移なら12日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.96円割れからは下げ再開とみて4.93円、4.90円を順次試して行く下落を想定する。4.93円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、4.96円以下での推移なら12日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
12月11日
16:00 10月 鉱工業生産 前年比 (9月 -0.1%)
16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 4.0%)
16:00 10月 失業率 (9月 9.1%)
16:00 10月 経常収支 (9月 18.76億ドル、予想 7.5億ドル)
12月13日
16:00 10月 小売売上高 前月比 (9月 -0.7%)
16:00 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 13.8%)
12月14日
20:30 週次 外貨準備高 12月8日時点 グロス (12月1日時点 932.3億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 12月8日時点 ネット (12月1日時点 347.8億ドル)
12月15日
17:00 11月 財政収支 (10月 -954.6億リラ)
12月20日
16:00 12月 消費者信頼感指数 (11月 75.5)
13:30 11月 中央政府債務残 (10月 6兆2770億リラ)
12月21日
20:00 トルコ中銀MPC(金融政策委員会) 政策金利 (現行 40.0%)
注:ポイント要約は編集部
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