トルコリラ週報『インフレ加速で実質金利のマイナス幅拡大。対円・対ドル共に史上最安値を更新』(12/9朝)

トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、8/24に記録した戻り高値5.80円をトップに反落に転じると、週後半にかけて、史上最安値4.89円まで急落しました。

トルコリラ週報『インフレ加速で実質金利のマイナス幅拡大。対円・対ドル共に史上最安値を更新』(12/9朝)

『インフレ加速で実質金利のマイナス幅拡大。対円・対ドル共に史上最安値を更新』

〇今週のトルコ円、週央5.11まで上昇後、週後半にかけ一時史上最安値4.89まで急落
〇トルコのインフレ加速による実質金利の低下、ドル円の急落等が背景
〇トルコ円主要テクニカルポイントの下側で推移、強い売りシグナルも成立、地合い極めて弱い
〇ファンダメンタルズもトルコリラ円相場の更なる下落を連想させる材料が揃う
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.80ー5.10

今週のレビュー(12/4−12/8)

今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.07円で寄り付いた後、週央にかけて、週間高値5.11円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、週初に発表された(1)トルコ11月消費者物価指数(結果+61.98%、予想+62.60%、前回+61.36%)の伸び率加速や、(2)トルコ11月消費者物価コア指数(結果+69.89%、予想+71.40%、前回+69.76%)の伸び率加速、(3)トルコ11月生産者物価指数(結果+42.25%、前回+39.39%)の伸び率加速、(4)上記1、2、3を背景とした実質金利のマイナス幅拡大、(5)ドル円相場の大幅下落(植田日銀総裁による「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」との発言を受けて市場参加者は政策修正のタイミングが近づいていると解釈→ドル円相場が僅か1日で147.32から141.60まで5円72銭もの値幅で急落→トルコリラ円連れ安)、(6)心理的節目5.00円の大台割れに伴う仕掛け的なリラ売り圧力が重石となり、週後半にかけて、史上最安値4.89円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/9午前1時20分現在)では、4.99円前後で推移しております。

来週の見通し(12/11−12/15)

トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、8/24に記録した戻り高値5.80円をトップに反落に転じると、週後半にかけて、史上最安値4.89円まで急落しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日移動平均線、90日移動平均線、200日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限)の下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「弱気のバンドウォーク」「ダウ理論の下落トレンド」が点灯していること、対円相場・対ドル相場共に史上最安値を連日で更新し続けていること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の先行き不透明感(直近で発表されたトルコ11月製造業PMIは47.2まで急低下)や、(2)インフレ圧力の高止まりとそれに伴う実質金利のマイナス幅拡大(トルコ中銀はエルカン総裁就任以降、アグレッシブな利上げ姿勢を続けてきたが、依然としてトルコ国内におけるインフレ抑制には繋がらず)、(3)トルコ中銀のハト派的な見解発表(トルコ中銀は先月の会合後の声明で「金融引き締めペースを減速し引き締めサイクルを短期間で完了させる」との見解を発表済み)、(4)トルコ・西側諸国間の関係性悪化懸念(エルドアン大統領は今週、「イスラエルとハマスの戦闘終了後にパレスチナ自治区ガザに緩衝地帯を設ける案に反対」「イスラエルは占領している領土を返還しなければならない」「米国によるイスラエル支援が中東における現状を引き起こしている」と発言)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。

こうした中、来週は上記1を見極める目的で、12/11に予定されているトルコ10月鉱工業生産や、トルコ10月失業率、トルコ10月経常収支、12/13に予定されているトルコ10月小売売上高に注目が集まります。市場予想を下回る場合には、トルコ経済の先行き不安再燃を通じて、トルコリラ円相場にもう一段強い下押し圧力が加わるシナリオが想定されるため、当方では引き続き、トルコリラ円相場の短期的な下落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(TRYJPY):4.80ー5.10

注:ポイント要約は編集部

『インフレ加速で実質金利のマイナス幅拡大。対円・対ドル共に史上最安値を更新』

トルコリラ円日足

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